はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2019年1月16日 (水)

三百九十八話 自動車総連の春闘方針 

 自動車総連の昨年の春闘方針は賃金改善分3000円以上を示しましたが、この春に向けての方針では引き上げ額は一切示しておらず、これまで以上に賃金の絶対額を重視する方針を掲げました(資料出所:各新聞、統計機関)
 具体的には、水準目標を5つにグループ分け(①上位牽引役、②上位10%、③25%、④中位、⑤最低水準以上)して、30歳高卒勤続12年技能職で①32万3200円~⑤21万5000円、35歳高卒勤続17年技能職で①37万円~⑤24万円の二つの水準値を想定しているとのことです。つまり、それぞれの組合で属するグループの「目標水準値をめざす」というわけです。
 このことは、大手と中小の格差がなかなか埋まらないこと、大手の水準が頭打ちになって来たこと、社員の年齢構成など各社が抱える課題が一様でないことなどが背景にあるといえます。
 昨年より一律いくら上げるのベア方式はできなくなり、さらに個別の企業事情に応じた賃金改善方式も次の段階にきつつあるといえるでしょう。自動車総連の絶対額方式の流れが他の産業に波及すると、欧米のような産業別規模別水準指標型に近づきそうです。それは、雇用の流動化を加速させるでしょう。中小企業にとってはより厳しい環境へと進みそうです。

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2019年1月 7日 (月)

三百九十七話 今年の人事トピックス

 新年おめでとうございます。「烏兎怱怱(うとそうそう)」を今年もよろしくお願いします。
 今年の人事関連の目玉は、昨年成立した、働き方改革法案と外国人労働者受け入れ拡大法案の順次実施でしょう。経営に直ぐに影響するのは、労働時間規制と有休付与等ですが、日本の雇用のあり方を大きく変えていくのは外国人雇用と思われます。日本の外国人雇用方針は180度ひっくり返りました。
 日本は諸外国と較べると労働の質が非常に高い国です。とくに現場作業職等のレベルが高く、均一なのです。日本の中小企業はその恩恵を受け、世界に類を見ないくらいの発展をしてきました。しかし、そのためにサービス業では生産性があがらない一つの要因となり、製造業ではマネジメントが発達しなかったともいえます。
 外国人雇用の拡大によって、この点が変わっていくでしょう。そうしなければ、この方針転換はデメリットが勝ってしまいかねません。とくに中小企業はこれをきっかけに、よりマネジメントに目を向ける必要があると思います。これから、日本の中小企業はマネジメントについて、独自のものを構築しないとならないはずです。「人」と「仕事」の関係の整理が今年の課題となりそうです。

clip穏やかな気候の正月でしたが、今年の企業環境もそうあらんことを願って、年賀のイラストは凪の海を曳航されPhotoる船にしてみました。選挙もあり、消費税増税もあり、難しそうですが。

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2018年12月30日 (日)

三百九十六話 18歳人口の2018年問題

 関与先を見ましても多くの中小企業で、今年は採用が散々でした。新卒、中途採用ともにです。とくに、昨年まではそれほど問題なかった高卒の新卒で、思うように採れていない企業が多かったようです。一部で言われていた18歳人口の2018年問題というのが、現実になった感があります。
 18歳人口が実質的に減少し、大学進学数が減って、経営がたいへんになる大学等が出るとされる問題を人口の2018年問題といいます。
 18歳人口は1992年をピークに2014年には半分くらいまで激減しました。けれども、その間の大学進学率はおよそ倍近くにまで上がり、実質の進学者は減っていないといわれています。その後18歳人口は横這い状態が2017年まで続きますが、2018年以降は減りはじめ、進学率も伸びないために、実質の進学者も減少するわけです。
 これらを実際の数字で追うと、2018年にそれほど極端に減少するわけでもないのですが、おそらく「〇〇問題」というのが先行し、企業がそれに備えて採用に走ったというのが真相の気がします。とくに大手が動いたと思われます。すると、次に影響するのが今年の進学者が卒業となる4年後の2022年の新卒採用となります。採用はまだまだ厳しくなると見ておくべきです。

clipグランフロントで3月まで講演予定の木下サーカスは伝統的なサーカスで曲芸を見るには期待を裏切りません。それに対して11月までやはり大阪で開催していたシルPhotoクドソレイPhoto_3ユはソフィスケートされたお洒落なサーカスです。テーマがあり、生演奏で舞台美術が凝っていてミュージカルを思わせます。曲芸を堪能したいなら木下サーカス、異空間の時間を愉しみたいというのならシルクドソレイユといったところでしょうか。このデジタルの時代に都市に出没するテントは文化の厚みを感じさせます。

 
 

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2018年12月17日 (月)

二百九十五話 店長経験

 以前は中途採用といえば、ヘッドハンティング的なケースを除いて、「既存正社員の〇掛け」というように、給与は既存社員より低めが一般的でした。よって転職すれば給与は下がるのが普通という感覚だったかと思います。この人手不足からほとんどの職種で中途採用も難しくなり、一昨年あたりから多くの職種で徐々に転職後の賃金が上がってきています。
 人材サービス産業協議会の転職賃金相場によると、転職後の賃金の上昇率が高いのが販売・飲食の店長経験者(首都圏の転職後の年収提示:2017年550~740万円>2018年560~1240万円)となっています。日経によると小売業界はネット通販を強化していて、デジタルマーケティング業務の担当者や責任者に豊富な商品知識や提案能力がある店長経験者の需要が急増しているとのことです。確かに関与先を見ても、中途採用の店長経験者は視野が広く、何をすれば良いかわかりが早くて、人との折衝もできるという人が比較的多いように見えます。
 店長経験者の需要が増せば、取り合いになるでしょうし、店長経験の肩書は大事になります。店長を目指す人も増えることでしょう。労働市場はこれからまだまだ変わっていきます。
 
 

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2018年12月10日 (月)

三百九十四話 トランプの関税

 関与先を見ましても、製造業や卸などなんらかで自動車に関わる企業は実に多いです。自動車産業の裾野は広く、そのゆくえは日本の景気を大きく左右します。
 2017年の統計だと米国での日本車のシェアは4割弱あり、約半分を現地生産しています。残りが日本やカナダ、メキシコからなどの輸出で、その半分強が日本からです。もし関税が10倍の25%になると、現地生産しているとはいえ、輸出車の数量は300万台を超えますから、日本のメーカーにとっては非常に大きな打撃となります。その意味では、EUとの間で成立し、8日に国会承認を得て、2月にも発効されるEPA、年末に発効されるTPPの意義は非常に大きいと言えそうです。EUへの自動車関税は8年後に0%になるなど、米国との交渉を有利にするでしょう。その点で現在のところ、政府は上手く動いているといえます。

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