二百二十三話 顧客が確実に増加する業種
昨日、介護関係の関与先で、元日経トレンディ編集長でフリージャーナリストの淺川澄一さんによる記念講演会がありました。2011年にスタートした厚労省と国交省の初の連携による「サービス付高齢者住宅制度」を中心に、国がこれから高齢者の介護問題をどのように考えているのか、重要な課題は何で展望はあるのかないのかをわかりやすく解説され ました。話の組み立ての上手さはすばらしく、内容の濃い2時間でした。
そのなかから専門的な内容の部分はともかく、事業的な観点からなるほどの話題を一つ。
介護保険は65歳から利用ができますが、65歳~75歳までの利用は12%だそうで、すなわちほとんどが75歳以上で利用となります。今、団塊の世代は64~66歳ですが、この世代の出生数は現在のそれの2.5倍あり、しかも生存能力の強い世代で、それがこの先90歳、100歳と長生きします。つまり、少子化、人口減と言われる中で、これからの30年は高齢者と高齢者の死亡数は、まちがいなく増え続けると言うわけです。特に団塊世代が介護保険を本格活用し始める10年後からの20年間は、介護関連事業のニーズはピークを迎えることになるということです。いわば、利用者である顧客がまるで高度成長期のように増え続けるわけで、そのような業界は他にないでしょう。高齢者死亡数も現在の85万人から140万人と増加し、それが20年続くことになるのです。
国もこの10年の間に対策を講じることが勝負と考えているとのことでした。事業家にとっては、10年も準備期間があり、うまくすればその後20年間は確実に果実を得られることとなります。国の行く末を左右する施策の話でもありますが、事業としても間違いなく魅力ある分野といえます。低い賃金に人不足など問題は山積みですが、事業者、顧客である利用者、働く人の3者が充足するビジネスモデルが早く、いくつも出てくることを期待したいものです。
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