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2008年7月21日 (月)

十三話「人事コンサルのきっかけ」

 私が人事コンサルティングの仕事に関わるきっかけの一つになったのが、ある人の次のような話でした。

「外国のホテルや外資系のホテルに泊まると、手続きを済ませ、部屋に入れば籠に盛られたフルーツと、その上に添えられた支配人からの手書きの歓迎のメッセージが迎えてくれる。何でもないことだが、仕事で疲れてようやく部屋に辿り着いた身には、ほっと癒される瞬間だ。フルーツの甘い香りとカードに書かれた万年筆の手書きの青い文字が心地良い。 このサービスのためのコストと労力は僅かなものだ。でも、もたらされる効果、付加価値は大きい。実は『人事制度』というはこのようなことが出来るのではないかと思っています。」

 今でこそメッセージカードはちょっとしたホテルなら何処でも行っていますし、ビジネスホテルでも時々お目に掛かり、当たり前になっていますが、当時はまだ一般的ではありませんでした。この話を聞いて私は人事とはなるほどそういうものかと思い、人事コンサルを仕事として取り組む価値を感じました。

 昨今、会社は何かとコンプライアンスの問題に晒され、人事についてもそちらの面ばかりに視点が行く傾向がありますが、本来の目的は違います。勿論、労基法や民法を遵守し、社員トラブルにも備える必要はありますが、それらは目的ではありません。対処療法ではあっても、経営者が「こうしたい会社」に近づく訳ではありません。

 人事コンサルにあたって中小企業の社長さんのお話をうかがっていると、そのことが良く分かります。

 例えば、ある社長さんの「コンプライアンスのために会社をやっているわけではない、こういう会社にしたいから、降りそそぐ火の粉を取り払う必要はあるが、それはミニマムで良い。それよりも一人ひとりが自分の仕事の価値を実感でき、充実した日々を送れるような会社に向けての仕組みづくりに時間と労力を掛けたい。だから人事は重要。」というような言葉は多くの経営者の気持ちではないでしょうか。

 勿論、人事だけでそのような「こうしたい会社」になる訳ではありませんが、「人事の視点」が占めるウェイトはかなり高いと私は考えています。私も「人」の面から会社の付加価値を高めることができる、「人事は重要」と確信している一人です。

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