百七十九話 継接ぎの制度
仕事柄、いろいろな会社の人事制度を見る機会が多いのですが、相談をいただいた会社の人事制度で、ときどき「継接ぎ型」というのを目にします。様々な会社の制度の「良いところ取り」をしたものです。等級制度は大手のもの、評価制度は同業の事例、賃金体系は自社独自のものというようにです。それらが関連づけられ、整合性が取れていればそれでも良いのですが、実際はばらばらな運用になっていることがほとんどです。そうすると、やはり上手く機能しないのです。 したがって、専門書や他社事例を参考にする場合には人事制度全体を見ながら取り入れる必要があるといえます。
ユニークな人事制度で有名な未来工業㈱という中堅の企業が岐阜県にあります。創業者もユニークなのでよくマスコミにも出ています。定年は70歳、休みは有休以外に140日、年末年始は20日連休、報連相禁止、残業禁止、営業所の設立は社員の裁量、80ものサークル 等々、多くの中小企業が見たらひっくり返ってしまいそうです。「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(山田昭男著、ぱる出版)にも出ていますが、「見学者は多い(年間5000人)が、ウチの制度を実行したという会社は少ない」と、創業者の山田相談役も言っています。この未来工業の例は、極端なので一部分だけ取り入れようにも、取り入れられないので、「人事制度は全体が大事」なのが良く分かるかと思います。未来工業の制度は「差別化を徹底し、付加価値を高める」ことに全ての制度が繋がっていて、その積み重ねの結果なのです。
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