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2013年6月

2013年6月29日 (土)

二百二十八話 コンピテンシー評価

 成果主義以降に米国からやってきた「コンピテンシー(competency)」も人事の用語としてはかなり定着しました。大手の評価制度に、成果をはかる目標達成度とセットでプロセス評価の基準として多く使われています。語源は「コンペ」とあるように、もともとは競争力を意味し、自社の成果につながる能力、資質、行動特性として評価基準やアセスメント指標に導入されました。常に成果を上げている人の行動およびその要因を見つけ、それに習えば、全員のレベルアップがはかられ、業績向上につながるというものです。成果主義=結果主義の反省を余儀なくされていた大手企業は、プロセス評価の指標として飛びついたわけです。
 コンピテンシーの評価区分としては、「ポテンシャル」あるいは「行動」として扱われています。前述のプロセス評価の場合は「行動」となります。たとえば営業なら、「お客様の名前を覚え、こちらから気持ちを込めて声を掛けていたか」「一方的に喋るのではなく、相手の話に親身になって耳を傾け、本当のニーズを拾っていたか」などという短文型の具体的な評価基準が使われます。
 コンピテンシーが従来の基準と大きく違う点は、その扱う範囲が広いことです。この例文にあるように、「気持ちを込めて」「親身なって」というところがキィで、そのようなこちらの姿勢や意識が相手に伝わらないと、うわべだけ同じような行動をとっていても駄目なのでしょう。「姿勢や意識」という微妙なニュアンスのよくわからなものまで対象とする点が、コンピテンシーの特徴です。でも考えてみると、それは中小企業の社長さんがまさに見ているポイントではないでしょうか。中小の社長さんの「勘」も、「コンピテンシー」というそれらしいロジックで「見える化」され、グローバルに通用する評価基準として再び役立つときが来たといえます。

珍しく大河ドラマを欠かさず見ています。「八重の桜」の魅力は、幕末の動乱をこれまでは新政府や幕府、新撰組などの側から見たものばかりでしたが、追い詰められる会津藩という視点から描いたドラマはなかった点と、薩長連合に次々と敗退して行く大きな要因として、武器の性能に焦点をきちっとあてている点です。会津の主力火器は、新式銃が間に合わずゲベール銃と火縄だったようですから、薩長が標準装備するライフルを切ったミニエー銃などに歯が立たなかったわけです。なにしろ、射程距離がゲベール100M、ミニエー1000Mとかいうのですから。さて、明日の「八重の桜」はいよいよ会津戊辰戦争のクライマックス、八重の参戦となります。昔の友人で道場主役にて出演の六平直政君もようやく見せ場がありそうで愉しみです。

 

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2013年6月23日 (日)

二百二十七話 急成長する会社の賃金制度

 私どもに相談に来られる一つのパターンに、「急激に人が増えている中小企業」があります。業績がどんどん伸びていて、人手がおっつかないというわけです。そこで、即戦力の補充となり、中途採用を行います。
 よくある問題は、中途採用者の賃金のバラツキにくわえて、中途採用者と勤続の比較的長い社員とのバラツキです。バラツキというのは、仕事と賃金のバランスのことです。同じ程度の仕事で同じくらいの賃金なら問題になりませんが、人によってその差が大きくなると、とうぜん不平不満のもととなります。
 中小企業の多くはとくに制度を持たない会社でも、大手と違い、もともとそれほど年功ではありません。何らかでトップの評価が入っていたりします。ただ、明確でないだけです。そのために、各階層にわたって中途採用者が急激に増加するような場合には不信につながりかちです。
 そこで、エイヤッ!型の賃金決定から、体系化を進めることとなります。ただし、もはや年功には戻りません。社員の念頭にあるのも仕事と賃金が適切かですし、会社が求めるのも仕事と賃金のバランスです。その場合に検討する体系は、正攻法からいえば仕事と能力を軸とする等級制度に基づく職能給や実力給などの賃金体系です。よくご相談の社長さん等から、「やっぱり等級制度ですか」と言われたりしますが、やはり合理的なしくみといえます。

Photo月3日(水)にセミナーを行います。場所は、梅田阪急グランドビル19階 関西文化サロン、時間は14:00~16:30です。テーマは大きく二つです。一つは事業の継承と税制に関わるヒント、もう一つは、成長する東南アジアなどに販路を持ちたい、パートナーを捜したい会社へのヒントです。どちらも事例を交えての解説となります。関心のある方は是非どうぞ。

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2013年6月15日 (土)

二百二十六話 評価の納得性

 賞与にからめて考課を実施する企業が多いので、人事考課はこの時期に集中します。日本の中小企業では昇給以上に賞与の時期は揃っています。よって、わたしどもへの考課者研修などの依頼も集中することとなります。
 人事考課とは、その人の仕事ぶりを成果や行動、能力の面から評価しようとするものですが、ペーパーテストなどとは違い、いかに精度を高めても完璧な正解はありません。あるいは、数値業績のみで計れるような仕事ならありうるでしょうが、そんな仕事は極めて限られていますし、たいていの会社で数値業績等は経営者が評価したいことの一部でしかありません。ですから、人事考課の要諦は納得性に尽きるともいえます。
 考課の納得性を高めるには、幾つかの方法がありますが、大別すると二つになります。考課基準などの精度を高める方法が一つ、もう一つは手続きを充実する方法です。
 目標管理を考課にリンクさせるなどは、両方を高める方法といえるでしょうし、考課者訓練などは後者の類といえます。
 ただ、会社からのご相談等で評価制度に関する多くは、考課表に期待が向けられています。きちっと計れる考課表への期待ですが、先に説明の通り、やはり限界があります。限界は手続きで補わないとなりません。
 一般的に中小企業は、手続きの活用が弱いといえます。もう少し目を向けるべきでしょう。たとえば、「部長以上の検討委員会で考課ランクの最終決定」などという手続きの明確化は、想定以上に納得性を与える効果をもたらしたりします。たとえ、検討内容がブラックボックスであってもです。

わたしどものビルの1階にダンス教室の「ダンス夢ファクトリー」さんが入ってられます。ダンスといえば、社交ダンスくらいしか知りませんでしたが、こちらは映画「Shall We ダンPhoto_2 ?」(古くはフレッドアステア、ヒットは役所広司、最新はリチャードギア)で一躍知れ渡ることとなった競技ダンスがメインで、有名な先生方がずらりとそPhoto_3 ろってられます。勿論、社交ダンスから幅広く教えてくださるみたいですが、その踊る姿を見るとびっくりしてしまいます。少し前に、オーナーから「リッツカールトン・ホテルでイベントをします」といわれ、見に行きましたら、そのダンスの迫力と200人以上は来られていたと思われる会員の方の熱気で圧倒されてしまいました(写真)。先生方は皆若く、クールな美男美女ばかりで、頻繁にヨーロッパなど海外の競技に遠征されています。先日も入賞されたとか言ってられました。うーん、まったく知らない業界があり、若くして世界で頑張っているのですね。興味のある方は是非一度、見学にどうぞ。皆さん夜中まで練習されていますよ。

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2013年6月 9日 (日)

二百二十五話 職務契約型の雇用社会

 日本の雇用システムは特殊です。社会常識となっている、職務契約をせず、「何でもする、何処へでも行く」という、正社員総合職中心ののスタンスは、欧米やアジアを見ても他国にはありません(雇用法制のおおもとは欧米と変わりないのですが)。そのために専門性が高くなく、生産性も疑わしい、グローバルな時代には大きな弱点とも言われています。本当に弱点かどうかはともかく、すくなくとも中小企業では、この社会通念の恩恵を大いに受けているといえるでしょう。「人材が来ない」などと、文句を言ってはいけません。現在の日本の雇用システムは、中小企業にとってはとても都合の良い、経営環境の基盤となっているのです。
 もし仮に他国同様に職務契約型雇用の社会になったら、専門性の高い、できる社員を中小企業は雇い、活用できるでしょうか。おそらく、短期の雇用が前提となるでしょう。専門性の高い中途採用の社員は3年以内で転職してしまうでしょうし、新卒も折角育てて使えるようになったと思ったら、どこかへ転職してしまうに違いありません。それを前提で、仕事と雇用を考えることになります。
 短期雇用の人材を使いこなすには、マネジメントが大事になりますが、まずマネジメントできる人材が定着しません。したがって、職務契約型雇用が幅をきかす社会になったら、残るのは大手と経営者自身がマネジメントする少人数の会社だけとなるかもしれません。残りの会社は、残念ながら、たいへん厳しい状況になってしまいそうです。

1グランフ2ロントの一角、インターコンチネンタルホテルが5日にオープンしました。次はオーナーズタ4ワーマ3ンションが7 月に入居がはじまります。うめきたにますます奥行きが出て、当面は現在の人 通りをたもってくれるでしょ う。ぶらぶらできる居心地の良いところを維持してもらいたいものです。グランフロントがこのまま成功す れば、2年後といわれる広大な西側の2期工事が確実なものになるに違いありません。今なら、ぜひ来たい大学などもあるでしょうに。

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2013年6月 2日 (日)

二百二十四話 中途採用増

 中途採用の求人数が2009年を底に順調に伸びてきています。この4月では、リーマン前の水準に戻しました。最も増加率の高い業種は建設と金融ですが、幅広い業種で増加が見られます。大手では日産が積極的で2.3倍の220人に枠を広げています。
 新卒採用に対して、中途採用は即戦力が大きな目的です。したがって、企業の業績への回復期待が急速に膨らんでいることを示しているといえます。 一方で、リーマン後のリストラ等で有能な人材が労働市場に埋もれていること、希望外の就職で転職希望者が多数潜在していることなども要因となっています。要因のもう一つとして、日産に見られるように、大手の中途採用シフトがあります。新卒一辺倒の組織づくりを見直そうというものです。
 大手が中途採用に積極的になると、もともと中途主体の中小企業は厄介になります。人材が採れない直接的な影響の他に、雇用の流動化の影響です。流動化は徐々に進み、突然に状況が一変するおそれがあります。
 これから中小企業は、採用と定着にかかわるコストアップを想定しておかないとならないでしょう。

Photoグランフロント大阪の来場者数が1ヶ月で延べ761万人を超え、東京スカイツリーの581万人を抜きました。駅からに近さ、一度では周りきれない店舗数の圧倒的な多さ、ここにしかない店舗、敷1 地の広さでリピーターを獲得し、 今のところ成功しているようです。そういえば、大阪で特に北にはファッションして歩く場所がありませんでした。ですから、コンセプトがSANPOなのでしょう。高級店が多く、落とした平均客単価800円Photo_3というのは当然で、狙い通りだったわけです。
 いまだに行列の絶えない店が随分あります。映画で話題になり、日本初出店の「THE CITY BAKERY」もそうですが 、早朝からやっていますので、さすがに出社前なら並ばずに買えます。ベーコンの入ったスコーンは食べたことのない味で、ちょっとくせになります。

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