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2010年2月22日 (月)

七十六話 今年の昇給①

 今年の大手企業の賃金交渉はこれから本番を迎えますが、日立やパナソニック、シャープなど電機大手の組合が「ベア」を見送り、「定昇の確保」の方針を決めたように、流れは「定昇のみ」です。昨年の4000円、4500円のベア要求からすれば、随分とトーンダウン、今年は現実路線です。

 経営側もかけ引きは別にして定昇の実施は行いたいと思っているはずです。昨年のような「凍結」を行っても、いずれは「解凍」が必要ですし、賃金体系が崩れる恐れもあります。また、新卒採用にも無理が出ますし、デフレスパイラルの犯人にもされ兼ねません。やはり、当面の流れは「定昇のみ」です。

 「定昇」という言葉も随分と認識が共通になり、「ルール通りの昇給の実施」で経営も組合も交渉テーブルに着いているように見えます。「ルール通りの昇給の実施」をすると、賃金テーブルのある企業では仮定の昇給率(額)が算出できます。定昇率は労務行政研究所の数字では2009年度で1.58、日本賃金センターで1.59です。ですから、今年の大手は「定昇のみ」となれば、昇給率は1.6%程度と予想されます。額にして5000円弱となります。これは昨年の大手の昇給率が1.83(厚生労働省)からすれば、大きな落ち込みです。でも今回の世界的不況からすれば、昨年が高すぎたとも言えそうです。

 では、中小企業はどうかといえば、厚生労働省が昨年から統計を止めてしまった関係でやや不明ですが、経団連などの数字から推測するに、昨年で1.3%程度、今年の予測は大手の率に倣うと1.1%程度となりそうです。わたしはもう少し低く、1%程度と見ていますが、この数字は半数ぐらいの企業が、「定昇割れ」つまり「ルール通りの昇給」ができないという想定です。

定昇については拙著「はじめての賃金管理100問100答」Q49を参照ください。

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