はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2019年7月15日 (月)

四百二十一話 ギグワーカー

 政府は副業ができる環境を進めようとしています。ネックとなっている労働時間の通算などについて検討が始まっています。現在の労基法では、1日8時間超えの労働に対して時間外割増が発生し、仮に1日の前半6時間をA社で後半4時間をB社で働いたとすると、2時間の時間外割増が必要となり、それはB社で支払うことになります。B社は「本人がどこでどれだけ働いているかなど知らなかった」といっても、割増を支払わなければ法的には違反となります。
 この労働時間の通算をやめようということですが、もし改正になれば、企業と働き手をつなぐ、マッチングサイトがさらに活況を呈することでしょう。たとえば、企業が2時間だけ人手が欲しいと登録すれば、自分のちょっとした空き時間で仕事をしたい人がスマフォで返答するようなサイトです。すでにありますし、最近よく見掛けるようになったウーバーイーツなども同様のしくみです。これらの類がさらに増えることでしょう。それは飲食店のスタッフなどから、自宅での作業の請負に至るまで、チョイ働きをやりやすくします。それが副業であれ、チョイ働きをつないでそれだけでフルに働く人であれ、このような働き手をギグワーカーといいます。いわば空き時間でチョイ稼ぎをする人です。そうなると、自社の仕事のあり方を見直し、このギグワーカーを積極的に活用しようとする企業も出てくるに違いありません。

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2019年7月 8日 (月)

四百二十話 中小企業の夏季賞与

 大阪シティ信用金庫調査の大阪府下中小企業の夏季賞与レポートを見ると、景気動向の一端を見ることができます。このデータは、データのおよそ8割が20名未満の企業という特徴があり、賞与を支給する企業の割合で景気の実態を判断することができます。その点で、この夏季に特筆すべきことは、支給企業は前年同期比で全体には0.2ポイント上がっていますが、小売業だけが17.3ポイントの大きなマイナスになっていることです。他業種では大きな落ち込みはありません(製造業△0.2、卸売業4.9、建設業0.2、運輸業3.2、サービス業4.9)。
 では、消費がそれほど悪いのかと言えば、経産省や帝國データの統計を見ると、他業種はマイナスにもかかわらず、逆に小売業全体ではわずかに伸ばしています。つまり、インバウンド効果やネット通販の伸び等で大手小売は悪くないものの、中小小売はその恩恵にあずかっていない。というより消費を持ってかれているような状況が推測できます。また、すでに人不足が業績の足を引っ張る悪い循環に陥っている懸念も浮かびます。賞与が落ち込むとさらに人不足が加速するかもしれません。
 中小小売の大きな落ち込みは今年の景気に蓋をするような予感がします。今後の動向に注視です。
 

🎤 日本でライトの建築を実際に見れるところは非常に限られています。その数少ない場所が芦屋にあるヨドコウの迎賓館で、小高い丘の清閑な住宅街に あります。ここに入ると 、「 空間」というものが単に物理的に区切られたスペースではなく、それは視覚であり、アンジュレーションなどの体感であることがよくわかります。ここでは、小さなあつらえづくりの蝶番の細工が部屋の空間を構成する要素になっていることを理解することができます。体感できる不思議な居心地の良さがライトの設計の確かさを伝えてくれています。これだけは実際に体験しないと言葉では表せません。管理も大変でしょうが、ずっと残して欲しいものです。

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2019年7月 1日 (月)

四百十九話 職務価値評価

 ざっくりいえば、日本は職能給社会ですが、日本以外の国は職務給社会です。職務給は仕事によって給与に差がある賃金体系を言います。給与の差は職務価値の差です。職務給社会とは、そういう前提で賃金が決まることを社会が認知しているわけです。日本でも派遣社員などは職務給型ですが、どちらかといえば人材の需給バランスで賃金に差があるといえます。需給バランスも職務価値の一つですが、まだ仕事自体の価値評価に社会が踏み込んでいません。よって、職務給体系を採用している企業も社会は職能給ですから、今ひとつしっくり来ていないのが本当のところでしょう。われわれは長い間、「仕事に貴賤はない」と教わってきたわけですから、そう簡単には変わらないわけです。  けれども雇用の流動化は職務給社会を徐々に進めることでしょう。正社員についても、おそらく、はじめは初任給と60歳以降の賃金から職務価値評価による決定がなされていくでしょう。ただし、本格的な職務給社会はひと世代が入れ替わらないと到来しないと思われます。

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2019年6月24日 (月)

四百十八話 令和の人事③

  日本の人事の大きな流れは、雇用の流動化です。今のところ、進行のスピードはそれほど速くありませんが、確実に進んでいます。雇用の流動化とは転職が活発になることを指します。転職が活発になると、賃金は職務給化し、雇用はより契約化します。そこに人手不足による売り手市場が加われば、長期雇用を前提としてきた中小製造業等は大きな打撃を被るでしょう。仕事はあっても、人は採れず、定着しないことになります。雇用の流動化政策は意図はないにせよ、中小製造業を淘汰する政策といえます。
 製造業では「下積み」の時期がどうしても必要な会社が多いでしょう。雇用の流動化は「我慢」の許容度を低下させます。人材育成の考え方も改めなければならなくなり、新卒を採れば、最初から仕事の面白みを教えないとならなくなるでしょう。また、日本で中小製造業がこれほど発展したのは、「多能工化」も大きな要因の一つといえます。職能給や総合職の制度は「多能工化」に寄与しましたが、これから進む職務契約化は「多能工化」に馴染みません。したがって、「多能工化」を残し、活かすにはこれまでにない工夫が必要になるでしょう。令和で会社が生き残るには自社の「人事」のあり方を考えざる得なくなりました。

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2019年6月17日 (月)

四百十七話 昇格の浸透

 一般に役職の上がりを昇進、等級の上がりを昇格といいます。昇格は、職能等級制度では能力がワンステージ向上すること、職務等級制度ではワンランク上の仕事を担当することを指します。とうぜん、昇格に伴って職能給や職務給がアップします。いずれにしても、昇格への認識が浸透して等級制度が本来の機能を発揮します。
 中小企業においては、等級制度といえば職能等級制度が一般的ですが、昇格の浸透が進んでいない会社がまだまだ多いと思います。役職の上がりの昇進の認識が強くて、昇格がステイタスになっていません。また、昇格と昇進の区別がついていなかったりします。その意味では多くの中小企業の等級制度は中途半端ともいえます。
 昇格の認識が定着すると、プラス面がいろいろと出てきます。管理監督職のスキルアップや人材の定着につながったりします。では、どうやって昇格を意識させるかですが、方法は一つしかありません。それは、「どうすれば昇格できるか」を明確にすることです。会社としてそこに力を注げば、帰ってくるメリットは思いのほか大きいと言えます。

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