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2010年8月17日 (火)

百話 社長の仕事

 出版でお世話になっています明日香出版社の石野誠一相談役のブログに、中小企業の経営者が勘違いしやすい点のことが書かれています。最近の電子出版の大波に翻弄される出版業界によせてのことですが、核心をついているように思います。

51tfqnlhkzl__sl500_aa300_  『ここで気をつけたいのは、小さな会社は、時代の流れの先端に立とうとしないこと。得てして、若い社長や青年社員は、身の丈を自覚せずに突っ走ろうとします。しかし、ごく少数の例外を除いて消耗して、いつのまにか業界から消えていくことになります。
  世の中の流れをきちんと勉強し、追いかけながら、はがゆさをがまんしつつも、自社にふさわしくて、やるべきことをきちんとやる、そんな会社だけが生き残っていけるものです。』 
 ヒットを飛ばしては消える、激動の出版業界を生き抜いてこられた中小企業のトップの重みのある言葉です。

 同様に30人の商社の社長をされている寺井良治さんという方が、「日本一元気な30人の総合商社」(小学館)という著書の中で、『社長の仕事』について触れています。
 大手商社の社内ベンチャーから出発したこの会社でしたが、当時の親会社の社長から51ovmix5pfl__sl160_aa115_ 寺井さんが言われたことは「とにかく会社を残してくれ」だったそうです。でも、その言葉の意味がよくわからず寺井さんは長い間、「社長はなにをやったらいいのか」という答えをずっと引き摺っていたといいます。そんな折、ある会社の社長を引退された大先輩に「社長の仕事って何をやるんですか」と聞くと、その大先輩は「お前バカか」と、こういったそうです。「社長の仕事っていうのは、会社を潰さないことだ」寺井さんはそれですっかりモヤモヤが吹っ飛んだといいます。そして、会社を潰さないためには身の丈を知って、成長し続けないとならないと書いています。

 石野相談役の言葉も寺井社長のエピソードも、身の丈を知ることと成長し続けることとが矛盾しない点で共通しています。中小企業の経営の要諦かもしれません。

お陰様でこのブログも何とか100回を迎えることとなりました。「何をしているのか、よくわからない」と言われる、人事コンサルの一端を知ってもらえればとの思いで書き始めたブログですが、思いついたことを書き留めているうちに当初の意図から少々外れてしまったように思います。ここは軌道修正をと自分に言い聞かせつつ、まあ、思いつくままもいいのではとの囁きも頭の中に聞こえてきます。でも、ブログをお読みいただいている皆さまには、これからも少しでもお役に立つ情報を提供したいと思います。

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