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2012年8月19日 (日)

百八十三話 今年の新卒

 毎年、春に各調査機関が新卒社員のアンケート調査を行っています。毎年なので、最近の傾向やその年の傾向がわかります(日本生産性本部、産能大のデータから)。
 最近の傾向としては、三つ大きな特徴が見られます。一つは、会社の志望動機です。「自分の能力・個性が生かせる」や「仕事が面白い」、「技術がおぼえられる」が上位で、「給料の高さ」は近年では最も低くなっています。ちなみに、「給料の高さ」が最も高かったのはバブルのピークの90年でした。また、バブルのときには、「会社の将来性」が「自分の能力・個性が生かせる」の次、2番手に上がっていました。極端な売り手市場だったことが如実にでています。今は、買い手市場の特性ですね。
二つ目は、「この会社に一生勤めたい」という意識で、今年が過去最高になっています。不況の反映で、シャープやパナソニックが大量のリストラをする時代ですから、安定志向が強くなっていると思われます。ただし、これは入社時の意識調査であることを考慮しないといけません。その証拠に、3年以内に退社する割合は、この10年ほぼ変わっていません(ちなみに30~99人規模の大卒でおよそ4割、大手は2割)。 
 三つ目は「管理職志向」です。昨年と同様に最も高い傾向にあります。そのことを裏付ける「早く会社に貢献したい」が「地道にこつこつ働きたい」を6:4で勝り、同じ傾向です。

 これらを総合すると、今、新卒採用はお得で「買い」です。余力のあるところは、よく吟味して採用するのは得策といえます。最後に、「デートの約束があったとき、残業を命じられたら」の問いに、「デートをやめ、仕事をする」か「断っ、デートする」かは、今年は86:14です。ちなみに、バブルの時は64:36でした。この差は大きいといえそうです。

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