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2011年4月

2011年4月24日 (日)

百二十一話 現場力

 今回の震災における対応を見て、日本の強みがまた明確になった気がします。現場における臨機応変で忍耐強い対応力、チームワーク力は飛び抜けています。このことは、そのままビジネスの世界にもあてはまり、規模の大きさに関係なく同様のことがいえます。
 重機でいまや世界的企業なった、コマツの会長坂根正弘さんの最新刊「ダントツ経営」(日本経済新聞出版社)にこの強みのことが載っています。著者自身がアメリカの会社のCOOとして関わった経験から、次の51cirtn3tl__ss500_ような内容のことです。。
 「アメリカの工場と日本の工場とで同時に同様の設備で同じものをつくり始めたときに、最初はほとんど差がなかったのが、5年もたつと品質レベルにものすごい差がでてくる。5年も経つと日本の工場は機械設備から現場の工具に至るまで、様相が一変している。日進月歩で日々カイゼンを重ねるからだ。ところがアメリカの工場はほとんど変わっていない。」そして、「日本ではその現場を率いるミドルクラス、すなわち課長クラスが抜群に強い」と。また「トップダウンが強すぎると、現場の創意工夫や自身が失われる。製造業では強いミドルクラスが必要だ」と、あります。
 日本の製造業が強いのは、ボトムアップといわれる現場の力です。その理由のヒントも、やはりこの本に載っています。「アメリカの技術者の世界には開発ルームで図面を引く設計技術者の方が工場で汗を流す生産技術者よりもステータスが上という序列感覚がある」このことから、現場力の キイは一体感であることがわかります。

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2011年4月14日 (木)

百二十話 リーダーシップ その2

 「地域の要望を尊重する」「全国民の英知を結集する」「未来志向の復興を目指す」と、菅首相が記者会見で述べていました。復興計画の「三つの原則」だそうです。なんでしょう、これは。この未曾有の震災にあって、責任の所在を示すリーダーが本当にいません。「原則」とは、いわばガイドラインです。ガイドラインには責任がありません。リーダーは責任を語らないと存在の意義がありません。無茶は言いますが、たたきあげの中小企業の経営者などはそこのところをけっしてはずしません。どうして、このような発言になったのでしょう。一つは、たぶん現状では不確定なことが多すぎるからです。被害規模も、原発の先行きもつかめていないのでしょう。だから「言ったはすぐ修正」が怖いのです。でも、だからこそリーダーは目指すところ、向かうべきゴールを示さないとなりません。でないと国民は落ち込み、現場は混乱します。この場合ゴールとは、いつまでに、どのような姿にしようということです。そこには責任が貼りついています。勿論、未曾有の事態に確かなことが言えるはずはありません。「復興構想会議で専門化が議論しまとめた工程表にもとずいて、3ヵ月後に修正し、より具体化する」と、つけ加えておけば良いのです。そのような、企業家なら当たり前と言うべき、リーダーとしての目標設定の基本スキルに欠けているのは、ブレーンが弱いからでしょう。それが二つ目の理由です。こういうときは、ブレーンの人脈が大事です。専門的な知恵を貸してくれます。でも、いざという時に助けてくれる有能P4140172_2な人脈はすぐにはできません。普段から地道な努力の積み重ねがものを言います。

本日、姫路の関与先に行きましたが、「本来なら花見のシーズンで、姫路城が賑わうのがさっ ぱりです」と嘆いておられました。自粛ばかりでは、経済がシュリンクしまいます。ただいま姫路は穴場ですよ。写真は弊社の近く、梅田スカイシティの桜です。

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2011年4月10日 (日)

百十九話 40代の責任者

 今回の福島原発の事故で、チェルノブイリの処理にあたったロシアの原発安全管理の専門家が日経のインタビューで次のように語っています。
 「東電は状況判断や対策の決定、実現に時間がかかり過ぎ、場あたり的にみえる。・・・40歳代の専門家が迅速な決定を下せるようにする必要がある。」 日本から見ても、硬直的、官僚的に見えるロシアで、その専門家ですらこのように言っています。
 「40歳代の専門家が迅速な決定を下せるようにする」問題が専門的で複雑になればなるほど、直接に状況が分かり、エネルギッシュで決断力のある若い責任者を必要とすることのようです。その年齢が40代と言っています。確かに歳をとると、熟考の上、利害関係者に調整をはかり、コンセンサスを経てまとめあげる能力は優れています。けれども、最新の知識を持ってスタッフの意見も聞きつつ自らも情報を収集し、緊急の事態に対して、しがらみに捉われず最も適切な措置を決断できるのは40代が適正なのかもしれません。
 対象が専門的になれば、一人で全てを決定するのはもう無理で、それぞれの分野で責任者が必要です。彼等に任せ、彼らが「迅速な決定を下せるようにする」のがトップの役目になるのかもしれません。
 東電にしても、そのような人事はこれまで考えたこともなかったでしょうに。今回のような緊急を要する大きな事態のみならず、変化の激しい時代には必要な体制と思われます。中小企業においても、事業承継時の体制などに大いに役立ちそうですが、管理職の育成年齢を下げていかないとなりません。

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2011年4月 1日 (金)

百十八話 震災の影響①

 神戸港が活況を呈しています。船舶、コンテナトラックの数が半端ではPict0237 ありません。リーマPict0232 ン後のいよいよ本格回復かと思いきや、通関関係の関与先の話では、関東方面の港に入る船が神戸へ廻っているのだそうです。原発事故の影響です。風評被害の一つでしょうが、外国船が放射能を恐れPict0235 て積荷を降ろす港を急遽変更しているようです。なんでも、アクシデント時に船を何処の港へつけるかなど、航行の 一切の権限は船長にあるのだそうで、Pict0229_2 船を危険から守るためには積荷の事情は二の次というわけです。でもあとの陸送など、その費用はどこへ行くかというと、すべて荷主の負担となるようです。今回のだと保険も効かなPict0231いでしょうから、荷主はたいへんです。震災の影響はいろいろなところで拡がっています。

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