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2008年8月

2008年8月24日 (日)

十七話「朝日放送新社屋見学会」

 大阪では古く、私どもの会社からもすぐ近くにあったABC朝日放送の社屋が移転しました。移転と言っても新社屋は歩いて10分掛からない距離ですが、大阪タワー、ホテルプラザ(現在は大塚家具)、ザ・シンフォニーホールを有し40年以上も私どもと同じ町内だったものですから、少し寂しくもあり、残念です。

 移転の大きな理由は地上波デジタル化への本格対応です。その最先端の設備を備えた新社屋は堂島川に面し、その規模もロケーションも最高です。これはめったに無い機会と思い、特別にお願いして、私どものグループで関与先等を中心に新社屋見学会ツアーを企画しました。

 お申し込みが殺到したのとセキュリティの関係から1回の見学ツアーが9名に限られるのとで、6回に分けて案内することとなりました。その初回が昨日で、私も中を見るのは初めてだったものですから、お忙しい経営者等の方々にわざわざ来ていただいてどうかと思っていましたが、やはり一般の我々には普段知らないテレビ局の内部は中々見ごたえのある内容で、参加いただいた方々の評価も上々でした。

 私は以前に仕事の関係で地方のテレビ局を一部見せていただいたり、本の出版の関係で他局のラジオのインタビューを受けたりして、部分的には少しは知っていました。それまではそもそもテレビ局というのは最先端の設備システムを有しているとばかり思っていたのですが、実はさにあらず、アナログの極みというのがその時の強い印象でしたから、そのアナログから今回のデジタル化へのその差の凄さは目を見張るものがありました。 

情報革命の本番はこれから、というのが実感された日になりました。

朝日放送からのお知らせ 早朝4:15 ABCラジオショッピング「おはよう夢市場~石原勝です!」… 掘り出し物があるとのこと

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2008年8月17日 (日)

十六話「アジア三国志」

 関与先の中小・中堅企業を見渡しても、ほとんどの企業が何らかでアジアと密接に関係しています。特に製造業では現地企業との合弁等で工場を進出させているところが多いし、また雇用の面でもアジアの人材を抜きにして考えられなくなっています。

 昨年も関与先の管理職研修で中国の大連の合弁工場に行きましたが、そのアジアの中でもやはり中国は関係の中心です。低賃金を活用した世界の工場であり、目の前にある凄い勢いで成長する巨大な市場です。

 けれどもビジネスで密接に関係するこの国は分からないことだらけです。

 「日はまた昇る」を書いた知日派のビル・エモットの最新作「アジア三国志 」(日本経済新聞社)にも、中国は『世界の中心の国、問題の中心』と書かれています。この本は日本、中国、インドのアジア三国のこれからの関係を歴史、政治、経済、軍事の点から精緻に検証したものになっていますが、この三国の関係は『これから10年もしくは、それ以上にわたって、いよいよ難しくなる・・・』とし、世界の発展と平和はアジアにかかっており、世界はこの三国の関係から目が離せなくなるとしています。中でもその問題の中心、影響力の中心が中国であることはこの本の読者ならずとも異論の無いところでしょう。この本に書かれた二つの未来予測、『まことしやかな悲観主義』と『見込みの高い楽観主義』、どちらに傾くかの鍵はまさしく中国が握っています。

この本で近くて具体的な注視すべきポイントとして一つあげるなら、中国の通貨「元」の切り上げがあります。著者のビル・エモットは別の雑誌の記事でも、インフレ抑制のためにせざる得ない「元」の切り上げによって中国経済は一旦停滞期に入り、現在の不自然な原油や原材料の世界的高騰が収束に向かう可能性が大きいと書いていますが、その時は日本でも中国を市場としている企業は打撃を受け、輸出や国内需要は逆に盛り返す、としています。

いずれにせよ、いつ、どのタイミングでなされるのか、「元」の切り上げの動きは我々にとっても目が離せない当面の注視事項の一つであるでしょう。

 突然の法律の変更、あてにならない約束、コントロールできない賃金の上昇、帳簿に載らない必要支出、信用できない統計・・・、問題だらけに拘わらず企業にとってはそれでも何としてでも付き合っていかなければならない国が中国なのでしょう、それはすぐ目の前にある大きな未知数であり、業績の活路、チャンスでもあります。

  ならば、既成の事実を現実として、出来る限り客観的な視点でどう活かすかの拠りどころとなるものが欲しいものです。その点でグローバルな観点から日本人以上に日本をよく理解するビル・エモットの「アジア三国志 >アジア三国志」は激動する企業環境にあって、大局を知る上での優れた一冊でした。

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2008年8月10日 (日)

十五話「目標と面接」

 中小企業が人事制度を活用する大きなメリットの一つが幅広く効用をもたらす目標管理を導入できる点にあります。
 目標管理の目玉の一つは「面接」です。「面接」を制度(しくみ)として扱えることが大きなメリットと言えます。
 少人数の会社で「面接」など、わざわざしなくともと思われるかも知れませんが、中小企業の目標管理に関わって15年以上になりますが、少人数の会社ほどその必要性を感じます。例えば、5,6人の営業所などでも「面接」は随分と成果を上げています。

 昨今、会社においてもコミュニケーションの大切さがクローズアップされていますが、少人数下で毎日、顔を突き合わせている職場など、「取り立ててコミュニケーションなどと言わずとも良く分かっている」と思っていますし、「今さら、あらたまって」という気持ちがありますしが、実際には意外にコミュニケーションが取れていないのではないでしょうか。
 目標管理は「面接」を促し、スムーズに効果的にコミュニケーションを高めます。少人数の会社では「面接」を軸に目標管理の設計と導入を考えても良いとさえ言えるでしょう。

 営業所のコミュニケーションで言えば、本社と営業所のコミュニケーションもあまりはかれていない例がよく見られ、そのことによるトラブルや効率の低下、モチベーションの低下が問題になっていたりします。本社が加わった「面接」なども成果をあげていますが、遠方の場合、物理的、時間的になかなか行えないのも本当のところでしょう。最近では、テレビ会議システムを使った「面接」にチャレンジする会社も出てきました。わたしも参加させて貰いましたが、やはり直接の「面接」には勝てませんが、補助的な利用としては今後、充分考えられるでしょう。

関連内容を知りたい方ははじめての賃金管理100問100答 」(明日香出版社刊)『Q86』、「はじめての人事考課100問100答 」(明日香出版社刊)『Q87』をご参考に

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2008年8月 2日 (土)

十四話「目標管理を活かす」

 人事制度にとりわけ関心の無い方にとっては人事制度とは何を指すのか、何処までの範囲を言うのか分かりにくいものです。

  一般には次のような仕組みの集まりを指します。

 賃金制度、評価制度、役職や資格等級の制度、教育・育成制度、配属・配置の制度…等々。

 私どものコンサルティングに於いて、これら人事制度の中でこれまでに最も成果をあげたものはと聞かれたら、たぶん目標管理制度(以下目標管理)と答えるでしょう。(但し、目標管理は人事制度というより、業務管理のツールに分類されるべきという考え方もあります。私も厳密にはそう思いますが、これから記すように人事制度で扱わないとそのメリットを充分に活用できない点では、人事制度に含んで扱うべきと考えます。)

 目標管理のメリットは多岐にわたります。
  会社の方針を社員一人ひとりの行動レベルにまで落とし込める、コミュニケーションを高め職場の活性化をはかる、自立型自己責任型の人材を育成する…などなど、他の制度では出来ないことを実現しますし、幅広く即、業績や生産性の向上につながる効果をもたらしたりします。また、導入のデメリットが少ないのも大きな特徴と言えます。(この辺りのことは拙著「はじめての人事考課100問100答」で詳しく記しています。)
  そのように遣り方によってはたいへんメリットの大きい制度ですので、導入指導に当たっては出来るだけ制度を活かせるよう細心の注意を払うようしています。
  実は目標管理はそれ自体の単独ではあまり機能せず、そのメリットを充分には享受できません。その機能を引き出し、活用するためには、他の人事制度、つまり昇給や賞与の賃金制度、それらを決める評価制度、昇進や昇格のしくみ等とうまく連動することが必要なわけです。
 少々誤解を承知で敢えて言い換えれば、他の制度は目標管理を活用するために策定すると言っても過言ではないとさえいえるでしょう。これまでの指導実績を振り返っても、使い方によってはそのくらいインパクトの大きい、経営のツールとなり得る制度と考えています。

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