百八十四話 日韓貿易から
TVをはじめとする家電は韓国勢等にとられて、日本の代表的な電気機器の大手企業はたいへんです。当然、その下請けの中小企業も多く、やはり大きく影響を受け、同様に打つ手なしの状態です。韓国の技術力の向上、戦略の奏功、ウォン安等がそろったおかげで、予想以上の打撃を被ることになってしまいました。TVなどは当面シェアの逆転が難しそうです。
でも、それは製品レベルのことのようで、素材や特殊なパーツ、工作機械等は別ものみたいです。この15年くらいの経済産業省の数字の推移を見ると、確かに韓国は急速に輸出を伸ばしていますが、日韓に限れば、韓国の日本に対する貿易はずっと赤字です。しかも、その差は少しも縮まっていません。中身を見ると、スマフォなど日本への製品輸出は当然伸びていますが、その分、素材、パーツ、工作機械等の日本からの輸入も同様に伸びています。つまり、韓国の企業は日本のモノを使って製品をつくり売っていることになります。家電製品の企業は落ち込んでいますが、日本でも代わりに伸ばしている企業が沢山あるということでしょう。
仮に日本のそういった企業がなんらかで供給を止めれば、韓国企業は仕入れ先を乗り替えるでしょうか。代替先があるものは当然そうするでしょうし、その準備はしていることでしょう。でも数字で見ると、対日貿易収支の差がいっこうに縮まらないのは、日本の供給が無ければ、おいそれとは代わりが無く、生産できないということのように見えます。
このことからも、グローバルな時代にあって、ますます「わが社しかない」モノ、サービス、しくみの重要度が増しているといえるでしょう。日本が生き残るための戦略は、やはりそれしかなさそうです。
残暑お見舞い申し上げます。神戸港の船の行き来が多くなっています 。リーマンショック前くらいには戻っているのではないでしょうか。日本は今度こそダメだといわれながら、しぶとく何度も甦っています。確かに政治はダメかもしれませんし、気は抜けませんがが、産業の集積、実体経済は揺るぎないものがあるように思えて来ますね。
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