五十五話 中小企業の目線
わたしどものように会社を外から見ていると、経営の動機は一つではなく、ほんとうにさ まざまに思えますし、ずっと同じでもなく、段階もあり、変わります。「なぜ会社は大きくすると潰れるのか
」(明日香出版社)で自社の倒産のことを書かれた不破俊輔氏が本の中で、経営には組織をつくることそのものが経営という側面がある、というようなことを書かれていましたが、それも本当のように思います。また、中小・中堅企業は事業を承継するときがさなぎが羽化するときのように最も弱いともありましたが、まったくその通りですし、後継者はいきなり経営を任され、何がなんだか分からないうちに、自分もまた次の代を考えなければならない歳になっていた、というようなことはよくある話のように思います。ですから、経営の動機はけっして一つではありません、100の会社に100の理由があるように思えます。
新刊「小説家の経営術」(西川三郎 幻冬社)にあるストーリー経営もその意味では一つの経営の動機に違いありません。この本の一つの主題となっている、小説の「テーマ」と同様に経営姿勢を維持する「経営のテーマ」も大事でしょう。そう捉えれば、この書は悩み多き経営者にとって問題解決の糸口が得られるかも知れません。でも、小説を描くように経営をせよと言われても、わたしどの依頼主であり、日本の企業の9割以上を占める中小企業の大半は会社をする動機が違うように思えます。
以前にも紹介した石野誠一氏の新刊『小さな会社の「一人前」社長業』
(明日香出版社)にはこうあります、『「生業としての会社経営」や「事業としての会社経営」というものと「企業としての会社経営」というものは、似て非なるものだということだけは承知しておいて欲しいと思うのです・・・。』まったく、同感、眼から鱗です。昨日よりも今日、何か一歩でも会社が良くなれば、喜ぶべきなのが多くの「小さな会社」のように思います。
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