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2010年6月28日 (月)

九十三話 これから日本は強くなる?

 5ヶ月半宇宙に滞在していた野口聡一さんがロシアのソユーズで帰還し、ハッチを開けたら鳩山首相が辞任していました。まるで、村上春樹の「1Q84」よろしく首都高の扉を開けたときから世界が変わってしまったように、その後、日本もちょっと違ってきました。
 それから10日後、小惑星「イトカワ」に着陸し、7年の旅から探査機「はやぶさ」が奇跡的に戻ってきました。しかも、神秘的な光の玉となったカプセルを本体から放出し、自身は花火のように燃え尽き、世界中をアッといわせました。そのカプセルには太陽系誕生の謎を解く「イトカワ」の石が入っているかもしれないという、興味津々の福袋つきで。
 その後今度は、サッカーワールドカップが始まり、大方の予想を覆して岡田ジャパンは競合を破り、1次リーグを通過、ベスト16に並びました。そして何よりも、日本中を湧かせ世界を驚かせたのは、1次リーグ通過よりも、その見事な戦いぶりでした。

 この二つの出来事は日本に再び自信をもたらしています。二つとも世界的な出来事であり、奇跡とさえ言えるのにツキだけではない潜在的な本来の力を感じさせ、世界に「日本なら有り得る」の感を与えたことでした。
 失われたこの20年を振り返り、グローバルの波が押し寄せるとともに、より鮮明になったことは、世界の中でどう見ても日本はいろいろなことが特殊だと言うことでした。
 バブル崩壊後、いつまでももたついているのは日本システムそのものが行き詰まっているから。世界に合わせて日本を変えて行かないとこの閉塞状態から抜け出せない。もはや全ての日本システムが役に立たなくなった。という、自信喪失であり、本当に日本のやり方では駄目なのかという逡巡でした。

 人事の方で言えば、日本システムは年功、終身雇用、定昇、定期採用、人型賃金、企業内組合など、どれを取っても世界とは異質です。でも、失われたこの20年、逡巡した20年を経て、ようやく何を残し、何を捨てなければならないかが見えてきました。
 きわめて日本的な特性による成果といえなくもない二つの出来事がもたらしたわが国の「自信」は、同時に思い切る「覚悟」をもわれわれに促しているように思われます。「自信を持ち覚悟を決めれば、これから、ようやく日本は強くなる」と。
 そのようなメッセージをこの二つの出来事から読むのはちょっと買被りも甚だしい、飛躍し過ぎでしょうか。

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