はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2018年9月23日 (日)

三百八十四話 定期採用ルール

 経団連は主導していた、大卒者の定期一括採用のルールを大きく方向転換し、経団連としては協定を定めないことにしました。但し、急な変更は学生も混乱するので、まず来年度については政府と大学が引き継ぎ、ルールづくりをすることになりました。65年続いた定期一括採用の協定は一旦は幕を閉じ、新たなステージへ向かうことは間違いないでしょう。外資系のように日本の大手も通年採用型のウェイトが大きくなるはずです。
 この影響は大きく、一つは中小企業の採用は間違いなく、さらに厳しくなることでしょう。説明会や面接のスタート、内定日をどこにすれば有利か、見当がつかず、無駄なアクションが多発しそうです。当面は増々、採用サポート会社に頼らざるを得ず、無駄金を注ぎ込むことになり兼ねません。
 もう一つの大きな影響は、通年採用の高まりとともに、雇用が流動化することです。流動化は定着難を意味します。仮に新卒を採用できたとしても、優秀であればあるほど、早期に退職する可能性が増えると考えておく必要があります。また、通年採用は中小企業に教育育成の負荷を増やすことになり、それが定着難に拍車を掛ける恐れがあります。
 これから、早急に採用、定着、育成の戦略の練り直しが必要と思われます。

 

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2018年9月17日 (月)

三百八十三話 今年の親睦会

 今年の私どもグループの親睦会での第一部の講演は、今や二人に一人はかかるという身近な病気「がん」をテーマにしました。はじめの会員Photo_5紹介では、 がんを体験した人たちやそのご家族等の支援組織「NPO法人 つながりひろば」について、理事長の笹田友恵氏からその活動Photo_6内容の説明を頂きました。このような貴重な「場」が大阪にあるPhoto_8ことを知ることができましたし、出席のお客様より沢山のカンパも頂戴し、少しは広報に繋がったかと思います。
 そのあとの講演会は、
東京大学医科学研究所特任教授の田原秀晃氏より最先端医療の「がんの免疫療法について」で、難しい病気のメカニズム等を事例Photo_7を交えて随分とわかりやすく解説いただきました。日本が世界で初めて承認したがんの免疫療法」による特効薬オプジーボの革新性のお話は目から鱗でした。がんが治る確率は近年、かなり高まっているようですが、ようやく「不治の病」でなくなったというところでしょうか。でも、田原先生のお話で、がんは治療薬についても急速に開発が進んでいることがよくわかりました。われわれ世代は間に合わなくとも、次の世代ではがん治療の未来は明るいようです。

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2018年9月10日 (月)

三百八十二話 職能等級制度のねらい

 職能等級制度はこの30年ほどで、中小企業にもかなり普及し、「〇〇さんは◯等級」も普通になりました。職能等級制度とは簡単に言うと、次のようなしくみです。高い業績を継続するには、高いパフォーマンスが必要で、高いパフォーマンスを約束するには、高い能力が必要。よって、勤続、年齢、学歴、性別ではなく、会社に必要な能力を備えた人材を採用、育成しよう、というものです。そのために評価をし、高い能力のある人、高いパフォーマンスをあげている人をより高く処遇をします。つまり、 職能等級制度を導入するとは、このようなメカニズムを会社の中につくりあげることを言います。
 このメカニズムをまずは役員や管理職が理解しないと、うわべだけ、かたちだけの絵に描いた餅になってしまいます。理解するとは、下の人たちに説明できることです。これまでの経験からすると、管理職が理解するのに平均すると3年かかります。3年ほどでようやく例えば、等級と人事考課がどう関連するのかとか、賃金はどのように決まるのかなどがわかるようになります。したがって、なにをとりあげても、会社が変わるのには最低3年はかかるということでしょう。魔法の杖はなさそうです。

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2018年9月 3日 (月)

三百八十一話 65歳定年

 全員雇用の継続雇用制度で実質、65歳定年のようなものということもあって、大手を含めて、65歳定年制はまだまだ少数派です<61歳以上の定年制をとる企業は12.7%というデータ(労務行政研究所調査:上場及び上場匹敵企業対象)があります>
 とはいっても、たぶん65歳定年制が法制で強制される日はそれほど遠くはないでしょう。人事院は公務員の65歳定年制に向けて何度か答申を行っています。 人事院の最新分を見ると、職務の縮小、役職定年制、60歳前後からの賃金カーブの見直しの検討があげられています。
 法制で65歳定年制が強制されても、継続雇用制度のお蔭で、企業のメリット、デメリットはそれほどなさそうですが、大きいのはやはり退職金の扱いでしょう。退職金制度の変更にはさまざまな選択肢が考えられます。
 いずれにしても、給与とリンクした退職金は都合が悪そうです。65歳定年制が敷かれるときには、おそらく中小企業もポイント制が主流になることでしょう。でも、だからと言って、まだ最終基本給×勤続料率等の会社が、ポイント制を今から先取りして導入することはあまりお薦めしません。

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2018年8月27日 (月)

三百八十話 上がらないモデル賃金

 あまり知られていないのですが、賃金を「モデル賃金」で見ると、この15年くらいは上がっていないといえます。このところ大手で2%以上の昇給が続き、賃金は上がっているように見えるのですが、モデル賃金を見るとそうではないのがわかります。モデル賃金とは、一般に賃金表など賃金体系がある場合に、標準的に上がっていく人や優秀者がたどる水準をいいます。中小企業では東京都のものが母数も多く、継続的に統計を行っている数少ないデータの一つです。
 東京都のモデル賃金を見ると、最新の2017年でリーマンショックの2009年後数年よりは上がっているものの、2001年よりは下がっています。下がっているというのは、近年のモデル賃金のピークは55歳前後ですから、そのピークの水準が下がっているのです。つまり、このところのベアは初任給や若年層の賃金は押し上げましたが、高い年齢層の賃金を上げるには至ってないのです。よって、モデルカーブは長期で見ると寝てしまうこととなり、消費は盛り上がらず、物価は上がらないというわけです。
 ピークの水準が下がった原因は、雇用延長であり、非正規の賃金アップと推測されます。この15年の非正規賃金の上昇は目を見張るものがありますが、あきらかに正社員のピーク賃金を抑えたといえるでしょう。

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