はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2021年8月 1日 (日)

四百六十八話 中小企業の人事のコツ⑩

 書店に並ぶ目標管理の本を読むと、いずれにも「目標は自分で設定する」とあります。でも、これまでずっと指示を受けて、あるいは昨日の仕事の続きで仕事をしていて、目標の意識など持ったことのない人にとって、「目標を自分で設定する」のは極めてハードルの高い作業となります。実際に目標管理のしくみを説明し、目標設定シートを渡してもいつまでも白紙のままという人が大半になります。多くの中小企業では管理職クラスであっても、それが実態といえるでしょう。したがって、「目標は自分で設定する」技術を根気よく教えないとなりません。但し、OFFJTでは上手く行きません。目標管理は実践で、つまり実際の自分の仕事で考えないと、結局はわからないことになります。つまり、目標管理を実際に進めながら、学習していくしかないわけです。よって、目標シートは白紙から、文字が書き込まれては修正が繰り返されることになります。最初の1年間は学習期間くらいに思っておかないとなりません。中途半端に制度構築にウェイトを置いて進めてしまうと、後々ずっと精度の悪い目標設定に苦しめられることになりかねません。
🎤 暑中お見舞い申し上げます。神戸のハーバー  ランドの裏に旧神戸港の美しいい信号塔があります。今は使われていないようですが、石造りの土台に木製の建物、その上に鉄塔が立つ姿は異国に接し て開けた神戸の趣があります。ちょうど向かいが川崎重工のドッグで、描きに行った折も潜水艦が2隻停泊していEt2021ました。都会の真ん中に本格的な国際港をもつ神戸は不思議な街です。


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2021年7月 2日 (金)

四百六十七話 転職希望者増加

 5月の中途求人数は、中途採用専門サイトのDodaやエン転職も前年同期に対して2倍以上となっています。企業の求人が旺盛なのは、ワクチン接種の浸透で経済活動が正常に戻って行くと考える企業が多いことの表れでしょう(来年卒の新卒の内定率についても、6月1日時点のリクルート調査で昨年より10ポイント以上も増加しています)。
 このように中途求人数は増加しているのですが、求人倍率は下がっています。これは転職希望者数も増加したからです。5月のDodaに登録の転職希望者数は前月比で3.6倍にもなっています。
 転職希望者数は即、転職者ではありません。求人サイト等に取り合えず登録しておく人の人数で、良い条件、希望の条件の会社があれば、転職する人たちで、いわば転職予備軍です。
 この時期に急激に転職希望者数が増えていることに、会社は注意しておかないとなりません。転職希望者数増加理由の一つは、新卒採用者のアンマッチと思われます。この4月卒の求人がコロナ禍で低迷だったために、新卒者で希望の会社に入れていないという人が多かった可能性があります(これは大卒だけでなく、高卒にも傾向が見られます)。それが求人数、つまり求人に積極的な会社の増加とともに転職希望者も増えたと考えられるからです。したがって、この時季に新人のフォローを積極的にする必要があると言えるでしょう。「まだ入社3か月だから」といって、「仕事や会社に慣れる仕事」だけでなく、「仕事の醍醐味が味わえる仕事」を混ぜてやらせてみるのも必要なように思われます。

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2021年6月18日 (金)

四百六十六話 中小企業の人事のコツ⑨

 目標管理の概要は、①本人が目標を設定し、②設定した目標の達成に向けて遂行し、③設定した期日に達成結果を確認し、①’また次の目標を設定し・・・以降を繰り返すという、単純なものです。よって、「制度」と呼べるほどの形式のあるものではなく、その内容が導入の価値を決めるものといえます。つまり「どのような目標を設定し達成したか」がすべてなわけで、形式はどのようなものでも構わないのです。したがって、他の人事制度と違って「かたち」をつくっただけでは成り立たず、まず「自分の目標」を設定しないと何も始まらない制度なのです。
 但し、そこにもう一つファクターが加わります。「自分の目標」といっても、なんでも良いわけでは当然ありません。会社という組織の中では自分の役割を果たすことが第一義なわけですが、それを度外視した目標はあり得ないでしょう。かといって、自分で何とかできないような目標は目標管理が扱う目標ではありません。自分の役割と設定すべき目標とがイコールとは限らないのです。そこが目標設定の難しいところですが、でも導入しても何を設定すれば良いか、わかっている人は多くありません。
 ほとんどの人は設定した目標が適切かどうか、判断できないのです(逆にいえば、わかっている人は目標管理などなくとも、しかるべき目標を達成し、どんどんパフォーマンスをあげます)。そこで、本人が設定した目標が適切かどうか、それを確認する必要があります。それが、もう一つのファクターである上司なわけです。つまり、目標管理とは、本人の目標に上司が適切な距離をもって関わり、本人の目標の達成をめざす制度といえます。
✒ 神戸の岡本にある、ブロイン堂は「昔のパン屋」という佇まいの小さなベーカリーです。人気の食パンは電話予約制ですが、なかなか繋がらず、すぐに完売になってしまいます。今年1月にTVの情熱Img_4514 大陸でとりあげられてから、さらにひどくなりました。ブロイン堂のパンはこだわりです。昔ながらのレンガ窯で焼きあげた頑固で硬いが味わい深いパンで、流行りの柔らかい食パンと一線を画します。創業89年、ずっと同じ窯で焼きあげたパンに競合する相手はいません。ブランドとは何かを教えてくれます。

 

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2021年6月10日 (木)

四百六十五話 コロナ禍の回復

 ワクチン接種で先行する米国や英国を見ると急速に経済が回復し、それに伴い、偏ってはいますが物価の上昇と人手不足が深刻になっています。勿論、変異種などによる不確定な要素はありますが、同様のことが早晩、ワクチン接種が進むわが国でも起こるのではないかと思われます。
 物価上昇と人手不足はとうぜん、賃上げに直結します。また、昨年は全国加重平均で1円しか上がらなかった最低賃金を政府はもとに戻し、早く全国平均額を1000円にするために、上げ幅をこれまでの20円台後半にする方針です。最低賃金がどうなるか、先行きまだわかりませんが、賃金は全体に上がると考えていた方がどうやら良さそうです。
 中途採用は、例年だと今が一番採りやすい時期で、これから年末に向けて求人倍率が上がっていきます。おそらく、今年はそのカーブが極端になるでしょう。ということは、採用についてはこれから夏くらいまでがチャンスで、その後は途端に厳しくなりそうですから、採用を迷っているような会社は「思い切って、今のうちに」と決断されてはどうでしょうか。勿論、「今のうちに」というのは「じっくり応募者を選べるのは」という意味ですが。


 

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2021年5月31日 (月)

四百六十四話 中小企業の人事のコツ⑧

 これから数回にわけて、「目標管理」について説明します。「目標管理」はきちっと導入できれば、中小企業においてもデメリットのほとんどない制度です。また、評価制度や等級制度などの他の制度がなくても、単独で導入可能です。その意味では、正しく理解して導入すれば、あるいは有能なマネージャがいれば、他の人事制度のように「制度化」を意識する必要もないといえます。もちろん、「組織の制度化」ための一ツールとしても利用できます。
 中小企業において、「目標管理」の導入のポイントは、「目標を設定し遂行する人」、つまり部下本人にいかにフィットさせるかに尽きると言えます。失敗する企業の多くは、その逆で、「かたち」を押し付けようとします。「目標管理」は「目標を設定し遂行する人」のツールであり、「目標は自分の役割を全うするために設定するもの」という原点を忘れてしまいがちです。
 導入を一度失敗したら、立て直すのに導入時の何倍もの時間と労力を必要とするものです。逆に上手く行ったら、業績にも組織の活性化にも大きく返ってきます。その意味では慎重にすべきといえるのですが、「慎重に」というのは、一つのことだけを守ることです。それは、「上司側が目標管理を良く理解する」ということだけなのです。

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