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2011年3月

2011年3月24日 (木)

百十七話 リーダーシップ

 ニュースを見た多くの人はおやっ?と思ったに違いありません。17日、原発に自衛隊がヘリから海水を投下した後の北沢防衛大臣の会見の言葉がよくわからなかったからです。大臣は「私と首相が結論に達した重い決断を、統合幕僚長が判断し、自ら決心した」というような内容を説明しました。ブログや記事にも多くの批判が載っているとおり、これでは話がおかしい、責任の所在が曖昧です。これではそれこそ生命をかけて現場で切磋琢磨している人にとって、われわれ国民は申し訳ないと思ってしまいます。現場の士気もあがらないでしょう。

 例えば、これを企業に置き換えると生命の危機こそないにしろ、会社存続の瀬戸際や社員生命を賭けるというようなことならあるかもしれません。
 ~想定外のトラブルで大口のプロジェクトが暗礁に乗り上げている。多額の追加資金を投入すれば完工できるかもしれないが、水泡に帰すかもしれない。そうなれば全社員の賞与は大幅減額必至、幹部は減俸をまぬがれない。依頼主は失敗したら契約を楯に追加分を支払いそうにない。そんな中で技術力のプライドを賭け、追加資金の投入を決定、対策の実行に着手する。協力会社や社員を前に担当部長が決定のいきさつを説明をする。「社長と部長の私とで結論に達した今回の重要な決断を、現場監督が判断し自ら決定、指揮を執った。」~
 これでは現場で何かあって失敗したら、現場監督の責任だと言っているようなものです。あるいは成功したら「苦渋の決断をした甲斐があった」と美味しいところ取りをするようにも聞こえます。これでは人は動いてくれません。
 やはり、ここは「結果がどうであれ、一切の責任は担当部長である私にあります。監督以下現場の者は勇気を持って取り組み、精一杯がんばってくれている。心からお礼を言いたい。」などと、いうべきところでしょう。それこそ中小企業の叩き上げの社長さんならきっと本心からそのような言葉がでるのだろうと思います。 

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2011年3月16日 (水)

東北関東大地震 心よりお見舞い申し上げます

 東北関東大震災で亡くなられた方々へ哀悼の意を捧げます。また被災された方々、避難され現在も不自由な生活を余儀なくされている大勢の方々に心よりお見舞い申し上げます。 

                   *  *  *

 今回の震災の影響が関西拠点の関与先にも少なからず出ています。関東地方における停電、交通、原発等による活動の制約(東京に営業所等を置くところも大きく影響)、東北、北関東方面の得意先・協力先取引の中断、資材・部品の供給中断による大手メーカーの操業停止を受けての取引の中断などで、影響が出始めています。しかもこれからもっと拡大しそうとあって、先行きが懸念されます。ようやくリーマン後の回復の軌道が見えてきたところだけに残念という会社が多いと思います。
 しかし、関西は今回の震災の直接の被災地でないだけに良しと思う他ありません。あとは何としてでも一刻でも早く復興への着手を願うばかりです。

 神戸の震災のとき、わたしも被災の只中で大変でしたが、あの時も起こった直後は勿論ですが、その後も肉体的、精神的にこたえました。今回はダメージの広さ、大きさ、複雑さを考えればあのときを大きく超えています。被災地の方々のこれからを思うと胸が傷みます。
 でも、希望は持ちたいと思います。神戸のときも方向が定まりさえすれば、日本はとんでもない力を発揮するということを見せつけられました。着手が始まれば、回復はあっという間でした。今回も必ずそうなるはずです。陽はまた昇ります。たぶん政府も民主党もきっと腹をくくるに違いありません。

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2011年3月 6日 (日)

百十六話 人が採れない

 今年の春闘では珍しいことが起きていて、労使の掲げる賃上げ率が一致しています。従ってその数字である1.7%代に納まるのはほぼ確実と思われます。大手の定昇率の平均がおよそ1.6%ですから、この1.7%はほぼ定昇のみといってよいでしょう。
 大手の決算状況を見てもかなり改善しており、リーマンショック前に近づいています。にもかかわらず、組合もベア要求をせず、賃金カーブ維持分の確保としているのは、先行き不透明で雇用が心配だからです。大卒の内定率の過去最低が示すように、国内の設備投資と雇用の改善は遅れています。
  中小企業においても関与先等を見ても年明けから業績は全般には良くなっています。帝国データバンクの調査でも近畿の景況感は4ヶ月連続で向上となっています。けれども大手同様に雇用には慎重です。有能な人材を採るのは中小にとってはめったに無いチャンスですし、業績も改善しているにもかかわらず、採用にはシビアです。それほど経済においても政治においても楽観的になれる要素はないうところでしょうか。

 いま中小企業でも人の募集をすると、とんでもない数の応募があり、学歴だけで見ればこれまでお目にかかったことが無いような人材が集まります。ところがそれはいわゆる事務系だけです。技術系は相変わらず採用ができません。この分野だけは大手も採用の手を緩めていないのと、応募する側も大手志向だからです。ロボコンで知られている高専などは今でも就職率は96%以上ですが、ほとんど大手が採ってしまいます。まさしくミスマッチですが、中小企業の技術系の採用は景気に関係なく、ずっとたいへんと考えておかないとなりません。ということは技術系の人材の採用と育成について、中小はあの手この手と年がら年中考えておくくらいで丁度良いといえそうです。このことは自社の人事制度のあり方に少なからず影響し、ことあるごとに重要な課題の一つとして取り上げられることになるはずです。

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