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2009年6月 7日 (日)

四十三話 変わることと変えないこと

 以前、わたしどもの会で講演していただいたラグビーの平尾誠二さんがスポーツのチームも社会の縮図のようなもので、その所属する社会の特性に制約され左右される、というようなことをその著書で書かれていましたが、20年ほどさばざまな企業の人事にかかわって来て、そのことが意外に重要に思えるようになりました。
 このことは人的資源管理が専門の須田敏子氏も「日本型賃金制度の行方」(慶應義塾大学出版会)で指摘していますが、最近出た冷泉彰彦氏の「アメリカモデルの終焉」(東洋経済新報社)もそのような点から書かれていて、企業の人事は賃金・処遇、雇用、評価、仕事、組織は一連の整合性のあるものでセットあるとしています。
 「アメリカモデルの終焉」では、アメリカの人事制度を持ち込んだ成果主義の失敗はもともと、米国社会と日本ではその前提がまったく違うとして、仕事のあり方(タテ軸)、組織のあり方(ヨコ軸)、評価のあり方(時間軸)で事例をあげその違いを分析しています。そして成果主義以降の日本の人事のあり方をどうすれば良いかの結論として、現行の新卒定期採用中心主義を批判し、大学等教育の変革を指摘、より職業人意識の醸成を提言しています。
 現場から見ているわたしのような人事コンサルタントとしても原則、賛成ですし、またそうなって行くように思います。
 日本の企業の強みの一つは、間違いなく、当たり前過ぎて我々が気がついていない、その組織と仕事のあり方です。誰もが全体の利益を考えながら自分の仕事を行うことを普通としています。十数人ぐらいの中小企業にもそれは浸透しています。そのことを活かすには、個の自立と忠誠心がこれからのすべての企業の課題と思われます。

お陰様で新刊一人前社員の新ルール』が5月に発売早々重版、1万部となりました。
某社で社内課題図書となり、読んでいただいた社員の方から、P194の後ろから3行目の「あまたの理想のメンバー」は「あなたの理想のメンバー」ではないですか?という質問がきました。よく読み込んで貰って、嬉しいかぎりです。どちらでも文章は通じますが、正解は原本どおり「あまたの理想のメンバー」です。

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