はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2019年8月21日 (水)

四百二十五話 新入社員の有給休暇

 それほど上位ではないものの、残業時間数や年間の労働日数も新卒応募者のその会社を選ぶ要件に上がっていますが、年休も同様です。労務行政研究所による上場及び匹敵企業対象の調査では、年休のかなりの前倒し付与が見られます。
 法定では入社6ヶ月経過後に10日(継続勤務及び出勤率8割以上)ですが、まず、6ヶ月経過時点までに「一括して10日以上付与」が83.1%あり、そのうち「入社時点での付与」が半数以上の55.8%もあります。しかも、付与日数は平均で11.5日と10日以上の会社が結構あるのです。また、6ヶ月未満での付与も78.0%となっています。入社6ヶ月経過後に10日ですら「いつ働いているのか」という中小企業の常識からすると、とんでもないことに見えますが、会社が選ばれる時点で差をつけられている点の一つと思われます。「働いてもいないのに年休を期待する社員などいらん!」と言いたいところですが、応募者からすれば、年休は実際に使わなくとも、「処遇」「福利厚生」の氷山の一角で「社員を大事にする会社」の印象を持つようです。
 少人数の会社が人材を確保するにはそろそろ発想を変えないとならなくなってきました。

 

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2019年8月 5日 (月)

四百二十四話 新入社員調査その②

 産能大の新入社員アンケート調査で気になる二つ目は、「1ヶ月に許容できる残業時間」の回答です。残業の多い会社にとっては、残業に対して新入社員がどの程度の感覚で入社したかの傾向が参考になります。
 まず、男性と女性とで、少なからず差があります。よって、男女別に見ておくべきでしょう。「残業0」は男性1.1%女性2.7%ですから、「残業がない」と考えて入社した人はほとんどないといえます。次に「1~10時間」で男性13.7%女性27.0%と差があります。全体に男性の方が残業時間の許容範囲はやや高めといえます。「11~20時間」では男性26.6%女性29.1%、「21~30時間」で男性28.8%女性23.6%となり、男女とも30時間までで約7割以上を占めます。「31~40時間」では男性15.1%女性13.5%と30時間超からぐっと比率が下がって、「41~50時間」では男性6.7%女性2.0%となります。
 このデータからすると、新人の残業は30時間くらいまでに抑えておいた方が、リアリティショック(入社前と入社後の落差)が小さいと言え、早期離職の回避に繋がると思われます。

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2019年7月29日 (月)

四百二十三話 新入社員調査その①

 今年の産能大の新入社員アンケート調査(入社1ヶ月まで程度)で、興味あるデータが二つあります。一つは、「働きはじめるに当たって不安に思っていること」の質問に、「上司・先輩と上手くやっていけるか」が67.6%、「自分の能力で仕事をやっていけるか」が62.7%で他の項目に対して突出して高いことです。これはこれまでと同様の結果ですが、入社当初は6割以上の人が、職場への不安、仕事への不安を抱いていることになります。アンケートの対象は、大卒新卒で大手・中堅の社員が中心と思われますが、中小企業に入社の新卒も同様にあるいはそれ以上に不安を抱いて会社に来ているといえそうです。それを踏まえると、職場に馴染むまでの間は、それなりの対応が必要に思われます。この期間は本来の力が出ていないでしょうから、「タイプを決めつけない」、「話をする機会を積極的の設ける」などの配慮が原則、必要といえそうです。この「職場に馴染むまでの間」がどのくらいかは、人によって、仕事の環境によって違ってくるでしょうが、経験上ざっくり3カ月と見てはどうでしょう。すると、入社3ヶ月までが一つ目のステージ、それからが二つ目のステージという指導の基本計画が考えられることになります。もはや、虎の子の新卒ですから、面倒ですが中小企業も計画的指導育成を1年間くらいは実施したいものです。

🎤 Photo_20190731095501 絵は 六甲山に上がるケーブルカーのうちの摩耶ケーブルで、昇降の電車がすれ違うところです。湿度の低い日なら、摩耶から上がって行くと、下界の暑さを忘れられる爽快感を体感できます。急勾配の六甲ならではです。

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2019年7月23日 (火)

四百二十二話 新卒離職率

 大学新卒の3年目までの離職率は3人に一人と、よく言われます。人不足の売り手市場なのですが、この数字は今のところそれほど変わっていません。新卒の離職率は学歴別、企業規模別で大きく異なりますが、その傾向はほとんど変わっていないのです。先ごろ、厚労省から発表された資料でも、ざっくり言うと、学歴別規模計は大卒で3割、短大卒で4割、高卒で4割、規模別では大卒を見ると、1000人以上で2.5割、100~499人で3割、30~99人で4割、5~29人で5割、5人未満で6割です。規模別の高卒だと、1000人以上で2.5割と大卒と変わらないのですが、あとは大卒より0.5割ずつ上がり、100~499人で3.5割、30~99人で4.5割、5~29人で5.5割、5人未満で6.5割となります。もちろん、この数字は平均ですので、同規模でも離職率の高い企業、低い企業と幅はあります。でも、平均が何年も変わっていませんから、このような傾向があると読み取れます。社員の定着には、学歴と会社規模とが大きな要素であることは間違いないでしょう。したがって、自社の定着率を高めるには、まず同規模の学歴別数値と比較すべきとえ、仮に離職率が平均値より高ければ、改善策を早急に考えるべきといえるでしょう。

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2019年7月15日 (月)

四百二十一話 ギグワーカー

 政府は副業ができる環境を進めようとしています。ネックとなっている労働時間の通算などについて検討が始まっています。現在の労基法では、1日8時間超えの労働に対して時間外割増が発生し、仮に1日の前半6時間をA社で後半4時間をB社で働いたとすると、2時間の時間外割増が必要となり、それはB社で支払うことになります。B社は「本人がどこでどれだけ働いているかなど知らなかった」といっても、割増を支払わなければ法的には違反となります。
 この労働時間の通算をやめようということですが、もし改正になれば、企業と働き手をつなぐ、マッチングサイトがさらに活況を呈することでしょう。たとえば、企業が2時間だけ人手が欲しいと登録すれば、自分のちょっとした空き時間で仕事をしたい人がスマフォで返答するようなサイトです。すでにありますし、最近よく見掛けるようになったウーバーイーツなども同様のしくみです。これらの類がさらに増えることでしょう。それは飲食店のスタッフなどから、自宅での作業の請負に至るまで、チョイ働きをやりやすくします。それが副業であれ、チョイ働きをつないでそれだけでフルに働く人であれ、このような働き手をギグワーカーといいます。いわば空き時間でチョイ稼ぎをする人です。そうなると、自社の仕事のあり方を見直し、このギグワーカーを積極的に活用しようとする企業も出てくるに違いありません。

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