二百三十一話 ビッグデータ
宝の山といわれるビッグデータとは、新聞の朝刊で数10万年分に相当する膨大な量のデータを指すものらしい。ポイントカードや電子マネーの普及で、例えばコンビニだとのべ年間150億人分の詳細な購買履歴がとれるようになりました。お陰で、活用次第ではマーケティングの強力な武器となるといわれています。
セブン&アイが電子マネーのナナコによるビッグデータを分析したところ、次のような関連性を見出しました。団塊世代が大量退職→団塊世代は家で飲む特性がある→また、お酒とともにつまみを買う頻度が高い。そこで、今までコンビニに申し訳程度に置いていた酒類の種類を大幅に増やし、酒に合う惣菜の品数を増やしたところ、酒の売上が7ポイント増加し、惣菜の売上も増えました。まさにビッグデータの威力を見せつけたわけです。
ビッグデータは商品やサービスの開発に革命を起こすと報じられたりしています。確かにそうかもしれません。大変な時代になりました。でも、ビッグデータも競合他社を差別化できてこそ価値があるわけです。その証拠に、セブンの成功で他のコンビにもすぐに酒とおつまみを増やしましたし、どこも自社のビッグデータの解析に躍起になっています。まさに、差別化の賞味期限が短くなってきたということです。ビッグデータが鍵というより、スピード紅テントが鍵といえそうですね。
(わたしはマーケティングや経営戦略の専門家ではありませんので、このような話を「(自分で)考える力を身につける研修」や「視野を広げる、俯瞰する力のスキルアップ研修」などの中で時々使っています。中小企業には専門化は沢山いるのですが、戦略的にものごとを考える人材が極端に不足しています。増やせれば、必ず競争力アップとなるのですが。
東京にいた20代に、よく紅テントの演劇を見に行きました。小林薫や根津甚八がカッコ良かった。紅テントも最初は 「どうせいい加減なアングラ芝居」と思っていたら、世の中がひっくり返るくらい面白くて衝撃的でした(お陰で自分で脚本を書き、仲間を集めて大学の学園祭で 演劇の真似事をしたりしました)。世の中は学生運動の燃えカスがまだ燻っていたような時代でしたが、何か違うと感じていたところに、まったく反対のロジックで実際に行動する活動家兼クリエーターが出てきたようなものですから、飛びついたのだと思います。一度、神田川に停泊するだるま船にテントを掛けたという劇場?で行われ、見に行ったことがあります。演劇をしている間にそのまま、いつの間にか東京湾を巡っていたり、途中で火矢を撃たれた不破万作が背中に火がついたまま、川に本当に飛び込むというサービスがあったり、凄いものでした。思えば幸せな時代でしたね。そんなこと、今では到底できないでしょうに。世の中、こじんまりとお行儀が良くなりました。
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