二百五十五話 「賃上げ」のゆくえ
年が明けて、当面の4月新年度までの注視すべき話題は、なんといっても消費税駆け込み需要と「賃上げ」です。とりわけ「賃上げ」にスポットが当たるなどというのは、何年ぶりでしょうか。しかも保守政党政権が賃上げを主導するなどというのは前代未聞です。第一次オイルショック時の狂乱物価の悪循環を労組が賃上げ要求の抑制で回避したときのまさに逆張りといえます。そのときの記憶もあって、トヨタなどの大手企業はベアに前向きです。これから本格化する春闘交渉ですが、目が離せません。
リーディングの旗印としての大手メーカー等はともかくとして、著名な販売業やサービス業にも前向きなところがあります。が、どこまで拡がるかは注視する必要があるでしょう。ここは中小企業に直接影響すると思われるからです。中小企業はまだベアなどできる状況では到底ありませんが、大手・中堅と較べてあまり賃金水準に格差がついてしまうと人材が採れず、また流出も起こりかねません。
このようなことから、今年、とくに4月以降、中小企業は自社の賃金水準をこの20年間でもっとも意識せざる得なくなるでしょう。昇給ではなく、水準をです。そしてまた、自社の賃金水準がそこそこなのか、低いのか、高いのか、それが確認できるように賃金制度の整備が進むことになるでしょう。賃金制度が整っていても、それが見えない制度は見直さなくてはならなくなるはずです。
写真はキリンビールがコンビニ向けに開発した戦略商品です。これまでは、大手ビール会社が
、わざわざコンビニ向けだけに手間とコストのかかる新商品を開発するなど、到底考えられませんでし
た。コンビニがそれだけの影響力を持つようになったこともさることながら、大手企業も横綱相撲一辺倒ではなく、小回りを利かしてくるようになりました。この業界も変化が激しいですね。このビール美味しいのですが、いつまであることやら。
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