はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2024年3月 5日 (火)

五百三話 中小企業の賃上げ①

 日本がデフレ停滞経済から脱却し、インフレ好循環経済に転換するには賃上げが鍵で、そのまた鍵が中小の賃上げという記事を目にします。
 その中小の賃上げの鍵は価格転嫁といえますが、大阪シティ信金の2月上旬の調査では、価格転嫁できている企業が64.8%と昨年より5.8ポイント上昇しています。これは経済産業省が出している企業全体の昨年からの価格転嫁の概況とも一致しています。
 大阪シティ信金の調査は大阪府下約1000社が対象でそのうち20名以下の少人数の企業が8割を占めているデータです。それを思えば、価格転嫁もジワリと浸透している感があります。
 業種別では製造業65.3、卸売業70.4、小売業61.4、サービス業69.3とまずまずの数字ですが、もっとも末端の運輸業が50.7と低いのがやはり気になります。ここが上がってくれば、中小の賃上げも勢いがつきそうですが、鍵となる内需がもう一つでモノの動きがまだ悪いようです。もう少し時間がかかりそうですが、4月から始まる労働時間規制の影響が最後の鍵となりそうです。

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2024年1月30日 (火)

第五百二話 仕事を深める

 中小企業にとって、これから重要になる施策はいかに仕事を「やりがいのあるもの」にするかでしょう。大手と差別化をはかり、人材の獲得と定着を高めるのに、賃金だけではどうしても限界があります。
 「やりがい」は「業績数値の追求」や「役職位を上げる」など人によってことなりますが、純粋に「仕事を深めたい」という人が増えたのは確かです。それは会社が求めるものとも合致するでしょうし、良い傾向ともいえそうです。
 では「仕事を深める」にはどうすれば良いかですが、会社の仕事内容によってかなり異なります。例えば、営業主体の卸売業などは、「仕事を深める」ことと「部署の責任者になる」「何人かを動かして組織目標を達成する」ことと、あまり乖離はありませんが、スキルとしては見えにくいといえます。製造業などだと「仕事を深めたい」が「人を使う仕事は苦手、避けたい」という人も多いでしょう。でも、スキルとしては見えやすく、ステップアップしやすいともいえます。
 これからは、「仕事を深める」ことについて、具体的にどうすることで、どのように伝えれば良いか、自社の仕事と照らし合わせてよく検討する必要がありそうです。また、その場合に目標管理の手法はおおいに役に立つと思われます。

✒弊著の出版社から書店フェアの写真が届きました。有隣堂ららぽーと豊洲店と住吉書房元住吉店で、自己啓発関連のビジネス書のフェアのようですが、Photo_20240130102702 Photo_20240130102701 こうして並ぶとなかなかインパクトがあります。わたしの本も良い場所に2冊並んでいて、有難いですね。

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2024年1月 5日 (金)

第五百一話 令和6年

 はじめに、元日に能登半島で発生しました地震で犠牲になられた方々にお悔やみ申し上げますと共に、被災された多くの皆様にこころよりお見舞い申し上げます。また、被災された方々の安全と一日でも早い復興を祈っております。
 今年の日本経済の目玉はやはり賃上げです。でも、その賃上げは二つあり、その一つは春闘で大手の数字です。もう一つは中小の賃上げです。
 大手の賃上げは7月くらいには結果がわかります。すでにイオンはパートの賃上げを7%と謳っています。それに対して中小は大手の春闘の後から始まり、年末くらいまで交渉やらが続きます。また、結果の数字もはっきりとしないところが多いです。よって、日銀も数字が明確に出なくとも大勢が判明すれば、方針転換を実施すると言っています。
 大手は好決算が予想されますが、値上げを転嫁できていない、人不足で売上機会を逃しているなど、中小はもう一つのところが多いです。インバウンド効果も恩恵を受けているのは大手だけで、中小にはまだまわって来ていないと言えます。
 したがって、今年のカギを握る中小の賃上げですが、人不足で初任給を上げざるを得ないというトリガーだけではもう限界に来ていると言えるでしょう。但し、明るい兆しはあります。昨年3月と9月に行われた経産省の価格転嫁調査結果は価格交渉が半年で大きく増加したものでした。間もなくその効果が出始めると思われます。

✒イラストは、おそらく穀物をサイロに荷揚げする貨物船と思われますが、この大きな船は地球の裏側から来たのかも知れません。夕焼けに染まImg_5807 り、船の灯りも燈りはじめています。もう暗くなる前の美しい僅かな一瞬ですが、地球も周っているし、経済も地球を周っているという壮大な感覚を感じさせてくれます。佳い一年になって欲しいものです。

 

 

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2023年11月28日 (火)

第五百話 中小企業の冬賞与

 大阪府下およそ1000社の中小企業の調査(うち約8割が20人未満)をまとめた大阪シティ信金のこの冬の賞与(予定)を見ると、「支給する」企業は昨年冬比で全体では2.9ポイント上がっていてコロナ前にほぼ戻したのの、卸、小売、サービスでマイナスとなっています。うち小売は▲6.1と大幅なダウンです。インバウンド効果で活況かと思いきや、コストアップが転嫁できていない厳しい状況が想像されます。
 大きく伸ばしたのは運輸業で18.0ポイントアップですが、これは昨年の▲15.7の反動といえそうです。最も「支給する」比率が高いのが建設業で一人当たり平均支給額も321,966円と製造業(311,282)を抜いて最も高くなっています。確かに大阪市内のクレーンの稼働状況を見ても納得できそうです。
 データで少し気になるのが「支給事情」です。全体での支給率は上がっているものの、「多少無理をして支給する」のが昨冬比10.4ポイントも増加し、近年で見ても最も高くなっています。とくに製造業が23.2ポイントと一番増加しています。これは人材不足、人の採用と維持に苦戦している姿が現れているように思われます。

✒ お陰様 Photo_20231128094102 で弊著前作の「人を使うのが上手な人のリーダーのワザ」が増刷となりました。新作「はじめてリーダーになったら必ず読む本」と同じく、こちらも「コツコツ」と売れているようです。

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2023年10月31日 (火)

四百九十九話 現場のリーダーの役目とリーダーシップ

 弊著「はじめてリーダーになったら必ず読む本」は、現場のまとめ役を担ったら、その心得と「何をすべきか」とを解説した本で、小さなチームをつくる観点からチーム・リーダーの役割全体をわかりやすく網羅しています。Photo_20231031140001
経営者はチーム・リーダーにリーダーシップを期待しますが、リーダー・シップはそれほど重要な要件ではありません。中小企業で現場のまとめ役としてのチーム・リーダーにリーダーシップを求めたら、成り手はほとんどいなくなってしまうでしょう。そもそもチーム・リーダーの役目とリーダー・シップは直接には関係ありません。
 リーダーシップを求めるよりも、会社は「何を期待しているか」、「何を求めているか」を伝えることの方がよほど大事といえます。リーダーの本はそのことをサポートするために書いた本です。
 「指示・采配をテキパキと行い、次々起こる問題に対して間髪入れずに判断して行く」ことが苦手でも、腕っぷし自慢の漁船の漁師をまとめ、漁獲高を日本一に何度もする船長(漁労長)がいることが、リーダー・シップだけがリーダーに必要な資質ではないことを物語っています。
 慢性的に人材不足の中小企業は、誰でもとは言えなくとも多くの人が「身につけられること」を積み上げていくしかないように思います。

✒自宅の近所にお住いの500名ほどの会社の社長さんが新刊を2冊購入してくださいました。「現場のリーダーが全体を知るにはとても良い本」とお褒めと研修で使いたいとの言葉を頂きました。一冊は電子書籍版で間違って購入されたようですが、持ち運びがよくて電車や飛行機の移動中に読めて気に入っているとのことでした。有難いですね。


 


 

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