« 2017年1月 | トップページ | 2017年3月 »

2017年2月

2017年2月27日 (月)

三百四話 マッチングのビジネスモデル

 シェアリング・エコノミーもギグ・エコノミーもそのコアはマッチングの発想です。流行りのApple and Pencilと同じで、〇+△になにを入れるかが鍵です。そこに、ビッグデータやGPS、決済の技術にスマフォというハードなどがくっついて、革命が起ころうとしています。
 ニュースで京都のタクシー協会が実験をしていました。利用者が道でタクシーを呼ぶのに、スマフォを使って協会にアクセスし、最も近くにいるタクシーを配車するというものです。協会に加盟のタクシー会社すべてが対象ですから、配車効率のアップ、客数のアップ、客の利便性、協会以外のタクシーとの差別化がはかれます。
 客がスマフォでクルマを呼ぶと、配車されるタクシーが画面の地図に表示され、今どこを走っているかがわかり、待ち時間も予測できます。まもなく、実用となるでしょう。それで感心していたら、その先を行っているのが上海です。上海では同様のシステムで、タクシーを呼んだ客がスマフォの画面上でチップを上乗せすると、近くを走っているタクシーが飛ばしてくるというしくみです。チップをはずめばはずむほど、すっ飛んでくるらしいのです。まさになんでもありの国です。日本では真似できません。お蔭で上海では空車のタクシーは走っているのに手を挙げても掴らないそうですが。
 マッチングはすでに雇用にも拡がっていますが、これからはパートや契約社員をはじめ、新卒から中途採用まで拡がっていくでしょう。新しい手法がまだまだ出てくるに違いありません。求人の手数料は下がるでしょうが、中小企業においては雇用の定着が心配されるところです。

理系の息子が面白いというので、遅ればせながらですが、「インセプション」のクリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」を見ました。なるほど名作です。中学生の頃に見たキューブリックの「2001年宇宙の旅」を思い出しました。「インターステラー」の中でマイケル・ケイン演じる老科学者が英国Photo詩人の黙示的な詩を繰り返します。「穏やかな夜の闇に身を任せるな。老いても終わりゆく日に燃えさかり荒れ狂うべきだ。消えゆく光に向かって、怒れ!怒れ!」と。映画を見終わったときには、物理学の行き着く先は哲学であり、詩情に近いという感慨を持ちましたが、よく考えてみると高齢化がますます加速する日本へのメッセージとするのも悪くない気がします。豊洲問題など、最近の現象も読み解けるのではと思ってみたりです。「怒れ!怒れ!」と。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月19日 (日)

三百三話 働かない国②

 政府が進める「働き方改革」は、これからもほぼ確実といえる労働人口減少への対応策ですが、中小企業への影響が非常に懸念されます。
 人不足なうえに長時間労働の是正に対して、企業は生産性を上げるしかないわけですが、政府が描くモデルはドイツあたりでしょうか。
 確かにドイツは今のところ成功しています。日本と同じく中小企業も多く、付加価値の高い中小も多々あります。GDPは日本よりやや少なく75%程度ですが、人口は日本の73%、会社数は85%程度、対GDP輸出比率は日本よりかなり高く、15年データでGDPの43%(日本は12%弱)もあります。やはりドイツの成功はEUというマーケットでしょう。中小企業が直接輸出をしているところも多いみたいです。
 これらの数字から随分と働き者に見えますが、労働時間は日本が年間1700時間に対してドイツは1300時間ほどしかありません。つまり生産性が高いわけです。労働時間が短いのはこれは、国民性とかというより、国が規制を強めたからです。一日の労働時間は所定が8時間で日本と同じですが、残業は2時間までです。しかも、NHKニュースでもしていましたが日本と違って厳密に運用され、抜き打ち調査がにあり、違反企業は罰金200万円にもなり、禁固刑まであります。よって会社も違法残業をさせている管理職に罰金を払わせているところもあるようです。これなら、労働時間を守るしかありません。
 生産性の高さはイコール競争力ですが、但し、倒産件数は日本の3倍くらいあります。つまり、生産性の低い会社は淘汰されるわけです。
 政府は中小企業の実態を視野に入れているのでしょうか。同じようなことを日本でされたら、たいへんです。日本にはEUのようなマーケットはありません。TPPも流れてしまいました。その上、深刻な人不足ですが、深刻なのは大手ではなく、中小企業なのです。もちろん生産性を上げることは必要ですが、生産性を上げる前にバタバタと潰れてしまいかねないのです。慎重に取り組んで欲しいものです。
新年度をひかえ、書店フェアがはじまります。弊著も明日香出版社の「ワザ」シリーズの末席に入れてPhoto_2頂いてPhoto_3PhotoいまRす。「ワザ」シリーズはイラストふんだんで、本を読まない新人にもお薦めです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月13日 (月)

三百二話 ギグ・エコノミー

 働き方改革は政府が主導する「多様で正当な働き方」を進めるものですが、米国ではギグ・エコノミーといわれる新しい働きい方が注目されつつあります。ギグ・エコノミーは個人が組織に所属せず、ネットを介して仕事を直接請け負うしくみのことです。ネットでマッチングを運営する会社に個人が登録し、不特定多数の依頼主から単発の仕事を受注して、手数料を払う類のものです。AirbnbやUberなどのシェアリング・エコノミーもこのかたちの一つといえます。マッチングの会社はいわば口利き屋の現代版ですが、ネットによって圧倒的多数をマッチングできる点と低コストが革新といえるでしょう。
 よってポイントは、プラットフォームの会社がマッチングに相応しい仕事の種類を見つけ、労働と対価、安全などをいかに担保するかで、そのノウハウを見つけた会社が成功するといえます。また、その担保のしくみにより、ギグ・エコノミーの三つ目の特徴として、依頼主と請け負う側が対等という点が浮かび上がります。そうでない参加者は市場から締め出されるはずで、そうならなければこのビジネスモデルは消えてしまうでしょう。
 「派遣」という働き方の形態が現れた時もそうでしたが、ギグ・エコノミーも一気に拡がるかもしれません。日本でも様々なマッチングの会社がまだまだ出て来そうです。但し、ギグ・エコノミーは雇用ではありません。雇用が益々厳しくなると予想される中小企業においては請負パッケージ型で外注させられる仕事を検討するところも出て来そうです。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月 5日 (日)

三百一話 中途採用の動向

 厚労省は中途採用の促進に助成金を支給する予定です。初めて中途採用する企業と中途採用の割合を高めた企業に対してで、ともに生産性をアップさせたという条件を付けるようです。これは衰退産業から成長産業へ人材の流動化をはかるのがねらいですが、中小企業にとっては人材の確保がさらに厳しくなることを意味します。
 大手企業は定期採用、つまり新卒採用中心ですが統計を見ると、中途採用は増加傾向にあります。16年に中途採用で目標の人数を確保できた会社は約半数だったこともあり、幾つかの統計機関の予測でも17年はさらに伸びるとしています。しかも、伸びは大手企業が高くなっています。また、リクルートワークスの15年データを見ると300人未満企業の採用に占める中途採用比率が約80%なのに対して、それ以上の規模の企業では約40%と半分です。つまり、中途採用市場はこれまでは中小企業の独壇場といえるものでしたが、これからはそうでなくなるということです。大手が採るような人材は中小には流れなくなる可能性が大きくなります。今回の助成金でそれに拍車がかかることでしょう。しかも留意しなければならないのは、採用だけではありません。中小にとって懸念すべきは人材の流出です。中小企業は早急に人事の施策を採用と定着へシフトすべきといえます。

お蔭様で「不安苦手ゼロ!人を使うのが上手な人のリーダー(上司)のワザ」が、また増刷(6回目第14刷)となります。年R末年始の書店フェアに続いて、4月の新年度フェアに向けてだそうで、リーダー関連本が数ある中で、地道にコツコツと部数を伸ばしてくれています。嬉しいことですね。確かに、わかりやすさではダントツと自負しておりますが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年1月 | トップページ | 2017年3月 »