はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2021年4月 5日 (月)

四百六十二話 コロナ禍下の中小企業の賃上げ

 大阪シティ信金の調査によると、大阪の中小企業の賃上げ動向(大阪府下約1000社のデータでそのおよそ8割が20名以下の中小企業)は、賃上げする企業が全体で16.0%の昨年比4.6Pの減少で、リーマンショック後の12.4%以来の低さです。据え置きが77.5%(同0.7P増加)、賃下げは6.5%(同3.9P増加)と予想通りの厳しい状況が伺えます。業種別では小売業が悪く、賃上げが8.1%(同2.7P減少)、賃下げが20.2%(同13.4P増加)です。
 賃上げ率は賃上げ実施企業全体で2.88%で昨年比0.11P減少と思いのほか悪くはないものの、賃下げ企業まで含めた全体の賃上げ率は0.13%の低さとなっています。大手の賃上げが日経の一次集計で1.66%でこれからまだ下がるでしょうが、それでも中小企業との差は大きいといえます。
 これからの人件費については、増やす方針の企業が16.0%で5.2P減らし、減らす方針が13.6%で同7.5P増加です。人件費の停滞、低下は消費に影響するでしょう。まだ当面、景気は厳しそうです。

 

 

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2021年3月29日 (月)

四百六十一話 目標面接の再開

 コロナ禍で、先行き不透明なことから目標設定自体を先送りしていたり、接触機会、三密を減らす観点から、目標の面接を中止していた会社が多かったのですが、ようやく再開の兆しが見えてきました。
 多くの会社でコロナ禍の影響はまだまだ大きいものの、目標設定の目途が立たないという混乱の状態からは落ち着きを取り戻せはじめていて、「打つべき手」もそれなりに見えるようになって来たようです。それに伴い、目標面接の必要性が再認識され、またオンラインによる面談なども定着してきたことから、目標面接を再開するところが増えて来ました。
 目標面接の中断と再開により、中小企業にとっても目標面接の実施は三つの点で大きな意義があることが再認識されたともいえます。一つは、会社全体のなかで自身の役割はなにか、一番に挙げるべき目標は何かを再確認できたこと。二つには、このような非常時こそコミュニケーションの重要性を再確認できたこと。三つ目は、目標管理の第一の目的である、目標によって自身の仕事をマネジメントする重要性を再確認できたこと。その意味では、せざるを得なかった目標面接の中断も意義があったといえそうです。

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2021年3月 2日 (火)

四百六十話 中小企業の人事のコツ⑥

 仕事をどうやり繰りするかというマネジメントの観点から見ても、ジョブ型雇用は馴染まないという中小企業が多いでしょう。けれども、今後ジョブ型雇用が広がっていくなかで、ジョブ型の「仕事を明確にする」という側面は、中小企業も受け入れざるを得ず、また多くの中小企業にとってメリットも少なからずあると思われます。
 中小企業では実際のところ、本人の仕事を明確にせず、仕事を与え、仕事がまわっている会社が多いと思います。けれども、仕事を明確にすること、すなわち、「あなたのメインの仕事(役割)は〇〇と〇〇です。」「あなたに期待することは〇〇です。」などと、定期的に明示することは、雇用契約上の必要性からだけでなく、本人のモチベーション・アップや定着率の向上、生産性の向上につながるでしょう。その傾向はこれから益々強くなるはずです。
 本人のメインの仕事に限定し仕事を明確にすることは、「何でもする、何処へでも行く、残業も厭わない」という一般的にいわれるメンバーシップ型雇用の「暗黙の了承」を維持しながら、ジョブ型環境への対応をある程度可能とするでしょう。管理・監督職に「部下の仕事を明確にする」というマネジメント・ツールを与えるべきといえます。

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2021年2月16日 (火)

四百五十九話 採用の山と谷

 コロナ禍で採用難が一転して、買い手市場となりました。昨年と今年の新卒者にとってはまさしく青天の霹靂です。中小企業にとっては、またとない人材獲得のチャンスといえますが、コロナ禍が収束すれば、また売り手市場一色に戻るのは目に見えています。よって、この機会を活かせるかどうかは少し長い目で見ると大きな鍵となりそうです。このような時期に採用に力を入れるのは中々できないのですが、この機会を活かせる会社とそうでない会社とで、大きく差がつくかもしれません。
 多くの中小企業は少し前まで、求人はするも応募者がない、応募者があっても人材が選べない状態でした。それが今は、多くの業種でじっくりと選べ、自社に適切な人材がいなければ、慌てる必要がない状況が続いています。もちろん、このような余裕のある会社は多くはないでしょうが、それが可能な状況となっています。
 人材を選ぶというのは、相手を見極めるわけですが、数回の面接程度では非常に難しいものです。また、良いと思った人材も会社に合っていなければ、売り手市場に変わった途端に辞めてしまいかねません。買い手市場、売り手市場に拘らず、もうこれからは、採用と定着に知恵を使い、力を注がない会社に良い人材は集まらない時代になったといえそうです。

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2021年2月 8日 (月)

四百五十八話 中小企業の人事のコツ⑤

 中小企業の採用戦略は大きく二つになります。新卒採用中心か、中途採用中心かです。
 新卒採用の大きなメリットは、組織だった人材階層をつくりやすいことと、20代、30代の層を充実させやすいことです。但し、ある程度継続した採用が前提となり、それなりの社員人数の規模が必要となります。また、デメリットは教育に時間・労力・コストがかかることです。そのために、短期で辞められても根気よく採用と教育を続ける覚悟が必要となります。
 それに対して、中途採用の大きなメリットは何と言っても即戦力です。したがって、即戦力になる人材を見極めることが重要になることと、即戦力型人材を活かすには、与える仕事を明確にしておくことが大切となります。中途採用は社会人としての常識や会社での仕事の基本は備わっていることが前提ですので、中小が苦手とする教育の負担は格段に減ります。但しそれは、逆にいえば、教育の土壌が育ちにくいともいえます。もう一つの大きなデメリットは、採用が継続されないこと、年齢が順送り型になりにくいために、いつまでたっても後輩ができない社員ができやすいことです。教わる、教えるという経験は重要で、マネジメント力を高めることに大きく寄与します。また、後輩ができることで、自分の力量の確認ができ、スキルアップ意欲につながります。

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