二百四十六話 百田尚樹講演
町内にあるウェスティンホテルの20周年記念で百田尚樹さんの特別講演会が28日にありました。ABCの探偵ナイトスクープなどの放送作家でもあり、処女作「永遠のゼロ」で320万部を売った大ベストセラー作家で、トークも面白いとは聞いていましたが、これほどとは。機関銃のような早口と情報量で400名の参加者が笑いと感激の時間を忘れる充実した2時間、予定は1時間半でしたが、30分延長のおまけ付きでした。
そんな百田さんも、処女作のヒットから年2作ペースで出版していたのが、急に書けなくなってしまったそうです。それは東北の震災からの無力感で、何を書いても「無駄だ」と感じたと言います。そんな折に、戦後すぐに起こった日章丸事件の話を知り、調べてみると一民間人が大英帝国と石油メジャー相手に戦った凄い話なのに、自分も含めてほとんどの人が知らず、今の日本の状況とも重なり、「これは書かねば」と思ったそうです。少しその話を喋った講談社のノンフィクション部の編集長からある日、ダンボール箱いっぱいの資料が送られてきて、調べれば調べるほどとんでもない事件であることがわかり、7か月で一気に書き上げたのが「海賊とよばれた男」ということでした。当初はこんな男が日本にいたのかという思いで、主人公である出光の創業者出光佐三の物語を書いていたそうです。ところが調べて行くうちにわかったのは、実はそうではなく、出光がイギリスに勝ったのは、出光佐三だけでなく、そのような気質の凄い連中が大勢いたからということでした。戦後の焼け野原を見て当時の世界の多くの著名人が、「あと50年たっても日本は世界の最貧国のままだろう」といわれた国が、たかだか20年でオリンピックを開き、新幹線を走らせる驚異的な復興を成し得たのは、戦後のあの状況にもかかわらず卑屈にならず世界を相手する気概を持った人たちが大勢いたからということに気が付いたからと言います。
こう聞かされると、もはや百田尚樹を読まずにはおれませんね。
こちらは帝国ホテルで29日に行われたモンシェールさんの10周年記念パーティです。500名の参加者に、司会は高島彩さん、トップの祝辞が元ソニーCEO出井典之さんと豪華なメンバーで始まり、金美花社長の相変わらずよどみないトークでこの10年の軌跡を紹介されました。今や上海、ソウル、香港を含め、35店舗を展開し、売上44億という数字をたった10年でつくったのですから、まさに大したものという他ありません。この急成長がどれだけ大変か、金社長がインフルエンザで一度休んだ以外、休日をとったことがないという協力業者の方の証言が物語っています。
金社長は海外展開する前、欧州へ視察に行き、拡大路線を選ぶか、現状でまとまるか、1週間悩んだそうです。本場のスイーツを見て拡大路線を決断するに至ったのは、「10数年前に起業を思い立つきっかけとなった、本場のお店は今も魅力的で変わっていないが、一つだけ違ってしまったのは、スイーツ自体はもはや日本の方が優れている」ことだったそです。その証拠に、世界中から日本のスイーツを視察に来ていて、あと5年もすれば日本のスイーツが世界の標準になると言われていました。彼女の見た目のかわいらしさと商品がスイーツということで見誤ってしまいがちですが、実に志が高いのです。見ているころが違うのです。
それにしても、人脈が凄いですね。大きくなってもそれを大切にされるところが強さの一つなのでしょう。最後にサプライズゲストで、巨人楽天の試合の国歌斉唱を蹴って駆けつけたという、なんと郷ひろみが現れ、しゃれたトークと2曲歌ってくれました。ずいぶんと得した気分で帰りました。
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