はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

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2021年1月16日 (土)

四百五十七話 中小企業の人事のコツ④

 コロナ禍の影響もあって、今年はジョブ型雇用の本格導入がわが国の人事の大きなテーマになるといわれています。すでに導入、または導入を決定した大手は増えていますし、経団連も推奨しています。
 ジョブ型雇用は雇用形態の一つですが、これまでに何度か我が国に訪れた人事のトレンド(能力主義や成果主義など)と違い、大半の中小企業にとっては「どう取り入れるか」が問題となるものではありません。ジョブ型雇用は「何でもする」「どこへでも行く」「残業も厭わない」という総合職雇用の対極で、簡単にいうと、「それはわたしの仕事ではありません」といえる雇用形態です。したがって、限られた人材でめまぐるしく変容する市場を生き残らんとする中小企業にとって、軸となる人事施策としては、はなから選択肢には成り得ないでしょう。それでも、中小企業にとってジョブ型雇用は非常に大きな影響をもたらすはずです。
 現在の日本は能力主義社会です。職能給、職能等級制度、総合職、定期採用、定期昇給、終身雇用、企業内組合などがその構成アイテムで、日本の人事の特徴で日本独自といえるものです。大半の中小企業はこの能力主義社会から多大な恩恵を受けているといえます。よって、仮に日本以外の他の国と同様にジョブ型雇用社会に移ったとして、そのなかで中小企業が存続するためには「どう取り入れるか」というより「どう取り入れずに済ますか」がメインテーマになるということです。つまり、大半の中小企業にとって、日本が社会的な認識として変容する、ジョブ型雇用社会となるかどうかが、これからの最大の問題となるでしょう。動向を注視する必要があります。

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2021年1月 3日 (日)

四百五十六話 2021年スタート

 新年おめでとうございます。

 昨年からの世界的なコンテナ不足は、年が明けても収まりそうにありません。海外輸送は著しい停滞を余儀なくされています。原因の一つは、コロナ禍による、荷役作業の縮小、遅れと中国のいち早い回復によるコンテナの偏在と言われていますが、それだけかどうか、本当のところは定かはありません。輸送代金は高騰し、扱い業者はいたって強気です。年間契約を反故にし、代金の上乗せをしないと運ばないようです。おかげで海外通販なども、商品より配送料が高くなる例が普通になっていますし、購入してもいつ着くかわからない状態です。
 海外物流は停滞し、コロナ禍は終息の目途が立たず、ワクチンは供給がはじまり、株価は高騰し、米国大統領は替わり、真相が不明な中国は春節をむかえ、混乱の英国は西太平洋に空母を長期派遣し、依然として気候は不順。どう見積もっても、穏やかになりそうにない2021年がスタートしました。

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🎤 年初からどうも不穏な空気が漂いますが、年賀状は平穏な年を願って、穏やかな海に浮かぶ貨物船を描きました。どうぞ、希望が見える一年でありますように。

 

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2020年12月15日 (火)

四百五十五話 冬季賞与

 この冬の大手企業の賞与は平均で昨年比9%ほどのマイナスです。中小企業については、約8割が大阪府下20名以下の企業のデータという大阪シティ信金の調査を見ると、賞与を支給しない企業割合が46.0%と昨年比11.6ポイントの増加です。なかでも小売業は支給しないが70.5%とダントツで調査史上最も厳しい数字となっています。
 正社員一人あたりの平均支給額について見ると、28万7604円で昨年比およそ1万円(△3.4%)のダウンに留まっていますが、これは支給する企業の平均で、毎季、それほど大きな変動はありません。やはり、支給できるかどうかがこの人数規模の企業の業績動向指標と言えます。
 ちなみに支給しない企業で、20人以上50人未満(データの14%)が26.8%、50人以上(5.4%)で16.4%と規模による差は非常に大きくなっています。コロナ禍はとくに中小企業に、また末端の小売業に大きなダメージを与えています。

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2020年12月 6日 (日)

四百五十四話 中小企業の人事のコツ③

 人事考課でもっとも相談が多いのは、考課者による考課のバラつきです。管理監督職によって、評価に甘辛が出るというものです。考課者によって価値観が違うので、考課判定に差が出るのは当然なのですが、その差が許容範囲を超えているわけです。とうぜん、「不公平」という声が上がったり、社長から「なにを見ているんだ」といわれたりして、結局、管理監督職への「評価の移譲」は頓挫することになったりします。「評価の移譲」のハードル一つですが、多くの会社が人事考課制度を運用しているように、是正は可能です。
 その対応策の一つとして、多くの大手企業は考課者訓練を定期的に実施しています。けれども、中小企業では管理職と言えどもプレイの比率が大きく、研修時間を取るのも中々ままなりません。管理職が抜けると現場はまわらなくなりがちです。また、管理監督職の人事考課への認識の差も大きく、短い研修だけでは難しいのが実情です。そこで、時間も取らず効果的な方法として、考課結果の検討会を活用します。実践で自社の考課の考え方を学習し、考課結果の補正も行えます。中小企業では幸い考課者の人数は限られているのでやり易いといえます。

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2020年11月22日 (日)

四百五十三話 中小企業の人事のコツ②

 「人事」は、採用、配置、処遇、教育、評価など、社員が仕事をしていくうえでのベースとなる部分を支えます。それらをルール化したものが「人事制度」ですが、会社が継続するなかで、「制度」を使って人事を動かす必要性が生じるときが何度かあります。
 最もわかりやすい例が、人数が増えたときです。社長一人で全体を見れなくなり、誰かにその役を任せざるを得なくなったときです。通常はそのときに、社長の役目を代行する「管理職」が必要となります。この「管理職」が単なる社長の代弁者でしかないと、下の社員は結局、社長しか見ないことになり、それまでの社長が一人で行っていた「管理」と変わらないことになります。つまり、会社は「管理職」をつくると同時に、判断する権限と責任および「判断するものさし」を渡さないとなりません。
 また、「管理職」にはそれらを使いこなすスキルが求められます。多くの中小企業においては、そこがある程度の人数になったときのハードルとなるでしょう。「管理職」は必要だけれども、「管理職」が育っていないジレンマです。それを解決する一つの方法が「人事制度」の活用です。経験上から言えば、なかでも「評価制度」の活用が最も有効といえるでしょう。ただし、「評価制度」は「管理職のツール」という位置づけをすることが重要な鍵となります。

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