五十九話 内需拡大
昨日のピッツバーグでの鳩山首相の記者会見でも内需を拡大する経済政策に舵を大きく切り替えると語っていましたが、では具体的にどうするのかがよくわからない。子ども手当、ガソリン税などの暫定税率撤廃、高速道路の無料化で消費を刺激するということですが、まず入るものが入らなければ、消費の刺激は一時的なものにしかならず続きません。
民間給与は昨年比1.7%減の過去最大の落ち込みです。賞与など給与が増えなければ、モノが溢れる日本では、給付金を含む収入は消費にまわらず、貯金されてしまいます。そして何よりも失業率を下げ、雇用を増やさないと不安は解消されず、消費につながらないでしょう。
過去最悪の7月の失業率は5.7%、失業者360万人、それに雇用調整助成金の対象者238万人を潜在失業者として入れると失業率は9%近くになるといわれるこの状況を何とかしないと当然、消費どころでは無いに違いありません。資源の無い日本で雇用を増やすには、金融立国、観光立国でしょうか。そのように産業構造を変えるのも一つでしょう。
でも雇用をもっとも生み、即効性のあるのはやはり製造業です。例えば海外へ出て行った日本の工場を国内に戻せば、直ぐに数百万人の雇用は増やせるでしょう。その上、大手の工場が戻れば周辺の中小企業にも仕事が増え、雇用が増えます。どの企業も好きで海外へ工場を進出させているわけではありません。インフラや労働の質などを考えれば、国内に戻りたい企業は多いはずです。
しかし、新政権が用意している諸策はどう考えても、それに逆行するとしか思えないものばかりです。企業は雇用を守るのが、長い目で見て自社の存続、発展に欠かせないと原則考えています。簡単には正社員を解雇しませんが、もし景気が回復し新たな雇用が必要になっても、競争力を保てないような雇用を決してしようとはしません。新たな雇用は海外へ行ってしまいます。
賃金、派遣などの雇用のあり方、為替、相手国との産業協定などの総合的な政策を国内で雇用を生む方向へ向けないとなりません。たぶんこれから具体策が出て来るのでしょう。新政権に期待したいと思います。
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