はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2019年9月15日 (日)

四百二十八話 新卒の指導のステージ

   今年の新卒の新人が入社して、もうすぐ半年になります。多くの会社で、新人が携わる一通りの仕事を経験して、本人も仕事や会社がどういうものか、少し見えてきた頃でしょう。最初は無我夢中で取り組んでいた新人も仕事がわかってくると、「なんだ、こんなものか」と思う者も出てきます。その意味では、そろそろ指導のステージを一段、あげるべき頃と言えるのではないでしょうか。ただし、相手に応じてですが。
 新人の指導の原則は、「基本をしっかり教え込む」「良い手本のマネをさせる」のが最初のステージですが、次のステージでは「仕事の面白みを教える」のはどうでしょう。まだ、早いと言う意見もあるでしょうが、そうしないと、優秀な人材ほど辞めかねないのが昨今です。少し前倒しくらいが良さそうです。
 「仕事の面白みを教える」というのは、「少し困難な仕事を任され達成した」、あるいは「お客さんに褒められた」というような体験を与えることです。早い時期でのこのような経験はその人の会社生活の礎となったりするものです。
 せっかくの新卒ですから、指導係はなんとしてでも一人前にしないとなりません。指導係のプレッシャーも半端ではないでしょうが、「仕事の面白み」を与える方策を練りましょう。上手く行けば、「指導の醍醐味」として、指導係にも帰ってくる筈です。

  Photo_20190913114501 🎤 おかげさまで、拙著「人を使うのが上手な人のリーダーのワザ」(明日香出版社) が、また増刷となりました。2015年6月に発行してから、コンスタンスにロングランしています。やはり、人を動かすのに悩む上司は多いようです。
 

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2019年9月 6日 (金)

四百二十七話 副業の矛盾

 パーソル研究所の調査(5月)では、「副業を全面的に認める」「条件付きで認める」を合わせて副業を認める会社は50%、残り50%は「認めない」という結果で、認めない会社の7割は「今後も認めることはない」としています。また、最新のエン・ジャパンの社員調査では「副業を希望している」人への「希望する理由」としてダントツだったのが「収入を増やしたい」でした。
 副業は政府が推奨していて、就業規則も副業を認めるモデル見本を提示しています。多様な働き方の一環ということですが、現実には働き方改革で残業が減った分を副業で稼ぐというのが本当のところです。つまり、「働き過ぎ」と「副業の推奨」とは矛盾するわけです。
 また、現行の法制は副業の時間について、本業と副業の会社で通算することになっています。つまり、1日8時間超えれば、超えた方の会社で割増を付けないとなりません。会社は「知らなかった」は通らないことになっています。本人が副業をしていたと言って、未払い残業代を請求すれば、払わざるを得ないような、会社にとっては恐ろしい状態と言えます。厚労省で副業における時間管理の問題など検討会もされていますが、結論は出ていません。時間管理を会社ごとに分けるなどの法改正は、とうぜん労働サイドは過労の問題を盾に反対なのです。つまり、実態も知らず、何も整っていないところで、副業の推奨をはかったのはとんでもないとしか言いようがありません。
 政治家は素人ですから兎も角、厚労省はどうなっているのでしょう。大丈夫でしょうか。

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2019年8月26日 (月)

四百二十六話 派遣の同一労働同一賃金のインパクト

 20年4月より同一労働同一賃金の本格法制がスタートします。これは非正規社員を対象とした処遇の規制ですが、派遣社員も対象となり、かなり制約を受けることになりそうです。派遣社員を雇うには、その賃金を「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」かのどちらかで決めないとならなくなります。中小企業の多くはおそらく、自社の社員と同等の処遇にする、「派遣先均等・均衡方式」を選ぶと思われます。
 この規制自体は想定していたことでしたが、注目すべきは、もう一つの「労使協定方式」で、先ごろ発表されたその具体的内容によるところです。「労使協定方式」というのは、「同じ地域で働く、同種の職種の仕事に従事する正規労働者の平均的な賃金以上にせよ」というものですが、その具体的な賃金指標が7月8日に通達として発表されました。基礎となる指標は大きく二つあり、一つは「賃金構造基本統計調査」、もう一つが「職業安定業務統計」です。どちらも細かな職種別の賃金指標で、とくに「職業安定業務統計」には全国ハローワーク別の賃金水準の基づく、789職種別勤続年数別賃金と全国平均を100とした都道府県より細かな職安管轄別の地域指数が公表されています。
 これは日本で初めての一般職種別賃金の法制化であり、誰も想定していなかったに違いありません。厚労省は思わぬ隠し玉を出してきました。「労使協定方式」は民間の指標を使ってもよく、これからの運用次第では民間の機関による指標がどっと出てくる可能性があります。日本の賃金の職務給化は意外に早く進むかもしれません。

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2019年8月21日 (水)

四百二十五話 新入社員の有給休暇

 それほど上位ではないものの、残業時間数や年間の労働日数も新卒応募者のその会社を選ぶ要件に上がっていますが、年休も同様です。労務行政研究所による上場及び匹敵企業対象の調査では、年休のかなりの前倒し付与が見られます。
 法定では入社6ヶ月経過後に10日(継続勤務及び出勤率8割以上)ですが、まず、6ヶ月経過時点までに「一括して10日以上付与」が83.1%あり、そのうち「入社時点での付与」が半数以上の55.8%もあります。しかも、付与日数は平均で11.5日と10日以上の会社が結構あるのです。また、6ヶ月未満での付与も78.0%となっています。入社6ヶ月経過後に10日ですら「いつ働いているのか」という中小企業の常識からすると、とんでもないことに見えますが、会社が選ばれる時点で差をつけられている点の一つと思われます。「働いてもいないのに年休を期待する社員などいらん!」と言いたいところですが、応募者からすれば、年休は実際に使わなくとも、「処遇」「福利厚生」の氷山の一角で「社員を大事にする会社」の印象を持つようです。
 少人数の会社が人材を確保するにはそろそろ発想を変えないとならなくなってきました。

 

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2019年8月 5日 (月)

四百二十四話 新入社員調査その②

 産能大の新入社員アンケート調査で気になる二つ目は、「1ヶ月に許容できる残業時間」の回答です。残業の多い会社にとっては、残業に対して新入社員がどの程度の感覚で入社したかの傾向が参考になります。
 まず、男性と女性とで、少なからず差があります。よって、男女別に見ておくべきでしょう。「残業0」は男性1.1%女性2.7%ですから、「残業がない」と考えて入社した人はほとんどないといえます。次に「1~10時間」で男性13.7%女性27.0%と差があります。全体に男性の方が残業時間の許容範囲はやや高めといえます。「11~20時間」では男性26.6%女性29.1%、「21~30時間」で男性28.8%女性23.6%となり、男女とも30時間までで約7割以上を占めます。「31~40時間」では男性15.1%女性13.5%と30時間超からぐっと比率が下がって、「41~50時間」では男性6.7%女性2.0%となります。
 このデータからすると、新人の残業は30時間くらいまでに抑えておいた方が、リアリティショック(入社前と入社後の落差)が小さいと言え、早期離職の回避に繋がると思われます。

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