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2008年8月17日 (日)

十六話「アジア三国志」

 関与先の中小・中堅企業を見渡しても、ほとんどの企業が何らかでアジアと密接に関係しています。特に製造業では現地企業との合弁等で工場を進出させているところが多いし、また雇用の面でもアジアの人材を抜きにして考えられなくなっています。

 昨年も関与先の管理職研修で中国の大連の合弁工場に行きましたが、そのアジアの中でもやはり中国は関係の中心です。低賃金を活用した世界の工場であり、目の前にある凄い勢いで成長する巨大な市場です。

 けれどもビジネスで密接に関係するこの国は分からないことだらけです。

 「日はまた昇る」を書いた知日派のビル・エモットの最新作「アジア三国志 」(日本経済新聞社)にも、中国は『世界の中心の国、問題の中心』と書かれています。この本は日本、中国、インドのアジア三国のこれからの関係を歴史、政治、経済、軍事の点から精緻に検証したものになっていますが、この三国の関係は『これから10年もしくは、それ以上にわたって、いよいよ難しくなる・・・』とし、世界の発展と平和はアジアにかかっており、世界はこの三国の関係から目が離せなくなるとしています。中でもその問題の中心、影響力の中心が中国であることはこの本の読者ならずとも異論の無いところでしょう。この本に書かれた二つの未来予測、『まことしやかな悲観主義』と『見込みの高い楽観主義』、どちらに傾くかの鍵はまさしく中国が握っています。

この本で近くて具体的な注視すべきポイントとして一つあげるなら、中国の通貨「元」の切り上げがあります。著者のビル・エモットは別の雑誌の記事でも、インフレ抑制のためにせざる得ない「元」の切り上げによって中国経済は一旦停滞期に入り、現在の不自然な原油や原材料の世界的高騰が収束に向かう可能性が大きいと書いていますが、その時は日本でも中国を市場としている企業は打撃を受け、輸出や国内需要は逆に盛り返す、としています。

いずれにせよ、いつ、どのタイミングでなされるのか、「元」の切り上げの動きは我々にとっても目が離せない当面の注視事項の一つであるでしょう。

 突然の法律の変更、あてにならない約束、コントロールできない賃金の上昇、帳簿に載らない必要支出、信用できない統計・・・、問題だらけに拘わらず企業にとってはそれでも何としてでも付き合っていかなければならない国が中国なのでしょう、それはすぐ目の前にある大きな未知数であり、業績の活路、チャンスでもあります。

  ならば、既成の事実を現実として、出来る限り客観的な視点でどう活かすかの拠りどころとなるものが欲しいものです。その点でグローバルな観点から日本人以上に日本をよく理解するビル・エモットの「アジア三国志 >アジア三国志」は激動する企業環境にあって、大局を知る上での優れた一冊でした。

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