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2012年11月18日 (日)

百九十六話 「牛に化粧品を売る」

 「牛に化粧品を売る」、この強烈なタイトルの本(幻冬舎刊)は田舎の一ドラッグストアの女性店主による「セールスの極意」の話です。この店はカネボウのブランドでは全国4000弱の店舗中、12年間1位という凄まじい記録をもっています。著者のこの店主長谷川桂子さんをAa300_ わたしが知ったのは、7年前に日経の夕刊の連載記事「そこまでやるか~世に売れぬPhotoものなし」のトップバッターで目にしたのが最初です。それ以来、この記事をケーススタディ問題 として、ずっと使わせていただいています。ちなみに、記事の2番バッターが有名な東北新幹線のスーパー社内販売員、斉藤泉さんでした(斉藤さんも当時はまだ時給のパートでしたが)。この二人は、まったく、違う販売形態、販売スタイルながら、どちらも顧客を知り尽くすという点で共通しています。
 タイトルの話は、牛の毛並みの艶を出したい要望に、愛犬に使っていた化粧品のクリームをすすめ、品評会で優勝させたものですが、著者のその猛烈な商魂ぶりをよく表しています。といっても、場所は岡山の新見という人口1万人ほどの山間の小さな市です。以前、関与先があって何度か行ったことがあるのでわかるのですが、悪い噂がたてば、たちどころに広まってしまうようなところです。限られたマーケットで年間2億円も売上げるのですから、顧客の信頼がなければ、とうてい長くは続けられません。顧客を知り尽くし、ニーズを掴む、ニーズに応えるのは勿論ですが、信頼があってこそ活きてくるということでしょう。それにしても、何でも「売り方次第で売れるものだ」という、ちょっと元気にしてくれる本です。

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