二百十一話 「賃上げ」の引きがね
確固たる昇給のルールがある大手は、「賃上げ」といえばベアを差します。ベアとは、水準上げです。昇給のルールが確立されていない中小等は、昇給=「賃上げ」です。実際に人員構成に偏りがあるのが普通といえる中小では、昇給によって人件費が膨らみ、コストが上がって競争力にはね返ります。 いずれにせよ、春闘を中心に大手の「賃上げ」のゆくえが、中小を含む賃金全体のムードをつくりることになります。
政府の産業界への要請に対して、企業は「賃上げ」=ベアを、そう簡単には行いません。「賃上げ」が起こる大きな要因は二つです。
一つは、実質の賃金の目減りです。物価の上昇に対して、相対的に賃金の価値が下がり、去年並みの生活が維持できなくなるような場合です。賃金相場を引っ張る企業が、ルール通りの昇給、つまり定昇が確立されている現在の日本の状況では、「去年並みの生活が維持できない」などいというのは、よほどの目減りがない限り起こり得ません。労働組合が声高に「賃上げ」を言っても、説得力がなく、将来の確保、つまり設備投資や開発費、内部留保に向かうでしょう。高度成長期なら、より一層の「生活水準の向上」は大きな意味がありましたが、日本は充分豊かになり、現実味がありません。もし、そうでない分野があるなら、そこにのみ賃上げ圧力がかかることでしょう。
もう一つは、「人材が必要で、採れない」事態です。その場合に、人も需要と供給の関係で値段つまり賃金が上昇します。他社と競争で有能な人材の確保に走ることになり、他社より賃金を少しでも上げようということになります。但し、その場合でも地域や職種の全体で高まらないと簡単には起こりません。その点では、人の需要、つまり雇用が充分に広がらないと賃上げの引き上げにはならないといえます。産業の喚起が必要です。
政府の賃上げ要請に対して、ローソン、一休、JINなど応える企業は出てきていますが、今のところすべて賞与です。業績が上がっただけで、本来の「賃上げ」を行うリスクを企業はとるようなことはないでしょう。ハードルはまだまだ高いといえます。
娘に連れられて、24日の日曜に天満の天神さんの梅酒大会へ。300種もの梅酒が700円で飲み 放題ということで、た いそうな人 数でした。ツイッターにも「梅酒のわんこそば状態」とありましたが 、まさにその通りで、わたしも40杯くらいは飲んだような。さすがに梅酒と言えども結構よい気分に。おかげで、お土産の梅酒の即売をぶら下げて帰ることに。なかなか上手い商売ですね。
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