はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2022年8月 5日 (金)

四百八十八話 インフレ手当

 エネルギー価格の高騰、モノの値段の高騰を受けて、サイボウズがインフレ特別手当を支給するという記事が載り、話題となりました。契約の労働時間に応じて6~15万の一時金のようで、会社は賞与扱いとしているようです。
 昇給やベアだと固定費化してしまいますし、通常の賞与に加算だとインパクトが薄れます。給与の補填を支給する前提なら、なかなか良い方法のように思われます。
 会社も社員も、できれば給与・賞与ではなく、所得税や社会保険の対象外を望むところでしょうが、名目は労働の対価ではないですし、継続性のない一時的なものですが、一律性が強いことですし、対象外とするには難しいと思われます。
 サイボウズ以降、インフレ手当の支給を検討している会社が多いとか聞きますが、そもそもインフレ手当は、インフレを価格転嫁できている会社が出すはずです。材料代や電気代は高騰するのに転嫁できていない会社は、それどころではないでしょう。
 これから、会社間の給与差が開きそうです。それは人材の獲得、確保に直結することでしょう。

✒ 神戸港周辺はこの暑さにもめげずにガントリークレーンが忙しく働いています。確かに海風は多少ましで、涼しく感じられます。22たぶん、これから大型貨物船がクレーン前の岸壁に横付けされるのでしょう。タグボートが位置を定めに動いているのでしょうか。貨物船をタグボートが押し、横付けしたら、そのあとはクレーンの出番となるはずです。コロナであろうが、インフレであろうが、港の働く機械はいつも通り、やるべきことを淡々とやっています。


 

 

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2022年7月14日 (木)

四百八十七話 中小企業の夏季賞与

 今年の夏季賞与は、経団連の第一回集計で13.81%で集計以来の過去最高となりました。製造業で15.11%増、非製造業で6.99%増で産業による格差はでましたが、概ね業績が良いことがうかがえます。
 中小企業はどうかですが、大阪府下20名以下の中小企業が約75%という大阪シティ信金調査のデータでは、全体では支給する企業が前夏季と較べて、7.9ポイント増加していますから、全体では回復傾向が見られ、このコロナ禍の2年間をもどしたかたちです。但し、業種別では運輸だけが△11.4ポイントの大きな落ち込みで、末端の荷動きが悪い様相が想像されます。但し、小売りは16.3ポイントと頑張っていますので、消費は回復傾向にあると言えるでしょう。4月以降のコロナ禍の感染率の減少が景気にあらわれたといえそうです。このまま景気上昇が続けば良いのですが、このところの急激な感染増加の影響が懸念されます。
 但し、景気の回復と共に人不足が顕著になっています。大手企業が採用のアクセルを踏み始めると、中小の人材獲得に急ブレーキがかかるという構造が定着してしまいました。今や、新卒から中途採用、派遣社員にいたるまで厳しい状況となりました。中小がとる採用戦略としては、大手とまったく異なる方策を真剣に考えなくてはならなくなりました。

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2022年5月 6日 (金)

四百八十六話 人材採用戦略

 中小企業の採用方針の一つ目の選択は、新卒メインか、中途採用メインか、或いは混成かを決めなければならないことです。これは、大手企業も同じですが、近年、大手企業も中途採用が増えてきたものの、実態はまだまだ新卒中心となっています。中小企業では様々な理由から、中途採用100%の会社は沢山あります。新卒、中途採用、どちらが自社の仕事、組織、経営方針に相応しい人材を獲得できるかを一度は考える必要があるでしょう。
 採用方針のもう一つの選択は、採用基準のバーをあげて高技能集団等をめざすか、あるいはそこそこの人材を上手くやり繰りして活用するかです。採用基準のバーをあげて人をセレクトするには、賃金の水準や企業の知名度、魅力度、仕事の魅力度がないと難しく、その要素に欠けると、はなから人が集まらないでしょう。よって、この選択をできる中小企業は非常に限られることになり、多くの中小企業は「そこそこの人材を上手くやり繰りする」しかないのが実際のところです。「そこそこの人材を上手くやり繰りする」ためには、教育とマネジメントが重要なのですが、どちらも苦手な会社が多いのも事実です。それでも多くの会社が上手くやって行けているのは、優秀な経営者がすべてを見ているからです。でも、この構造も危うくなる局面が訪れます。それは、一つが事業の継承のときであり、もう一つが人数が増えて、経営者が見渡せなくなるときといえます。

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2022年4月18日 (月)

四百八十五話 ベースアップ

 先月くらいから関与先等からの昇給の相談が増えています。その内容からすると、今年の昇給は統計機関の当初の予想値よりも少し上がるように感じます。中小企業においても業績の良いところは結構あり、ベースアップなど賃金表の書き換えの依頼が例年より多いといえます。
 理由の一つは、コロナ禍に目処がつき、世間の動向が経済に舵をきり始めたこと。二つには、物価の上昇で賃金も上がるだろうと先取りしたこと、三つには採用市場がコロナ禍前の人材不足に戻ったことがあげられます。とりわけ、新卒の採用は厳しいようで、初任給アップはベアに繋がります。
 中小企業においても、昇給を定昇とベアにわけて考える会社が増えました。但し、自動昇給による定昇は少なくなり、人事考課にもとづく査定定昇が殆どとなりました。
 コロナ禍とウクライナ侵攻の影響で企業は業績の差が大きくなりましたが、賃金もまた企業間の格差と評価による昇給格差で、大きくなりつつあります。

 

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2022年3月14日 (月)

四百八十四話 中小企業の人事のコツ⑮

 目標管理で目標を設定し、「やれやれ」と思っていると往々にして失敗をします。目標設定は大事ですが、目標管理の目的はあくまで目標達成することですから、設定してからが本番といえます。
 前回に、早い段階で目標の進捗確認をすることが大事と書きましたが、進捗確認の面接(レビュー)をすることで様々なことが見えてきます。進捗確認のの面接には、大きく四つの確認事項があります。
 一つは、目標が「どこまで進んでいるか」ですが、同時に目標を正しく理解しているか、現実と乖離していないかなど目標設定の妥当性を検証します。当初は机上の設定だったものが、実際に少し進めた後に確認することによって、双方ともによくわかるものです。
 二つには、「障害や問題は無いか」です。順調に進捗していて、障害や問題が無ければ、上司からの余計な干渉は不要でしょう。もし、障害や問題があれば、当然、取り除く必要がありますが、上司はそれが何かを本人に明確に理解してもらうことが大事になります。少しも進んでいない、予定通り進んでいないのも勿論、ここで扱う「問題」なわけですが、その本当の理由を正しく共有することが必要です。たいていは本人が「ルーチン業務が忙しくて、単に手をつけていないだけ」という場合が多いので、その場合は「いかに手をつけさせるか」を実行すれば良いことになります。でも、ここで「手をつけていない」理由が他にないかを探ることは重要です。さもないと、目標はずっと「手をつけられない」ままになりかねません。意外に「言えない理由」があったりするものです。
 三つには、「達成の見通し」です。本人がどう考えているかが大事ですし、見通しを共有することが必要です。同時に目標管理は目標をあくまで達成することが目的ということを再確認します。上司からすれば、「いかに達成させるか」を忘れてはいけません。
 最後は、目標に対する「次のアクション」です。上述の三つは飛ばしても、この確認だけを押さえておけば、目標は確実に前進する魔法の言葉といえます。目標を少しでも進める上では、結局のところ、次に「いつ」「なにをするか」がもっとも鍵となるわけです。

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