二百六十一話 ベア④ 中小のベア
組合側を代表する連合は景気好転、消費税分、経済の好循環を御旗に、5年ぶりのベア要求ですが、経営側経団連は賃上げには前向きなものの、月例給にこだわらず、各企業の事情に合わせて賃金全体で対応する方針です。大手の交渉はこれから山場を迎えますが、アンケートデータを見ても、ベア実施はそれほど拡がりはなさそです。消費税後の景気がどうなるか、楽観的な予想は誰もできないからでしょう。それでも、好業績の大手企業は政府の後押しもあって、ベアをせざるを得ないしょうから、その後のベアの影響は考えておかないとなりません。
景気好転の実感がなく、消費税増税のマイナス面だけが懸念される多くの中小企業は「ベアどころではない」のがホンネでしょうが、一部の大手のベアであっても、中小企業も無縁ではありません。影響するのは新卒の初任給相場です。この春の大卒初任給平均は、ほぼ横ばいといえる微増ですが、問題は15年春の相場です。おそらくベアの影響を受けて、久々に大きく上がることでしょう。新卒初任給が厄介なのは、ここだけは賃金が大手と地続きな点です。一部の大手のベアが中小の新卒初任給を押し上げてしまいます。この数年、新卒を採用して来た中小は、15年の新卒を採ると、連動してベアをせざるを得なくなるでしょう。「ベアを今やらなくとも、来年せざるを得ないのなら、今やるか」という企業も出てくることになりそうです。
コンピューターの能力が増し、データ解析技術が進み、ポイントカードが普及したことで、コンビニの戦略にビッグデータの活用が欠かせなくなりました。最近ではローソンが「ポンタ」のデータを分析したところ、「いれたてコーヒー」は3杯目以上買う客は固定客になる傾向が強いことが判明しました。そこで、「いれたてコーヒー」をスタンプカードなどで管理し、3杯目であることをレジで示すと、4杯目を無料にするキャンペーンを始めたところ、「いれたてコーヒー」の固定客が増えたそうです。ビッグデータ恐るべしですが、でも、また他社もすぐに真似をするのでしょうね。ビッグデータの弱点は、効果があると競合もすぐにマネしてしまう点ですね。
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