はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2019年4月15日 (月)

四百九話 労働者か自営業者か

 コンビニの店主らが本部に団体交渉を求め、会社側が認めなかったため、救済を中央労働委員会(厚労省の外局)に求めていましたが、中労委はコンビニ・オーナーは独立した事業者であって労働者ではないとし、棄却しました。
 これは、雇用関係にあたらないという事例ですが、タクシーのシェアリング・ビジネスで業績を拡張させたウーバーテクノロジーズが、各国で雇用問題の訴訟にあっています。ウーバーの運転手が自営業者か、雇用されている労働者かという問題ですが、英国では雇用という判決が下され、ウーバー側が控訴しています。カリフォルニアでも、競合のリフトという会社と共に労働者性を問われ、会社が負けています。これにより、ウーバー等のビジネスモデルは根幹から考え直さざるを得なくなるでしょう。すでに、22億円の和解金の支払いや上場を危ぶまれる事態になっています。
 それにしても、労働者か自営業者かの問題は難しい問いで解決されたわけではありません。大阪でも緑のバッグを背負って自転車に乗る、ウーバーイーツの運び屋さんを見掛けるようになりましたが、これも雇用となれば、このビジネスは成立しなくなるでしょう。新しい労働形態の出現にこれまでの枠組みは合っていないともいえます。いずれ、派遣労働者のように新しい法制の枠組みが出てくることでしょう。

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2019年4月 7日 (日)

四百八話 ユニクロの初任給アップ

 ユニクロのファーストリテイリングが2020年度の初任給を4万5千円上げ、25万5千円にします。20%アップという、とんでもない額ですが、25万5千円は大手商社に並ぶ額で、ライバルとしているZARAが現行のユニクロと同じ21万ですから、ぐっと引き離すことができます。また、これはグローバルリーダーをめざす職種の新卒初任給で、地域限定の正社員は別です。つまり、人材は枯渇していて、とくにグローバルを目指す有能な大卒を採るには、大手商社並みにしないと採れないということなのでしょうし、大手商社パーソン並みの働きを期待しているといえます。
 それにしても、20年の新卒初任給を上げれば、当然、今年度採用までの同職種の給与を調整しないとなりませんから、人件費の上昇は半端ではないはずです。それくらい、この会社は「会社は『人』次第」と考えているのでしょう。
 これから、給与は一律から仕事別になっていきます。正社員も非正規社員も仕事以外では差が縮まり、仕事を軸に差がつくようになっていきます。中小企業もそのような流れを頭に入れておかないとなりません。また、仕事と賃金を軸とした制度化を考えないと、対処できなくなるでしょう。

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2019年3月29日 (金)

四百七話 三菱UFJ銀行のベア

 三菱UFJ銀行は今春闘のベアを労働組合の要求0.5%に対して、それを上回る1%の回答をしました。ベアは4年振りで要求以上ですし、都市銀行他行が追随する話もなく、横並びが崩れるという異例ずくめです。組合も喜んでいるかと思えば、自動化、多能工化、人員削減しないと銀行は生き残れないために経営側が構造改革に本腰を入れるサインと受け止めて、身構えているというのが本当のところでしょう。
 経営側はこう言っています、「全層一律の『ベア』という考え方から、『総支給額』をベースとした考え方へ変更を検討していきたい。」(日経)と。これは、賃金が個別になる、つまり評価差をより一層付け、昇給原資の配分をするということです。
 トヨタもベアを非公表にしましたが、定昇、ベア、一律の新卒初任給はこれから変わっていくでしょう。その節目の年度となりそうです。

 

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2019年3月21日 (木)

四百六話 トラック運転手の賃上げ

 福山通運がトラック運転手の賃金を大幅に上げます。ベアが昨年(2500円)の3倍の7500円です。日経によると、定昇は別に1700円あり、ベア込み定昇で3.2%アップとなります。さらに、残業時間に応じた変額手当を合わせると11000円程度上がるとしています。また、運転手以外の社員のベアも5000円で妥結しています。
 もともと、福山通運は業界では高めで、人材紹介会社のデータではトラック運転手の50代(ピーク)平均年収が520万程度ですから、他業種と較べてもかなり良いのですが、さらに上がることになります。
 勿論これは人不足の影響ですが、それにしても思い切った額で、他の配送業者への影響も大きいと思われます。当面は注視が必要です。
 これから運送費はまだまだ上がりそうです。今年、中小企業は人不足と運送費の高騰に悩まされそうです。

🎤 ニフティのブログのシステムが変わり、慣れずに1週間空いてしまいました。それにしても、このところ気温の変化が激しく、着ていくものにも迷います。関西では、二月堂のお水取りが過ぎれば、本格的に春が来て暖かくなるはずなのですが、今年はよくわかりませんね。お水取りには最終日に行ってきましたが、雨も降らず、寒くもなく、松明の揃い踏みをじっくり見ることができました。このまま暖かくなると思いきや、この週末はまた冷え込むようで、まったく春が待ち遠しいです。

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2019年3月 7日 (木)

四百五話 中途採用求人倍率の低下

 リクルートキャリアが先月より中途採用の求人倍率をレポートしなくなりました。日経には、求人以上に転職希望者が増えたため「需要はよいのに求人倍率が下がり、実態を映さなくなった」ためと説明されています。パーソルキャリの調査でも、1月までの求人倍率は5ヶ月連続で前年同月比マイナスとなっていて、1月で見ると、求人数が3.7%増えたために0.22ポイントマイナスの2.13倍としています。
 求人数の増加以上に転職希望者の増加で採用がましになったかといえば、全く逆で、今、どこの会社へ行っても人がまったく採れないと嘆いてられます。転職者の増加というのが、おそらくその鍵で、就職できなくて困っている人が増えたのではなく、〇〇の会社で働きたい人が増えたのだと思われます。しかも、その○○が偏っていて、範囲が狭いのです。
 つまり、採用が難しいのはミスマッチのせいなのですが、ならば会社が門戸を拡げるのが一つの方法となります。とは言っても、誰でも良いというのは、あとで困ることになります。必要とする人材のバーを吟味し、ぎりぎりを確認しておくことが大切です。

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