百十話 労働経済白書から
2010年版の厚生労働省労働経済白書から、企業の人事施策を見ると、「これまで重視していた施策」と「今後重視していく施策」で、いくつか特徴的な傾向があるのがわかります。まず評価では二つあげられます。一つは「チーム業績」の重視であり、もう一つは「中長期的 な貢献度」の重視です。この二つのウェイトが上った分、「努力、取組み姿勢」「経験」「身なり・勤務態度」が下がっています。成果主義の見直しの流れのなかで、やはりもとの属性的な評価に戻るのではなく、成果・貢献度がより掘り下げられて来たように見えます。
賃金決定の要素については、もっと特徴的に現れています。「年令、勤続、学歴」などの年功的、属性的要素は大きくダウンし、「複数の職務をこなす」ことや「中長期的な貢献度の蓄積」が大きくアップしています。職務給的な動きは一段落し、より日 本的な仕事のあり方の強味を重視する現実的な傾向が見られます。やはり、成果主義→偏った成果主義の反省→より本質的なものへ、という流れにあるようです。これらのことは、大手企業だけのことのように思われがちですが、まったく同じ傾向が、100人未満の企業にも見えます。そのことをデーターがきちんと示しています。
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