百二十一話 失敗をバネとする土壌
ノーベル賞医学生理学賞の有力候補とされる、iPS細胞の山中伸弥京都大教授が母校の高校で講演されました。テーマはビジョンを持つことと失敗することの大切さでした。講演の中で自分自身のこれまでを振り返ると失敗の連続だったと言っています。教授はもともと研修医からスタートし、その頃は不器用で何をやってもへまばかりで、現在の成功と凛々しい 容姿からはとても想像できないことですが、「じゃまなか」と言われていたそうです。自分には向いていないと研修医から逃げ出しましたが、現在の成果につながる基礎研究に打ち込むことができたのは、ビジョンをしっかりと持っていたからだとしています。
教授は高校生にこれからの人生において二つのことが大切と説いています。一つは、ビジョンをもって努力すること。日本人は勤勉だから、ついつい何を目指しているのかもわからずに打ち込んでしまいがちだと。もう一つは、失敗は恥ずかしいことではない、もしかしたら失敗したことが楽しいことの始まりかも知れないとしています。
とても勇気づけられる言葉です。でも当たり前ですが、どこの職場でも、「失敗してもいいよ」とは誰も言いません。「失敗は恥ずかしいことではない」はそれぞれが持つべきものなのです。けっして会社の風土でも上司の姿勢でもありません。勘違いしてはいけません。会社や上司ができることは、会社のビジョンを示すことであったり、チャレンジを褒めることなのです。
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