百二十三話 『正義』をめぐる哲学
今年の2月に、この本をわたしに紹介したのは、友人で進学塾の開成グループ代表太田明弘さんです。「今一番面白い本ですよ。2日で読んでしまいました」というものですから、 わたしも早速に購入しました。マイケル・サンデル著「これからの正義の話をしよう」(早川書房)
はなるほど、とても興味深く、また参考になり、明晰な太田社長のように2日とは行きませんでしたが、この分厚い専門書をわたしも1週間ほどで読んでしまいました。これほど、わかりやすく、また読み手を引き込む哲学書はないのではないでしょうか。さすがハーバード大学で空前の履修者数を記録する白熱教室「JUSTICE(正義)」をベースにしたベストセラーであるわけです。
NHKで放映された講義のビデオでは冒頭に「暴走する機関車」という興味津々の架空の話 からはじまりましたが、この本にはそれ以外にも、現実の事件、エピソードがふんだんに盛り込まれています。身近なところでは、まだ記憶に新しいリーマン・ショック後の企業救済の例が使われています。本の中でサンデルが述べているように、「哲学は机上の空論では断じてない」というのが、とてもよくわかります。同様に事例で紹介されている「前の世代が犯した過ちについて、私たちに償いの義務はあるのだろうか」という問いは、今なお蒸し返される日本の戦後補償の問題であり、これから大きな課題となる年金の問題につながります。
サンデルはこういっています、「つまるところ、これらは『正義』をめぐる哲学の問題なのだ。社会に生きるうえで私たちが直面する、正解のない―にもかかわらず決断を迫られる―問題なのだ」と。深く議論し、決断することが、日本のわれわれに今、最も課せられた課題であることを再認識させられた一冊でした。
今朝のTBS「がっちりマンデー」で『凄い職人』の東大阪編が放送されました。もしやと思っていましたら、以前に人事制度で関与させて頂いていた工具の会社が取り上げられていました。当時から、とんでもない技能をもった人が何人かいて、すごいことを何でもないようにいうものだと思っていましたが、やはりでした。東大阪の中小企業にも知られていない『凄い職人』が普通にまだまだ大勢活躍しています。世界一の技術が知られずにいます。生き残ることが大切です。
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