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2016年7月

2016年7月31日 (日)

二百七十六話 解決金のめやす

 6月に厚生労働省が「金銭解決に関する統計分析」という、不当解雇等の金銭解決の分析結果を公表し、金額の目安を示したかたちになりました。
 企業に解雇された者が不服の申し立てをした場合、労働審判への持ち込みが可能となります。このような場合、実際には職場復帰は心情的に難しくなるケースが多いといえ、金銭解決が現実的な解決策となります。
 分析によると、不当解雇の度合いが高くなると、正社員では企業が支払った解決金はおよそ「月収倍率=9.1+0.84×勤続年数」程度となるとしています。また、非正規社員では、案件の6割でおよそ「月収倍率=3.4+0.2×勤続年数」程度としています。
 逆に企業による解雇に正当性が高い場合は、解決金は勤続年数に関係なく、月収の2.3ヶ月程度だそうです。
 不当解雇が推奨されることはありませんが、実際には職場復帰は本人にも負荷が大きいでしょう。また、審判が長期におよぶことは本人、会社ともに負担となります。金銭解決を前提とする法整備が良いかどうかは別にして、金銭解決は揉めた場合の現実策といえます。双方に共有できる目安の金額があれば、覚悟はしやすくなるでしょう。

出版社からの依頼で、本のリニューアルが2冊決まり、年内の休みは返上の模様です。10年前に出した賃金の本などは、さすがに当時と状況がすっかり変わってしまい、資料のデータもそうですが、ほとんど全部書き直しです。なかなか先が見えません、参りました。

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2016年7月23日 (土)

二百七十五話 大手の差別化

 中小企業の賃金は大手の6割以上にせまり、格差縮小は21年振り水準といわれています。けれども、すべての中小が賃金を上げられるわけではないでしょう。つまり、数字の平均値はともかく、賃上げ等のままならない会社とできる会社の差は増々大きくなると思われます。
 たとえば、保育の業界なら、大手のポピンズは正社員の給与を15%上げています。JPホールディングは非正規も含めて昨年が8%、今年も4%上げています。このような水準に中小の保育事業者はついていけません。
 また、半導体のカッターで有名なディスコなどは、残業が短い方が割り増しを高くしました。月45時間までなら従来の25%から35%アップに、45時間~60時間までは30%としています(60時間超は法定の50%)。長時間労働への対応策の一環なのですが、このようなことは、とうてい中小製造業にはできません。
 もちろん、これらは人不足への対策であり、差別化で淘汰し、人材を囲い込もうという戦略の一つといえます。ついていけないところは、人材が集まらず、おかげで業績が伸びず、賃上げもできないという悪いスパイラルの懸念が本当になってきました。
 でも賃金だけが、採用定着のカギではありません。賃上げが無理なら、なにか違うもので差別化をはかり、対抗しないとなりません。大手にできないのは、社員一人ひとりの個別の事情への配慮です。これからは大手にはない、中小の良さをアピールしないとならないでしょう。

英国のEU離脱、任天堂の株価急上昇と、なにが起こるかわからないことが続いています。次に来るのは、トランプ米国大統領でしょうか。もう一つ期待したいのは、ソニーが10月に出すプレステ4で、バーチャルリアリティの目玉となる商品です。ポケモンGO!のような旋風が巻き起これば面白いのですが。

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2016年7月15日 (金)

二百七十四話 AIとBI

 AIというのは人工知能のことですが、このところの急速な進歩は目を見張ります。囲碁で世界最高位といわれる韓国のプロ棋士にグーグルの人工知能AlphaGoが勝ったり、AIによる自動運転が実際に公道を走る段階になったり、複雑な会話ができるロボットが現れたりと、SF映画が現実のレベルになってきました。
 今、有識者の間ではAIが進むと近い将来に人がする仕事がなくなるのではと、本気で心配し始めているようです。自ら学習し、考え、判断し、実行するわけですから、いずれ人間ができる仕事はすべてできるようになり、しかも生産性はどんどん高まっていくのですから、そう考えるのが妥当というわけです。
 人の仕事がなくなると、どうやって収入を得るかという問題が浮上します。その答えの一つが、収益をあげた企業からの税金を逆に国民に再配分し、最低保証するという話でこれをBI(ベーシック・インカム)というわけです。
 BIの世界になると、人手不足の解消という話どころではありません。賃金・人事は不要になるのでしょうか。働かなくなったら、何をするのでしょう。これから、「労働」というものの再定義が話題になっていくに違いありません。

9日に日本人事総研の研修で東北の中尊寺へ。総研が中尊寺の人事に関っているからですが、お寺の人事制度に興Photo味があったのと、こんな機会でもなければ中尊寺までいくこともないので、本の執筆の合間を縫って思い切って行ってきました。教科書でしか見たこともない金色堂と丁度、秘仏のご開帳があり、美しい一字金輪仏を見ることができて、行った甲斐がありました。また、金色堂に安置された藤原三代のミイラを戦後間もないときに調査したフィルム映像を見せて貰いましたが、驚きとしか言いようのない内容でした。藤原氏の栄華と特異な中尊寺信仰と合わせての話は、また別の機会に。

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2016年7月 7日 (木)

二百七十三話 パート社員の賃上げ

 今春闘は「格差是正」で労使が歩み寄った春闘でした。労組もバラバラになる懸念から、経営もこれ以上の正社員の上昇は競争力に影響する懸念から、思惑が重なった結果と言えるものでした。大手と中小、正規と非正規の格差が是正されました。
 日経によると、小売、外食など流通業中心の労組UAゼンセンは90万人弱がパート社員ですが、6月の中間集計でパート社員の賃上げ率が2.20%で、初めて正社員(2.02%)を上回りました。これも格差是正のながれですが、深刻な人手不足が最大の要因です。
 とはいっても、春闘は労組を持つ企業の話で、持たない多くの中小企業にとってはそれほど関係のない話題でした。これまではそうだったのですが、パート社員がこれだけ上がってくると話は違ってきます。パート社員は地域密着型で流動化した雇用です。自社の地域の大手スーパーが雇用を増やせば、たちまちパ^ート社員が来なくなり、大手スーパーが賃上げすれば、地域の相場はハネ上がるのです。わが社には関係ないと言ってられなくなりました。
 パート社員の賃上げが消費につながれば良いのですが、中小企業はそれまで待てないところも出て来ています。来年はそのしわ寄せが、正社員の賃上げに向かい、厳しくなりそうです。

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