百三十四話 「そして船は行く」
神戸の港を出て行く大型船を見て、昔見たイタリア映画、「E LA NAVE VA (そして船は行く)」を思い出しました。
海外の工場などに行くと、押しなべて日本国内の工場はきちっとしていて、皆よく働いているのに気がつきます。海外の工場との大きな違いは、現場の単純労働作業員クラスの質の高さです。製造業の基本である品質、コスト、納期が末端のひとり一人に浸透しているのが よくわかります。特段のインセンティブがなくとも仕事への意識がふつうに高いのです。日本にいるとなかなか気がつきませんが。
これは日本人のもともとの資質のように見えますが、たぶん社会に備わったものではないでしょうか。
長い目で見ると、製造業に限らず企業は品質、コスト、納期の基本に戻ってくるように思われます。長いスパンでは結局、それが競争力とすると、日本もまだまだいけそうに思えてきます。
リーマンショック、震災、節電、円高、ドル・ユーロ不安と日本の企業にとっては、ずっと戦時体制みたいなものです。危機感のない政府を尻目に、企業は黙々と品質、コスト、納期に磨きをかけ、局地戦に勝ち残る戦いをひたすら続けています。でも、まだまだ続けないとならないでしょう。そうすれば、やがて競合は脱落していくに違いありません。それができるのが、日本社会の本当の強さだと思います。
自宅の目の前の港に、今日も積荷を満載にしたコンテナ船が入り、積荷を降ろし、また新たな積荷を満載にして出航します。毎日々々この繰り返しです。ただひたすら品質、コスト、納期に研きを掛けながら。今日も、明日も、「E LA NAVE VA そして船は行く」です。
| 固定リンク | 0
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント