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2009年2月

2009年2月22日 (日)

三十二話 賃上げ交渉状況

 今年も本格的に春闘がスタートしました。今年はかなり例年と違います。いつもならすでに各シンクタンク、統計機関の賃上げ予測値などが発表されているはずですが、今年はほとんど揃っていない状況で、予測が極めて難しいとことが窺えます。すでに出されている数値の根拠や論点、労組のそれを見ても、どうも実態の動きについて行けていないように見えます。というより、経営環境の変化、動向が急で、予測よりもより深刻化している、というのが本当のように思えます。

 厚生労働省発表の昨年の大手ベア込み賃上げ率が1.99%に対して、今年の今出ている予測値で1.6とか1.7%ですが、それも昨年末までの数字を根拠にしています。でも年明けから状況はまた一段と厳しくなっています。昨年10~12月のGDP集計値年率換算△12.7%も加味されていません。

 今、大手の定昇率(査定も含めたルール化された昇給)が1.6%ぐらいですから、予測値ベア込み賃上げ1.6%も自動車総連などが要求している4000円とか4500円のようなベア(賃金の底上げ)が0%ということになります。つまり、やや甘目と思われる予想でもルール化された昇給、定昇が実施できるかどうかが大半の各社の交渉ラインとなるということです。この状況を客観的に考えれば、良くて上限が1.6%、定年退職と新卒採用の目減りを多く見積もればそこから△0.3%ぐらい、定昇が実施できない、つまりベースダウンが増えればもっとマイナス、総合すると1.3%前後も現実的な数字となってきます。

 昨年値1.99%からすると大変なダウンですが、充分あり得るといえるでしょう。そうなると、このままの推移で行けば中小企業は大手との例年の格差で推測すると1%以下となり、昇給据え置きが大半となることが予測されます。前述のGDP年率換算△12.7%の落ち込みは丁度第1次石油ショックの昭和49年に匹敵するようです。その年の賃上げが32.9%、翌年が13.1%でまだ高度成長期のため現在と数字は大きく違いますが、半分以下の下げを記録してることを考えれば、先の数字もまだ甘いかもしれません。

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2009年2月15日 (日)

三十一話 消えた貨物船

 大阪港から湾岸線で神戸方面へ向かうと、尼崎から芦屋へかけての沖合いに貨物船の集団が停泊しています。動力の無いだるま船の類に見え、荷受荷降しで接岸の順番待ちをしているように思われます。これまでも景気の動向がこの船の数で概ねわかりました。昨年の10月ぐらいまでは見渡す限り船団という光景でしたが、その姿も昨年末にはすっかり消えてしまいました。丁度、同じ光景が前回のバブル崩壊後にも見られました。でも前回は何ヶ月も掛けて徐々に減ってゆきましたが、今回はピークと思えた船数が2ヶ月ほどで一瞬のごとく消えてしまいました。そのくらい今回の不況が大きく、深いことを示しています。

 この今回の不況の度合いを理解していた大手企業は、早々に対応しました。前回の轍を踏まない矢継ぎ早の対応でした。よりグローバルになったことによるインパクトも計算してのことでしょう。雇用問題でマスコミに叩かれ、これからの春闘でも「景気の足を引っ張る」とまた叩かれるでしょうが、賃上げ要請に対して妥協はしないに違いありません。それは今回の不況の大きさ、深さと共に今耐えれば間違いなく、その後に必ず来る回復時には世界をリードできると、どの企業も考えているからと思われます。そのくらい日本の技術力の底力とそれを支えるインフラは突出していることを世界を見て実感しているのと、付け焼刃の新興の企業はバブルが崩壊すれば淘汰されると見ているからです。

 中小企業でもぐっと我慢をし、これまで時間が取れずに思うように出来なかった人材教育を不況で空き始めた時間を使って、実施を考える会社も増えてきました。確かにこれまでどこの会社も残業をいかに減らすかの対策に追われて、教育どころではありませんでした。したがってこの際、基本から叩き込もうと取り組むところが出てきたわけです。勿論、それはこの不況後の回復が早晩来ると考えているからです。しかも、それは谷の深さに比例した、大きな山が来ると見ています。

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2009年2月 2日 (月)

三十話 ワークシェアリング

 ワークシェアリングがまた論議されています。意味は各人の就労時間短縮等による「仕事の分かち合い」のことですが、賃金も分かち合うことを指し、雇用の拡大を主眼としています。前回のバブル崩壊の時にも春闘のテーマの一つにあがりましたが、労使の話し合いは進展しませんでした。双方とも消極的でしたが、特に労働側が実質賃下げに対して、まとまりませんでした。

 今回は派遣切りの問題に端を発し、正規社員と非正規で仕事を分かち合うことから、再論議、盛り上がるかのようでしたが、この急激な景気の落ち込みに対応出来るほど、ワークシェアリングは単純な話にはならないでしょう。すぐに対応を検討出来る仕事のスタイルも現実には非常に限られています。

 また、大手企業の論議と中小企業ではまったく違います。中小企業の多くの経営者の言葉は「とんでもない」です。そもそも、一つの仕事を分かち合えるようなスタイルの仕事はほとんどありませんし、あればすでに派遣、パート、契約社員、嘱託などシェアリングしていてぎりぎりでやっています、ということです。正社員も給与を削れるほど余裕はないのが本当でしょう。

 それから大手がワークシェアリングなどを実施すると大変だと考えています。そのしわ寄せが必ず中小企業に来ると思われ、例えば、今まで17:00納品だったものが、15:00に持って来いとなる具合です。

 成功事例のある欧州では同一労働同一賃金と職種別賃金の考え方がある程度浸透していて、社会通念があります。日本の賃金は仕事価値や仕事別の考え方が希薄で、前回の論議からもほとんど進展していません。多分、現状よりは今後、そのような賃金の概念が進展するに違いありませんが、わが国の賃金は欧州のようにはならないでしょう。ワークシェアリングの足並みが揃うにはまだまだ年数が掛かると思われます。

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