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2008年5月26日 (月)

二話「社員教育の実例の本から」

 先日、北陸への日帰り出張があり、大阪からサンダーバードの往復で、「手を挙げた人、全員内定。」(東洋経済出版社)という、新人採用と社員教育についての本が一冊読めました。著者は外食チェーン株式会社KOURAKU GROUP代表の福原裕一氏で、この著書の中で「今の若者は自由に苦しめられている…昔は大学に入るために受験をし、大学卒業後は就職して定年まで勤めるという社会のレールが敷かれていました…バブル崩壊後、そのレールがなくなってしまい、…すっかり自由になってしまった。…自由になれば自分でレールを敷かなければなりません…自由=不安定、不自由=安定…自由になればなるほど自分の将来像が描けず不安になる…」と言うようなことを書かれています。私も同感で、指導先の会社等における多様化した働き方、ライフスタイルの多くの若い人たちを見ていると確かに自由を謳歌しているとはあまり思えません。「自由は欲しいが自立には尻込み」のアンビヴァレンスな感情を解き放てないでいるようです。でも、またその一方で優秀な人も本当に増えたように思います。最初からパソコンが普通に使えるし、物怖じせず、自分の考えをはっきり言う、自分がやりたい仕事を持っている、等々。その点では今の若者ははっきり二つに分かれるように見えます。そうだとすると若者を二つに分けるそのキイワードは察するところ、「自立」「自己責任」と言えるでしょうか。
  福原氏はこうも言っています。「今どきの若者は根気がない、意欲もない、仕事をなめている…果たして本当にそうなのでしょうか…私から見れば、今の社会や企業は若者を本気にさせる場を与えていないとしか思えない…」同感ですが、そうは入っても会社はたいへんです。この二つのタイプの若者への処方箋が自立、自己責任だとすると、これまで、そのような仕事の与え方をして来ませんでした。年配の管理職も自分たちがそのように教わって来ていません。自立できない若者と自立志向の若者に受け皿を用意できない会社。急には舵をきれない、そんな過渡期の閉塞状況が現在でしょうか。
  ところで、私どもの関与先での指導の一つに、上司が行う「部下の仕事の振り返りの面接」があります。自立した社員の要件の一つはまず自分の仕事を振り返ることが出来、きちんと説明できることです。難しいことでも、特別なことでもありませんがこのような基本をしっかり行い、会社の「当たり前」にすることが大切と思い続けて頂いています。中小企業の人材の定着にも繋がっていると思っています。

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