百六十八話 海外で働く日本女性~その⑨
聞いた話では、イタリア人は日本人のように列車の中で座ったら直ぐに眠るようなことはないそうです。本当かどうかは定かでありませんが、言われて見ればフィレンツェから乗った列 車の中でも眠っている人は見掛けませんでした。
それで、市場で働く日本女性が言っていたことを思い出しました。わたしが、「フィレンツェの人はみんな陽気で、レストランでも直ぐに話し掛けてくるし、どこで誰と話をしてもテンションが高いで すよね」と言うと、「ひとの前ではね。プライベートではそうでもありませんよ」と。なるほど、そういうことなのですね。これで、街を歩く、お年寄りも皆シャンと していて、映画のワンシーンのようにカッコイイ理由がわかりました。うーん、これは、気質というより、気概、美学ですね。意識しているのですから。「江戸っ子は宵越しの金は持たねえ」と、同じです。
この「他人(ひと)の意識の仕方」も、今の日本の社会に欠けている一つのような気がします。フィレンツェは大人の街でした。
写真上左2つ:雰囲気が堪らないEU映画に出てくるようなヴェッキオ橋の宝飾店、右:橋の上、夜でも犬を連れた人が多いが皆おしゃれだ、左下:洒落たカフェにとても似合っていた女性客
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