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2013年9月

2013年9月30日 (月)

二百四十一話 文七元結

 関与先の社長様から落語のCDを頂戴しました。江戸落語の天才、故古今亭志ん朝の人情噺「文七元結」です。腕はいいが博打に明け暮れる左官職人の長兵衛、50両もの借金で年を越せぬ有り様。見兼ねた娘のお久が父親の博打狂いをやめさせるたPhoto めに吉原に身売りをする。吉原の女将は長兵衛に50両を貸してくれるが、来年の大晦日までに一生懸命に働いて返さないとお久に客をとらせると改心を迫る。さすがに悔い改めた長兵衛は必ず迎えに来るとお久に約束。50両を懐に吾妻橋にかかったときに、若い男が身投げをしようとするのを見て引き止める。事情を聞くと、日本橋の鼈甲問屋近江屋の手代文七で、集金の50両をスリに盗られ、金がなければ飛び込むしかないという。大事な金だが命には代えられぬと、長兵衛は50両をくれてやる・・・という、すごい話で、仕事の締め切りが迫る中、すっかり志ん朝の艶のある話芸に聞き入ってしまいました。昔聴いたことはあったのですが、自分の子供がそれなりの歳になると感じ方も違ってきます。
 それにしても江戸の町民は、まさに気風(きっぷ)で生きているこの物語の登場人物たちとこの粋な顛末とを心底理解し、泣いて笑って愉しんでいたのかと思うと感心してしまいます。また、それを我々は現代に聴いて同様に感動し、笑えるのです。たとえ、「こんな馬鹿な奴はいるか」と思いつつも。あらためて日本の文化の厚みを誇りに思います。おそらく、外人が聴いたら、あり得ない話とまったく理解し得ないか、或いは日本に心底惚れてしまうかでしょう。
 日本の文化の厚みは底辺のレベルの高さです。一部のエリートの高さではありません。このような物語を最多数で共有できる社会の強さともいえます。

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2013年9月23日 (月)

二百四十話 賃金は上がるか

 デフレ解消、景気の浮揚を目指す安倍内閣としては、来春に向けて「賃上げ」がなされるかどうかが達成の鍵と考えています。したがって、消費税増税と引き換えに法人税下げ、或いは所得税下げ等を渋る財務省に対して実現しようとする構えです。
 しかし以前に見たように、アジア等の新興国と競合する製造業などは、格差の実態を見る限り、上げる余地はなさそうです。そもそも日本で製造業がGDPに占める割合は20%ありません。それに対して内需型の建設、小売・卸、情報、金融、不動産、その他サービス業などはざっくり70%あります。また、労働人口構成比でいえば、製造業で17%ほど、前述の内需型産業で78%を占めます。これらからすると、内需型の産業にターゲットを絞り、賃上げにつながる政策をする発想をすべきといえます。これまでのように春闘を引っ張った自動車や大手電機に頼るのは間違いでしょう(春闘を引っ張って来たからこそ、もはや高止まりの賃金なのです)。
 あらっぽくいえば、円安で物価が上がり、コスト高になっても、内需型産業なら賃金が上がっても、一斉になされれるなら、競争の条件は同じになります。これも、たいへんあらっぽくいえば、もし最低賃金のアップをするなら、産業別、つまり輸出関連産業別、内需型産業別にするような発想が必要と思われます。でも、最低賃金のような規制ではなく、内需型産業が賃上げをしようと思う環境をどうやって整えるかの知恵が欲しいところです。

 会社から歩いて2分ほどの梅田スカイシティに里山を模した庭園が広がっています。この夏でも朝夕はそこを通ると冷んやりしてPhoto_2 1 、緑の効果はたいしたものと感じることができます。その庭園の東側に巨大な「緑の壁」なるものが、まPhoto もなくオープンします。安藤忠雄が発案して、持ち主のセキスイが「やろう」と乗ったものです。ところが、それに訴訟が起こっています。庭園の設計者が「もともとのコンセプトが壊されてしまった」と訴えているものです。焦点は庭園にも著作権があるかどうかということのようですが、訴訟の結果は兎も角、グランフロントに続く大阪駅西側の当面の話題となりそうです。

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2013年9月15日 (日)

二百三十九話 講演会と親睦会①

 わPhotoたしどもの事務所の1階に「ダンス夢ファクトリー」さんが来られて、もう17年になります。社交ダンスの中の競技ダンス界では天才ダンサーとして著名な岡卓示先生が主催されてい ます。いつも海外遠征などもあって、お忙しく、なかなか機会がありませんでした。今回10分ほどなら時間が取れるとのことで、DVD映像と合わせて紹介させて頂きました(写真左上)。映像の華麗なステップに皆さん目を丸くされていたようです。興味はあっても競技ダンスとなると、どうも敷居を高く感じてしまうようですが、わたしどもの事務所に来られた折には、是非、教室に寄られてレッスンの様子を見学してみてください。一見の価値はありますよ。ちなみにわたしの妹も通い始めるとのことで、専門の日本舞踊にでもとり入れるのでしょうか。

 中島美佐穂先生の講演では、iPadをはじめ席巻するタブレットについて、わかりやすく整理して頂きました。知っているようで、あらためて聞くとなるほどと気がつく点が幾つかありPhoto_2 ました。先生が言われるように、「今は本Photo_3や雑誌、新聞などの『紙媒体のデジタル化』という使い方がまだ主流だけれども、タブレットの機能性に基く独自の利用方法がこれからもっと展開する」というのはそのとおりと思います。一例で挙げられていた、画像と合わせて独居老人の安否の確認など、確かにタブレットならではといえます。
 先日行かれたイタリア旅行では、iPadminiをふんだんに活用されていたとのこと。見知らぬ土地で迷子になったときには抜群の威力だったとか。あとの親睦会で、数人の方から「わたしも使ってみなくちゃ」という声がありました。そのうち、とんでもない使い方が出てくるのでしょう。その未知数こそがタブレットの値打ちでしょうか。

 親睦会では、堂島ロールの金美花社長の話などもあって盛り上がりました。心斎橋に新しいPhoto_2 Photo_3 ショップを出されるとか。相変わらず元気ですね。
 今回も堂島ロールのブース、大塚製薬グループさんのブースは大人気で、商品がどんどんなくなっていました。いつも、重い!とお叱りを受ける恒例のお土産は、大塚製薬グループさんからはポカリスウェットやオロナミンC、ボンカレーの新商品など、クローバー石鹸さんからPhoto_5は人気の商品、モンシェールさんからバラのケーキなど盛り沢山でした。今年で19回ちなりましたが、お陰様で100名を超えるお客様で嬉しい限りです。まだまだ続けないといけませんね。きちんとした写真があがってきましたら、またご紹介します。

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2013年9月 9日 (月)

二百三十八話 アジアの賃金①

 ジェトロが発表した12年度の「アジア・オセアニア地域のコスト比較」の中で、各主要都市のワーカー(工場現場従事者)の賃金を見ると、日本が突出しているのがリアルに分かります(下表)。もとは、比較のために年額・ドル表示ですが、ピンと来ないので私どもで月額・円換算したものです。
 韓国ソウルで名古屋のおよそ6割、中国深せんが1割強、ミャンマー・ヤンゴンにいたっては50分の1です(ちなみにオーストラリア・シドニーでは逆に2割増し)。これでは、はなから勝負になりません。アベノミクスで政府が要請する賃上げどころではないことになります。でも、名古屋の月額425,640円(技術係員平均年齢33.3歳)はどう見ても高く思えます。これは、所定内月額に残業代と賞与が換算で含まれているからで、それを除くと24万円前後になるでしょう。それでも少し高い気はしますが、それほどおかしい数字ではありません。仮に割り引いても突出した高さです。すると、国内製造業が競争の土俵に上がるには、どう考えても方策は限られてしまうことになります。現実、給与を下げるのが不可能とすると、付加価値の高いモノづくりで、高い技術力の要る仕事をし、日々改善を続け、生産性を上げるしかないことになるでしょう。同じものを同じ様につくっていたのでは、勝ち目はありません。できなければ海外へ出て行くしかないことになってしまいます。
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7日の土曜日に仲間の勉強会が沼津でありました。沼津の先生が奥様の介護でなかなか来れなくなってしまったので、こちらから出向こうとなったわけです。勉強会のテーマは、60歳以降及び高齢者の賃金と働きか方についてでしたが、心配する我々がいつの間にか高齢者または高齢者にならんとするやからになってしまいました。まさに日本の縮図ですね。

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2013年9月 1日 (日)

二百三十七話 離職率3年ぶりアップ

 厚生労働省の発表によると昨年の離職率は14.8%で、前年より0.4ポイント上昇したとのことです。上昇は3年ぶりですが、自分の意思で辞める「個人的理由」が9.8%から10.3%に増え、逆に「事業所側の理由」は1.2%から1.0%に低下しています。つまり、離職率の増加は景気の悪化で増えたのではなく、景気が良くなり、雇用が改善傾向にあって流動化しだしたためと考えられます。雇用の悪化で希望でない会社にやむなく勤めていた人が、求人の増加によって、転職を考え出したことが大きな要因というわけです。これは、中小企業にとって必ずしも良い話ではありません。採用については、この数年は関与先等でもこれまでは絶対に来なかった有名大の新卒が採れるなど、今までになく比較的良好な環境といえましたが、大手の採用増、就職活動の解禁時期のルール変更など悪い材料がそろいつつあり、中小を取り巻く採用環境は再びもとの厳しいものに戻りつつあります。
 リクルートマネジメントソリューションズの調査によれば、新卒採用後3年以内に転職した人は、46%が入社半年までに、73%が1年以内に転職を考えているそうです。また、その一番の理由が「業務内容」となっています。ということは、入社後1年が勝負となります。中小企業がとるべき対策としては、仕事を任せっぱなしにせず、その意味や重要性、次のステップ等をよく説明するなど、その間のコミュニケーションの機会をできるだけつくることと言えます。

半沢直樹の前半は大阪が舞台で、関与先等でもよく話題となっていました。近所のスカイビルの屋上なども何度か場面に出てきていましたが、リアルな内容とべたな大阪で久々の大ヒットです。宇梶剛士演じる東田と上司の浅野の出身校は梅田第一中学校となっていて、もちろん架空ですが、梅田近辺の中学と言えばわたしの出身校くらいと思うので、見ていて思わず身を乗り出してしまいました。半沢が出世して東京本店へ行ってしまい、少々残念ですね。

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