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2015年3月 1日 (日)

三百三話 賃金の選択

 これまで日本の賃金のかたちをつくって来たのは製造業のそれだったといえます。現在でも主流といえる職能資格制度は、ほとんどの日本の製造業にフィットします。賃金のあり方というより、仕事のあり方、マネジメントのあり方に合っているといえます。とくに知識。技能、習熟能力の積み上げを信条とする考え方は、社会的なコンセンサスを形成するまでになったといえます。確かに、それが日本の強みであり、競争力の源泉となってきました。今も重電や重工業などには、何代にもわたって高度な技術を継承している人が多くいて、現場の要になっていたりします。
 けれども一方で、アセンブリを中心とする電子製品の製造などは、様相がかわってしまいました。極端にいうと、設備と人を揃えれば、どこでも作れるということで、「蓄積」ではなく、「企画」が勝負の世界となってしまいました。そこはこれまでの職能給型よりも、時価主義型の仕事給型がフィットする仕事とマネジメントの世界なわけです。まさに意識の変革を迫られています。
 同様のことが、サービスや流通業にもいえます。他国と比較して、日本のサービスや流通業の生産性の低さは賃金制度と無縁ではありません。いずれは、マネジメントを変え、賃金のしくみを変えないとならなくなるでしょう。
 これから日本が選択しなければならないのは、「正しい賃金制度」ではありません。その仕事やマネジメントに相応しい賃金制度なのです。つまり、社会が「どちらも正しい」という考え方を受け入れられるかどうかといえます。このような国は、まだどこにもないと思います。日本が成し得れば、さらなる発展は間違いないと思われます。

家内の知り合いが樽作りのでもストレーションをするというので、近所の菊正宗の樽開きに行ってきまし1た。樽作りはまさに伝統の継承の塊です。見ているうちに4斗樽が華麗にできあがります。どれをとっても無325駄なく理に適った職人技です。親方の解説によると、昔は職人見習いで入って、手伝いのために工房をうろうろしていたのがいて、「うろうろ」と呼んでいたそうです。その「うろうろ」の中に、器用なのがいて、親方の技を見て6盗み、仕事後の夜中に練習したりした者が樽作り職人になったということで7す。今、そんなことをしたら成り手はありませんが、合理的に人材を選抜するしくみができていたわけですね。

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