八十七話 中小企業の評価とマネジメント
中小企業も人数が増え、組織だった動きが求められるようになると、管理・監督職が必要になってきます。管理・監督職には「自分だけの仕事」の視点から、もう一段上の視点を会社は要求します。この一段はとても大きくて、大事な一段です。これをなかなか超えられない人は大勢います。中小企業では人数が限られ、競争も働きませんし、人材がその人以外に他にいないのが普通ですから、相応しい人が管理・監督職になるとはかぎりません。そのようなことは、当然大企業でも少なからずありますが、その度合いは大手とまったく比較になりません。
大手企業の管理職昇格基準などを見ると、びっしりと難しいマネジメント要件が並んでいます。ハードルをあげ、振り落とさないとなりませんし、また実際にも必要となってきています。でも、中小企業で本当に必要な要件はそれほど難しいものではありません。たぶん、必須といわれれば一つくらいで、それは最初にあげた「仕事を一段高い位置から見渡せるかどうか」といえるように思います。
中小企業でマネジメント力を育成する最も確実な方法は、経験から言えば、部下の評価です。人事考課に携わることが、確実で手っ取り早いと思います。人事考課の中にマネジメントに関する基本事項がほとんど含まれているからです。そのかわり、きちっと評価について基本を知る必要があります。その点で人事考課の研修は上手く使えば、思われている以上に値打ちがある筈です。考課研修とその他のマネジメントの研修との大きな違いは、人事考課は実際に仕事に直接関わって、そこから考える点と部下を評価することの真剣味です。そういう意味では主任や係長クラスの早い段階から人事考課に関わってもらうことは中小企業が検討すべきキイ・ポイントといえます。
2年まえに出版した弊著「はじめての人事考課100問100答」(明日香出版社)がお陰様でまた増刷となりました。多くの読者の方から、わかりやすいとのメールを頂いています。
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