はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2021年11月12日 (金)

四百七十七話 賃上げの年

 第6波は来るでしょうが、コロナ禍に一定の目処がついたという社会的な認識が広まれば、経済活動は活発化しはじめるでしょう。2年間の停滞を取り戻す動きは、急激に且つまだらにやって来そうです。
 長引く物流の世界的な停滞と東南アジアの工場の停滞、原油の高騰の影響でで物価は上昇しはじめています。物価の上昇と共に賃金も上がっていくでしょう。また、コロナ禍で流出した人材は、景気が戻ってもすぐにはもとに戻りません。サービス業、卸小売業、製造業で50万人は流出していると思われます。その穴埋めをするために人材を採り合うのは目に見えています。これから人不足が急速に起こり、賃金を上げないと人材は採れなくなるでしょう。合わせて、岸田政権は賃上げ政策を打ち出し、労使に賃上げをせまることでしょう。
 加えて、人不足、賃上げは世界的な流れですから、優秀な人材を海外から集めるためには、大手は賃上げをせざるを得ません。それは、一律ではなく、まだらに起こるでしょうが、賃金の下方硬直性から、全体を押し上げることになりそうです。
 来年は賃上げの年に間違いなくなるでしょう。賃上げをできる会社とできない会社でさらに差は広がりそうです。

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2021年10月25日 (月)

四百七十六話 割増賃金不払い

 厚労省から令和2年度の1社で100万以上の割増賃金の遡及支払いを行った状況が公表されています。主にサービス残業や不適正な算定方法によるものと思われますが、全部で1062社、1社あたり658万円平均、労働者1人当たり11万円となっています。また、1000万以上支払った企業は112社です。それでも、この10年間で最も少なくなっていて、コロナ禍の影響の大きさがこのような数字からもうかがえます。
 但し、この数字は労基署の定期調査および申告による調査の結果にもとづいた遡及支払ですが、来年4月以降は未払い残業の時効がこれまでの2年から3年の実質適用となり、遡及金額が増えそうです。

現代書道をしている友人田口梅屋君の展覧会が神戸の舞子公園にある旧木下家住宅で行われています。旧木下家は舞子の駅からすぐそばにある、あまり知られていない驕奢な昔の日本家屋ですが、現代書道の掛け軸など見事にマッチするのが不思議です。Photo_20211025113201Photo_20211025113202 Photo_20211025113203

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2021年10月21日 (木)

四百七十五話 人手不足の再来

 感染者の急激な低下、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の解除、ワクチンの浸透率のアップ、経口新薬等の供給の開始など期待も交えて、経済活動がコロナ前に向けて動き始めています。おそらく、第6波は来るでしょうが、山も小さく収束も早いと予測する人が多いようです。なにより、重症化率は確実に低くなるでしょう。それらを見込んで、景気は上向いてきています。
 経済活動の高揚と共に人材不足が懸念されます。日本総研のデータを見ると、このコロナ禍の1年間に対面型サービス業では19万人が他業種へ流出しています。製造業、卸小売りも対面型サービス業ほどではないですが、5万人前後流出しています。これらは当然ですが景気が回復したからと言って直ぐには戻りません。これから、年末以降は採用で困る企業が続出する可能性が大きいと言えます。中小企業は来年、コロナ前以上に人材不足、採用難が懸念されます。

✒  東京国立にスタッフが全員障がい者というスターバックスコーヒーがあります。日本のスタバではここだけ、世界で5番目ということです。手話Photo_20211021100101 Photo_20211021100102 ーダーできるよう   になっている(もちろん普通にオーダーもできます)のですが、その他は何ひとつ他のスタバと変わりません。スタッフはとてもてきぱきと働いていて、お客の不自由はまったくありません。珈琲をオーダーしてしばらく仕事をしていたのですが、働きぶりを見ていると清々しい気持ちになります※写真の看板のスタバの文字が手話になっています。店内は撮影禁止のため外観だけです。

 

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2021年10月 4日 (月)

四百七十四話 中小企業の人事のコツ⑬

 はじめて目標設定してもらうと、ほとんどの人が抽象的な達成基準を書きます。「得意先をできるだけ沢山訪問する」「今まで以上に提案数を増やす」「これまでと違う新しい市場を開拓する」「自責のミスを減らす」などですが、これらは「目標の方向」であって、「達成基準」とは言えません。ここから、できるだけ具体化しないとなりません。
 また、目標を達成するには、とうぜん本人が達成に向けてアクションを起こさないとなりませんが、抽象的な達成基準だと「いつ、なにを、どうするべきか」というアクションの動機付けになりにくいのです。よって、抽象的な達成基準のままだと、目標は達成されにくいといえます。
 達成基準を具体化するためには、上司から次のような質問が有効です。たとえば、「訪問するのは何軒か」、またそれは「6か月の合計なのか、毎月の件数なのか」、あるいは、「新しい市場の開拓はどこまでできそうか」、「それは新商品提案なのか、新しい顧客とコンタクトをとることか」などという具合です。このことによって、ぼんやりしていた目標が明確になって行きます。ただし、すべての達成基準を具体化できるかといえば、できないものもあります。正確に言えば、「机上で考えている、今はまだできない」のです。つまり、何か一つを具体化し、一つステージが進まないと、次の具体化が見えないものというのは結構あるのです。
 したがって、目標管理とは言い換えると、目標を具体化して行く作業ともいえます。そのために、上司の役割はとても大きいと言えます。

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2021年9月14日 (火)

四百七十三話 中途採用

 中途採用はコロナ禍前のことを思えば、比較的採りやすい状況といえます。したがって、できればじっくりと見極め、自社に適う人材を採りたいところです。
 一般論を言えば、中途採用は即戦力重視といえますが、自社が求めている人材を見失わないことが肝心でしょう。送られてくる履歴書や面談をすると、どうしてもいずれの応募者も良く見えてしまいがちです。とくにこれまで応募が少なかったり、一向に良い人材に巡り合わなかったりということがあったりすると、何人もの応募があると期待が先行してしまいます。また、安くはない採用費用を思えば、この機会に決めてしまいたいと思いがちです。
 けれども、自社に合っていない人材をいったん採用してしまうと、すぐに辞めて貰うのも難しく、そのマイナス効果は大きいものです。とくに指導やらミスのリカバリーをしないとならない現場の負担はたいへんなものとなります。新人への期待が落胆に変わるわけですから、精神的にも堪えるでしょう。
 自社が求めている人材を見失わないためには、その要件を書きだすことです。標準的なところではポイントは3つです。一つは、任せる業務への適合性です。職歴等の確認は大事ですが、試験も必ずすべきです。営業の経験あって流暢に喋る人でも、文章がまるで書けない、計算ができない人は多いものです。二つ目は、報連相の能力です。これが弱いと現場が苦労します。こちらの伝えたことをきちっと理解し、返答できることを面談で見極めます。最後は、人に合わせることができるかどうかです。人の話を素直に聞く姿勢があるかなどです。これも面談で判断するしかありません。したがって、2回は面談の機会を設けたいものです。

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