二百五十四話 ルールづくり
お正月の番組で池上彰さんが、TPPの話の中で日本人はルールづくりが下手と話していました。たとえば、スキーのジャンプ競技がそうで、日本人が勝ち続けると欧米はルールを変更してくる。そのルールのもとで、頑張り、再び勝ちだすとまたルールが変更される。日本人は決められたルールの下で工夫し、努力して力を発揮するのは得意だがルール自体をつくり出すのは苦手というのです。
それとは逆に、ユニクロのロゴなどのトータルデザインやセブンイレブンのデザインコンセプトなどを手がけたデザインプロデューサーの佐藤可士和さんによると、日本人はもともとルールづくりが上手いといっています。その代表例が千利休で、武家の世界にまったく新しい「茶道」というルールを持ち込み、つくりあげたというのです。そういえば、権力の頂点にあった武士を手水鉢に「つくばい」という名をつけてつくばわせ、茶室に入る「にじり口」では無理やり頭を下げさせるという、よく考えればとんでもないルールをさもそれらしく様式として持ち込んでいます。また、日本で飲料などは年間2000種類以上の新製品が出ているらしく、そんな国は他に無いとのことで、日本人はスクラッチ&ビルドに長けているというのです。確かに明治維新ではそれまでのルールをがらっと変えてしまい、平然と(勿論上べだけ見るとですが)新しいルールに馴染んで行きました。
池上さんと可士和さんの話を合わせると、どうも日本人は内向けにはルールづくりが得意だけれども、グローバルになると途端にまったく苦手になってしまうという姿が浮かんできます。このことから、今年はそれを変えられるかというところに注目したいと思います。その最初の大きな試金石がTPPでしょうが、逃げずに入り込み、粘り強い交渉を行い、日本がイニシアティブを取って、新しいルールづくりができるかどうかです。
新年おめでとうございます。今年はどこも同じような長い冬休みと景気回復のムード、それに好天気が加わって、初詣はいずこも例年以上の人だったようです。我が家は最後の受験生を抱えていて、比較的空いている神戸北野の天神さんへ。参拝の人たちも心なしか明るい表情の人が多いように見えますし、山の上から神戸港を見渡すと船の数が随分と増えたようで、なんだか活況が感じられます。やはり、なにはともあれまずは景気が大事ですね。
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