三十五話 年度末のコンサル
このような景況にもかかわらず3月は例年通り、昇給の説明会や考課者研修などで少々忙しい月となりました。弊社の本「はじめての賃金管理100問100答」「はじめての人事考課100問100答」からのご質問等も普段よりは多く頂戴しました。
やはり、昇給をどうするか、昇給をしない、賃下げも止むを得ないにしても、その根拠など重要ですし、悩ましいものです。中小企業においても、「今年は昇給凍結だから人事考課もしない」というようなことはなくなり、評価は大切という意識は定着したように思います。
多分、それは何よりも「いずれ景気も回復の波が来る、その時は大きなチャンスとなり、けっして逃さない」という気持ちがあるのだと思います。
景気の予測はできませんし、業種等によっても随分と影響の大小はあるようですが、経営者の方からは「4,5,6月は不透明、より悪くなる要素も多い。」で、「でも、8月げらいからは上向くのではないか。」と言うようなところが現時点では大勢になって来たように思います。多くの大手の今春闘における「定昇凍結」も「凍結」なら「解凍」があるわけですが、「8月ぐらいから」という声も聞かれます。
でもまあ、何が起こるか分からない不確定要素は多々ありそうですが、確かに少し前向きな話題も増え、明るい日差しがやや差し込み始めたところでしょうか。
3月は出張も多かったお陰で読書も進みました。
その中で同世代の作家の村上龍氏の最新刊「無趣味のすすめ」(幻冬舎刊)の次の一説は示唆に富むものでした。『だから趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失望や絶望と隣り合わせに存在している。つまりそれらはわたしたちの「仕事」の中にしかない。』
この不況を契機にこれから仕事に対する社会的なコンセンサスが大きく変わるように思います。その芽はすでに個々の会社の中にあるように思います。
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