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2011年1月10日 (月)

百二十話 人事の選択肢

 日本の人事システムはこれまで非常に上手く行っていました。「日本型賃金制度の行方」 を書いた須田敏子氏も新著「戦略人事論」 で次のようなことを言っています。日本の人事管理Photo の特徴は新卒一括採用、年次管理、査定つき年功制、ジェネラリストとスペシャリスト半々の一律型人材育成、遅い選抜の昇進、ローテーション付き一律型人材育成、人ベース社員格付けと賃金決定などで、これらは長期雇用のもとに非常に合理的なしくみだったと。そして、この独特のシステムは、欧米のそれとことごとく対照的ですが、その違いのおおもとの要因は雇用が流動的か否かにあるとしています。
 日本の人事システムはとっくに曲がり角に来ています。変化の激しい、グローバルな競争の中で、新しい人材管理が必要にもかかわらず、抜本的に変えることができません。須田氏414qy0unnkl__bo2204203200_pisitbsti によれば、上述のそれぞれの特徴は互いに補完関係にあり、部分的に変更してもデメリットのみが出てしまうこと、1社だけが変更してもけっして得にならないことで、簡単には変わらないとしています。
 一旦雇用すると取り替えられない人材に派遣と請負も塞がれ、解雇法制はより厳しくなり、社会保険など雇用コストは増すばかり。これらに対する企業のその答えが設備投資の海外流出で、円高ばかりがその原因ではないでしょう。
 長期雇用は必要ですが、人事管理による戦略の選択幅を狭めています。須田氏も長期雇用は比率の問題としています。急速に変化する企業環境、競争力をなくすか、海外へ出るか、社会システムとしての人事を変えるか、選択肢は他になさそうです。

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