« 五十三話 産業の突然死の時代 | トップページ | 五十五話 中小企業の目線 »

2009年8月18日 (火)

五十四話 モチベーションに関する書籍から

 モチベーションを辞書で引くと「動機づけ」「行動へ駆り立て目標を達成しようとする精神の働き」などなっていますが、企業活動、とりわけ人事に大いに関連する点で、二つの書籍を紹介します。

 「やっぱり変だよ日本の営業」(日経ビジネス)を書いた宋文洲氏は新刊「社員のモチベーションは上げるな! 」(幻冬舎)でモチベーションを上げるなどというのは、水のいらない馬を川へ連れて行くようなものだと書いています。つまり「渇きこそモチベーションのもとで、他人が与えるのではなく自分で感じとるものだ」、「上司にモチベーションは上げられない」としています。また「モチベーションを連発する会社はダメ」とも。少し逆説的ですが、宋氏はたぶんモチベーションは要らないと言っているのではなく、過度に頼るのは間違いだといっているのだと思います。
 宋氏の著書は一貫して「精神論に頼るな」を書いています。わたしもその通りだと思いますし、モチベーションは上げるものではなく、つくるものだと思います。つまり、会社ができるのは上がる土壌、きっかけ、仕掛け、しくみをつくることなのだと思います。

 次に日本では2006年に出版され、モチベーションとアメリカの賃金・人事制度に詳しく触れている「熱狂する社員」 (英冶出版)は、コンサルティング会社の調査結果をもとに、成功している企業に共通する要素として「社員の士気」をあげて、その条件を詳細に記しています。そして企業競争力を決定するモチベーションの3要素は「公平感」「達成感」「連帯感」につきる、としていて、米国人の本としては「公平感」「連帯感」など、らしからぬ結論に興味がそそります。
 また、この3要素に雇用と給与はきわめて大きな項目であり、必要以上のリストラの問題と成果主義にも疑問を呈しています。特に米国で主流といわれるメリット・ペイについて否定的です。しかも、勤続年数は給与の公平感の重要な判断基準であるともしている点は我々の米国感を少々変えてくれます。そして、給与は労働に見合う公平感を供給するもの、自分の達成感の判断基準のひとつ、貢献度に対する評価のシンボルとし、賃金制度の確立は極めて重要としています。
 日本でも成果主義が見直される現在、発信もとの米国がすでに冷静に人事制度を見はじめたことを知る一冊と言えます。

|

« 五十三話 産業の突然死の時代 | トップページ | 五十五話 中小企業の目線 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 五十四話 モチベーションに関する書籍から:

« 五十三話 産業の突然死の時代 | トップページ | 五十五話 中小企業の目線 »