はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2021年2月16日 (火)

四百五十九話 採用の山と谷

 コロナ禍で採用難が一転して、買い手市場となりました。昨年と今年の新卒者にとってはまさしく青天の霹靂です。中小企業にとっては、またとない人材獲得のチャンスといえますが、コロナ禍が収束すれば、また売り手市場一色に戻るのは目に見えています。よって、この機会を活かせるかどうかは少し長い目で見ると大きな鍵となりそうです。このような時期に採用に力を入れるのは中々できないのですが、この機会を活かせる会社とそうでない会社とで、大きく差がつくかもしれません。
 多くの中小企業は少し前まで、求人はするも応募者がない、応募者があっても人材が選べない状態でした。それが今は、多くの業種でじっくりと選べ、自社に適切な人材がいなければ、慌てる必要がない状況が続いています。もちろん、このような余裕のある会社は多くはないでしょうが、それが可能な状況となっています。
 人材を選ぶというのは、相手を見極めるわけですが、数回の面接程度では非常に難しいものです。また、良いと思った人材も会社に合っていなければ、売り手市場に変わった途端に辞めてしまいかねません。買い手市場、売り手市場に拘らず、もうこれからは、採用と定着に知恵を使い、力を注がない会社に良い人材は集まらない時代になったといえそうです。

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2021年2月 8日 (月)

四百五十八話 中小企業の人事のコツ⑤

 中小企業の採用戦略は大きく二つになります。新卒採用中心か、中途採用中心かです。
 新卒採用の大きなメリットは、組織だった人材階層をつくりやすいことと、20代、30代の層を充実させやすいことです。但し、ある程度継続した採用が前提となり、それなりの社員人数の規模が必要となります。また、デメリットは教育に時間・労力・コストがかかることです。そのために、短期で辞められても根気よく採用と教育を続ける覚悟が必要となります。
 それに対して、中途採用の大きなメリットは何と言っても即戦力です。したがって、即戦力になる人材を見極めることが重要になることと、即戦力型人材を活かすには、与える仕事を明確にしておくことが大切となります。中途採用は社会人としての常識や会社での仕事の基本は備わっていることが前提ですので、中小が苦手とする教育の負担は格段に減ります。但しそれは、逆にいえば、教育の土壌が育ちにくいともいえます。もう一つの大きなデメリットは、採用が継続されないこと、年齢が順送り型になりにくいために、いつまでたっても後輩ができない社員ができやすいことです。教わる、教えるという経験は重要で、マネジメント力を高めることに大きく寄与します。また、後輩ができることで、自分の力量の確認ができ、スキルアップ意欲につながります。

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2021年1月16日 (土)

四百五十七話 中小企業の人事のコツ④

 コロナ禍の影響もあって、今年はジョブ型雇用の本格導入がわが国の人事の大きなテーマになるといわれています。すでに導入、または導入を決定した大手は増えていますし、経団連も推奨しています。
 ジョブ型雇用は雇用形態の一つですが、これまでに何度か我が国に訪れた人事のトレンド(能力主義や成果主義など)と違い、大半の中小企業にとっては「どう取り入れるか」が問題となるものではありません。ジョブ型雇用は「何でもする」「どこへでも行く」「残業も厭わない」という総合職雇用の対極で、簡単にいうと、「それはわたしの仕事ではありません」といえる雇用形態です。したがって、限られた人材でめまぐるしく変容する市場を生き残らんとする中小企業にとって、軸となる人事施策としては、はなから選択肢には成り得ないでしょう。それでも、中小企業にとってジョブ型雇用は非常に大きな影響をもたらすはずです。
 現在の日本は能力主義社会です。職能給、職能等級制度、総合職、定期採用、定期昇給、終身雇用、企業内組合などがその構成アイテムで、日本の人事の特徴で日本独自といえるものです。大半の中小企業はこの能力主義社会から多大な恩恵を受けているといえます。よって、仮に日本以外の他の国と同様にジョブ型雇用社会に移ったとして、そのなかで中小企業が存続するためには「どう取り入れるか」というより「どう取り入れずに済ますか」がメインテーマになるということです。つまり、大半の中小企業にとって、日本が社会的な認識として変容する、ジョブ型雇用社会となるかどうかが、これからの最大の問題となるでしょう。動向を注視する必要があります。

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2021年1月 3日 (日)

四百五十六話 2021年スタート

 新年おめでとうございます。

 昨年からの世界的なコンテナ不足は、年が明けても収まりそうにありません。海外輸送は著しい停滞を余儀なくされています。原因の一つは、コロナ禍による、荷役作業の縮小、遅れと中国のいち早い回復によるコンテナの偏在と言われていますが、それだけかどうか、本当のところは定かはありません。輸送代金は高騰し、扱い業者はいたって強気です。年間契約を反故にし、代金の上乗せをしないと運ばないようです。おかげで海外通販なども、商品より配送料が高くなる例が普通になっていますし、購入してもいつ着くかわからない状態です。
 海外物流は停滞し、コロナ禍は終息の目途が立たず、ワクチンは供給がはじまり、株価は高騰し、米国大統領は替わり、真相が不明な中国は春節をむかえ、混乱の英国は西太平洋に空母を長期派遣し、依然として気候は不順。どう見積もっても、穏やかになりそうにない2021年がスタートしました。

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🎤 年初からどうも不穏な空気が漂いますが、年賀状は平穏な年を願って、穏やかな海に浮かぶ貨物船を描きました。どうぞ、希望が見える一年でありますように。

 

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2020年12月15日 (火)

四百五十五話 冬季賞与

 この冬の大手企業の賞与は平均で昨年比9%ほどのマイナスです。中小企業については、約8割が大阪府下20名以下の企業のデータという大阪シティ信金の調査を見ると、賞与を支給しない企業割合が46.0%と昨年比11.6ポイントの増加です。なかでも小売業は支給しないが70.5%とダントツで調査史上最も厳しい数字となっています。
 正社員一人あたりの平均支給額について見ると、28万7604円で昨年比およそ1万円(△3.4%)のダウンに留まっていますが、これは支給する企業の平均で、毎季、それほど大きな変動はありません。やはり、支給できるかどうかがこの人数規模の企業の業績動向指標と言えます。
 ちなみに支給しない企業で、20人以上50人未満(データの14%)が26.8%、50人以上(5.4%)で16.4%と規模による差は非常に大きくなっています。コロナ禍はとくに中小企業に、また末端の小売業に大きなダメージを与えています。

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