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2019年5月

2019年5月27日 (月)

四百十四話 クライアント・インサイト

 マーケティングの用語に「消費者インサイト」という言葉があります。消費者自身も気がついていないニーズ、あるいは自分では反対に思っていた購買動機などのことで、それにフィットした商品や自分はこうだったんだと気づかせるキャッチコピーなどを伝えると思わず買ってしまうというものです。人事コンサルティングにおいても、同様のことがよくあります。たとえば、社長さんから人事制度構築の相談があった場合に、「我が社もこれまでは個人商店型で業績を伸ばしてきたが、そろそろ頭打ちで、これからは組織で業績をつくる必要がでてきた。そこで、わたしが評価したい社員の要件を制度化しておきたい。」と、いうようなことから人事制度の整備を進めていくと、ある時点で経営のバトンタッチの問題にもつながったりするわけです。事業承継のことは社長さんの頭の中にあるのですが、人事制度とは関係ないと最初は考えていたのだと思います。でも、「人事制度づくりにご長男の専務にも入って貰ってはどうでしょう。」などと提案すると、重要性にピンッと気が付かれるわけです。そういう点では、人事というのは会社の課題を普段はあまり考えない角度から炙りだしたりするものです。

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2019年5月20日 (月)

四百十三話 令和の人事②

 日本社会の人事の大きな枠組みが崩れるということは、われわれが当たり前と思っている、雇用や賃金の常識が変わってしまうことといえます。強固な枠組みの一角としての「定期採用」が「通年採用」になると、「職能給」から「職務給」へ、「就社」から「就職」、「総合職」から「専門職」へとドミノ倒しのように枠組みを構成する人事のアイテムが入れ替わっていくことでしょう。但し、「定期採用」から「通年採用」が浸透するのは、おそらく時間が掛かるはずです。「定期採用」にも大きなメリットがあり、労働組合も一定の比率を要求するでしょうから、最初の浸透はかなり遅いと思われます。これまでの人事の例からすると、ゆっくりとある程度までゆっくり進み、ある時点で一気に拡がるでしょう。
 いずれにしても、人事の枠組みが変わることは、中小企業にとっては逆風が増すことに他なりません。たとえば「通年採用」といっても、中小企業はもともと「通年採用」であり、その市場に大手が乱入してくるようなものだからです。他のアイテムもしかりです。これまでの人事の枠組みで日本の中小企業は反映したともいえるでしょう。とくにものづくり中小にとってはそうだったといえます。
 変化がわかっているのに対処しない手はありません。しかも、まだ時間があります。まずは、何が起こるかを理解し、変えるべきものと変えないものとを検討すべきです。

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2019年5月13日 (月)

四百十二話 新人の仕事

  関与先等の新人研修を行っていて思うことは、「新人のうちにしか教えられないことがあり、それは必ず新人のうちに教えておくべき」というものです。とくに新卒や新卒同等の新入社員に対してはそうです。
 新人のうちに教えておくべきことはいくつかあります。「社会人マナー」や「電話応対」」などもそうです。でも、意外にされていないのが、「自分の仕事の組み立て方」ではないかと思います。指示された仕事をもう一度、自分の視点で組み立て直してから取り掛かることですが、これを教えておくと、上司はずっと楽になります。たとえば、納期を曖昧に指示した仕事でも、「これは金曜日の午前中まででよろしいですか」などと新人の方から訊いてくれるようになります。また、新人自身も「指示された」という受け身の姿勢から、「自分ごと」に仕事を引き寄せることができます。それは、会社人にとって仕事を楽しくするコツともいえます。
 但し、「自分の仕事の組み立て方」は会社に慣れて仕事がわかってくると、教えにくいものです。素直な新人のうちに教えておきたいものです。

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2019年5月 7日 (火)

四百十一話 令和の人事①

 平成の経済はバブルのピークと崩壊ではじまり、日本の人事制度に成果主義を呼び込みました。その成果主義には二つの顔があり、一つは年功の排除・成果重視の顔、もう一つは人賃金から仕事賃金へという顔でした。この30年の間に一つ目の顔の年功の排除・成果重視は浸透しましたが、結局、日本社会は二つ目の顔の仕事賃金には移行しませんでした。世界標準は賃金が仕事にくっついた仕事賃金であり、グローバル化は吹き荒れましたが、日本独自の賃金が人にくっついた人賃金は変わらなかったわけです。その大きな理由としては、高度成長期に日本社会は独自の人事のしくみを強固なスクラムとしてつくりあげたからです。すなわち、人賃金、定昇、定期採用、年功型賃金カーブ、終身雇用、社内組合、社内ローテーション、定期異動、厳格な解雇法制、定期昇進、総合職正社員というスクラムであり、これらは個別の人事制度というより、一体となった日本型人事という一つシステムであり、セットの制度といえるものなのです。人賃金だけを職務給などの仕事賃金に置き換えることはできないわけです。仕事賃金に替えるには、セットの中身すべてを見直し、新たなセットをつくらないとなりません。
 平成の終わりに、経団連は大学と合意し、定期採用から通年採用に舵を切りはじめました。スクラムの一角が崩れ、これからセットの見直しがはじまるでしょう。令和は時間を掛けて新たな日本型人事制度をつくりあげる時代になりそうです。

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