はじめに

 私どものコンサルティングは賃金・人事に特化した、どちらかと言えば少々タイトなコンサルです。もう20年も続けていますが、私がこの仕事に関わり始めた頃と今では状況も随分と変わり、新たに出くわす問題(ご相談)もまだまだ増える一方です。
それらがコンサルティング・マインド、いわば私の好奇心を煽り立て、「惰性でコンサルは出来ない」と囁きます。
 そのような、ちょっと特殊であまり知られていない人事コンサルという仕事に携わり、東西奔走する私の思いつくままを連載いたします。

|

2020年9月 1日 (火)

四百五十一話 ジョブ型雇用の進展

 富士通や日立などがいちはやく、ジョブ型雇用の導入を宣言するなど、90年代後半の成果主義到来時の様相と似てきました。成果主義ではおもに「年功色の払拭」がテーマでしたが、そこに絞れば、成果主義の役目は概ね果たせたように思います。成果主義の第2幕といえる、今回のジョブ型雇用の肝は、日本型雇用慣行の変革です。単に「職務の明確化」や「職務給型賃金体系の導入」に終われば、ジョブ型雇用は未完となり、第3幕を待つことになるでしょう。
 ジョブ型雇用の条件を次のように3つあると言う人もいます。①職務を特定する採用②職務に基づく賃金制度③会社との対等な関係、言いかえると、「ジョブ」が市場で取引される雇用環境、労働市場が整うことを意味します。これは単に雇用の問題だけではなく、仕事の与え方、取り組み方の変更、マネジメントの変革を迫ることになるでしょう。スキルをもった人材を会社で囲うのではなく、社会にプールすることになり、社会の仕組み自体が大きく変わります。まさしく発想の大転換が必要となるでしょう。したがって、そうなるにはまだまだ時間が掛かるはずです。

Photo_20190913114501 🎤「人を使うのが上手な人のリーダーのワザ」 がお蔭様でまたまた増刷となりました。半分がイラストという解説書のためか、コンスタンスに売れているようです。中小企業の主任、係長、課長クラスにお薦めです。

| | コメント (0)

2020年8月 9日 (日)

四百五十話 コロナ禍下の研修①

 今年入社の新人への研修も延期になったりしていましたが、関与先ではおおよそ夏までの予定は完了できた会社がほとんどとなりました。中小企業では研修場所も限られ、大きなスペースをとれないために三密が避けがたく、実施できない会社も多いのが事実ですが、人数を分けたり、換気をとったりと、なんとかやり繰りしていただきました。
 今年の新入社員に話を聞くと、思っている以上に「不安感」を持っているようです。その原因は、一つはこの平常でない状況がいつまで続くのか、この先ずっとなのかということと、もう一つはスキルアップの遅れによるものです。それは、例年からすれば、仕事を経験する機会が随分と少なかったり、予定の教育研修を受けていないために、自分たちはレベルが低いのではという不安です。ベテランからすれば、一時のことでそのくらいの遅れは何ら問題ないことなのでしょうが、当人たちはやはり漠然と不安なのです。その意味では研修の早期復活は良かったと言えます。
 いくつかの会社で年間の教育計画を立ててもらい、実施してもらっていますが、当然今年は計画通りに行っておらず、計画の修正を何度も余儀なくされています。それでも、遅れているけれども、いつまでには予定分は完了するというのを見れるだけで、かなりの安心材料となるようです。また、教える方も変にあせることもなく、きっちり指導できるという声が大半で、教育計画は双方の自信につながっているようです。行きあたりばったりではない、計画的な指導教育は、コロナ禍下でも大事と言え、積み重ねればさらに指導する側の自信につながるでしょう。

🎤 輸出入も大きく影響を2020_20200808180501 受けています。品目の差はかなりあるようですが、全体にはやはり下降気味です。それでも、人の移動は止まりましたが、モノの移動は止まることないでしょう。必要とするところへモノは動きます。グローバルのメリットを享受したら簡単には変わりません。コロナ禍で仕事のあり方、生活の仕方、経済の動きは変わりましたが、それらは無くなったわけでも止まったわけでもありません。ゆるやかであっても、動き続け、変わり続けます。「E LA NAVE VA(そして、船は行く)」です。


| | コメント (0)

2020年7月26日 (日)

四百四十九話 テレワーク面接

 有能な人材を採用し、教育育成して、もっとも相応しい仕事とポストを与え、長期に貢献して貰う、という人事の目的はコロナ下、新常態においても変わりません。けれども、我々はまったく経験のない、予測不能な状況を前にして、氾濫する情報に流されがちです。たとえば、テレワーク面接(オンライン面接)でなければ採用できないと思ってしまいがちです。確かに採用においてもテレワークの活用は便利で有効で、とくに大量に応募者を集め、多人数を採用する大手企業には不可欠でしょう。でも、数人しか採用せず、システム環境では大手にどうしても見劣りしてしまう中小企業において、テレワーク面接が必ず要るかは疑問といえます。採用面接の目的は自社をアピールし、自社にフィットした人材かを見抜くことです。そこに合致する方法かどうかと大手と同じ土俵に上がることにならないかをまずは検討すべきでしょう。
 大手が弱く、中小が勝っている強みの一つは、スピードと小回りが利くことです。時期を選ばず、採用活動を仕掛けられ、トップが直に面談でき、柔軟な条件を提示でき、即断即決が可能など、大手と違う土俵での勝負を考えるべきといえます。

🎤コロナ感染も再び拡がってきましたが、一方で治療薬やワクチンの開発も進んでいます。関西では阪大系のベンチャー企業のアンジェスが6月末に日本初の治験を開始しました。関与する森下教授は以前にわたしどもの会で講演頂き、そのわかりやすい見事な説明に驚きましたが、是非とも年内での実行目途の発表を期待したいものです。

| | コメント (0)

2020年6月23日 (火)

四百四十八話 人事に及ぼすコロナの影響④

 コロナ禍で時差出勤、短時間・短日数勤務、ローテーション、テレワーク等をせざる得なくなりました。多くの会社は緊急対応ということで、試行錯誤をしながら取り入れています。緊急時のやむを得ない状況でのことですから、多少の不備や問題があっても、社員も「仕方ない」とある程度は納得してくれています。それよりも、自身の感染予防がひとまず第一という状況なのでしょう。
 けれども、そのようないっときの事と思っていた状況が長期化し、コロナ禍も少し落ち着きはじめると、イレギュラーな勤務形態の不明な点や取り決めていなかった事項がにわかに問題となって来たりします。多くは、不公平感や損をしているのではという懸念からです。たとえば、週の勤務日数が人によって異なるとか、テレワークの電気代はどちらが負担するのかなど、細かいですが社員にとっては現実的なことです。
 そこで、取りあえずは説明がつくよう、原則的なことだけでも規程化しておこうということになります。よって、これまであまり規程を重視しなかった会社も短時間勤務規程や短時間正社員規程、テレワーク規程などの規程類の整備をあわててするところがこれから増えて来るでしょう。新しい常態化に向けてまずは制度整備からとなります。

| | コメント (0)

2020年6月16日 (火)

四百四十七話 人事に及ぼすコロナの影響③

  コロナ禍は企業間の業績の格差、体力の格差を拡げていますが、勝組には有能な人材確保のチャンスとなっています。じっくり選別できるまたとない機会が来たと考えていることでしょう。また、企業格差はM&Aを推進させそうです。現在はコロナ禍以前のM&Aは中断しているケースが多いのですが、落ち着いてくれば、中小企業間でも活発になり、さらに格差を大きくすることになりそうです。様々な業種で業界再編の声が聞かれることでしょう。
 中小企業におけるM&Aの進展は、とりわけ人事に関していえば、中小企業の弱点を炙り出すことになると思われます。それはマネジメントできる人材の不足です。吸収した会社をグループ会社として統治するにしても、一部門とするにしても、「方針を示し任せてチェックすること」と「進捗と成果及び課題を正確に報告する」というマネジメントの基本スキルが必要となりますが、その人材が育っていない、そのような人材を輩出できる土壌になっていない会社が多いのが実情です。いわば組織で仕事をまわすことに取り組んでこなかった宿題がでてきたことになります。マネジメントできる人材の差で、さらに企業の差がつくことになることでしょう。
 中小企業においても、目標管理を導入している会社が増えましたが、上述のような「マネジメントの基本」に焦点を当てて運用している会社はそれほど多くはないでしょう。目標管理が形骸化している会社は、見直す良い機会かもしれません。

| | コメント (0)

«四百四十六話 人事におよぼすコロナの影響②