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2014年3月

2014年3月30日 (日)

二百六十六話 ユニクロ パートの正社員化

 日経によると、ユニクロ(ファースト・リテイリング)が2、3年掛けて、国内のパート、アルバイト1万6千人を正社員化します。非正規の正社員化は人手不足もあって他社でも行われており、増える傾向にあります。けれども、1万6千人という人数は半端ではありません。現在、ユニクロの国内の正社員が3400人くらいとか言われていますから、一気に6倍近くなります。当然、人件費も上がります。3割近くは増えると考えているようですが、パート、アルバイトは定着が悪く、採用の労力、時間、コストと差し引きすれば、影響はさほど大きくないとの算段もあるようです。
 非正規社員は、個々に事情があり、異動もフルタイム勤務もできない人もかなりいるはずです。ユニクロでは地域限定正社員として、また日数や時間限定の働き方も認めるようです。したがって、今回の措置は正社員の人事制度の大幅改定とセットとしています。
 ファストファッションの巨人、ZARAとH&Mを追っかけて来たユニクロですが、ZARAやH&Mはおそらく、このような人事をしないでしょう。グローバルな人事はマネジャーとスタッフ、ワーカーが明確に分離しているからです。そもそも、この2社とユニクロのビジネスモデルは全く異なります。ユニクロもこれまでグローバルな人事を標榜し、会社方針をブレイクダウンできるマネジャーとして店長育成に尽力してきましたが、ここへきて人事のモデルも大転換となりそうです。自社のビジネスモデルにフィットしたユニクロ独自の人事制度の構築はこれからが本番と言えそうです。

関与先の会社から頂いたミニシクラメンが株を増やし、今年も我が家のベランダで可憐な花を2かせています。右のピンクは去年頂いた分ですが、3年もすると1 元気に増えて左のようになるのです。今年もやっぱり春が来たとわかるのは嬉しいですね。それにしてもシクラメンの白色は、今まで見ていた白色はなんだったのだろうと思うくらい、本当に混じりけのない純白に見えます。いずれ散ってしまう、いっときの息吹のようなものを感じるからそう見えるのかもしれません。

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2014年3月22日 (土)

二百六十五話 売り手市場

 いつも、ひっくり返るときは突然です。雇用情勢は売り手市場一色となってしまいました。日経によると関西でも主要企業の4割が15年春の採用を増やすとしています。景気が良くなり、失業率が下がるのは結構なことなのですが、中小企業は途端に採用に困り始めます。
 中小企業でも一部のネームバリューのある企業等は別として、大半のところは大手と同じことをしていては、まず人材は採れません。大手の反対を狙うしかないのです。新卒をあきらめ、第二新卒、中途を主体に、女性の活用、外国人の活用、短時間勤務や変則勤務を考えざるを得ないようになってきています。
 けれども、多くの中小企業はイレギュラーな雇用の活用を苦手としています。様々な働き方に対応したり、これまでの経験則にない人材を活用するためには、実質的にトップだけがマネジメントをしている状態から、どうしてもマネジメントの分担が必要になってきます。けれども残念ながら、多くの中小企業はマネジメントできる人材が育っていません。様々な意味で人に困る難しい時代がやってきます。

前々回の落語の続き。上方落語の「口入屋」は江戸では「引越しの夢」になります。落ちそのままのタイトル031です。ほとんど同じ内容ですが、「口入屋」のクライマックスの鍵となる道具「膳棚」が「引越しの夢」では「ねずみいらず」となります。「ねずみいらず」とは、鼠が入らないように天井から吊ってある食器棚のことらしいのですが、どうもよくわかりませんでした。現在で吊り戸棚といえば、高い位置にある食器棚ですが、落語では紐でぶら下がっています。わたしの中では長い間謎のままでしたが、やはり、石見銀山の古い商家跡にそれらしいものがありました(写真)。これなら落語通りにいきそうですが、さて正解やら 。

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2014年3月16日 (日)

二百六十四話 トヨタとほっかほっか亭のベア

 トヨタの労組が求めていたベア4000円に対して、経営側の回答が2700円で決着しました。想定以上の高額回答で今春闘を引っ張るかたちとなりました。過去最高益となる営業利益ではありますが、もともと非常に高い水準ですから競争力を考えれば、思い切った決断だったと思います。裏返せば、自信の表れといえるでしょう。これでトヨタの今年の昇給は、定昇が7300円程度と言われていますから、丁度平均およそ1万円となる計算です。とんでもないですね。これだけ多いと、中小企業も対岸の火事と傍観では済まされなくなります。影響は少なからずあるでしょう。15年新卒初任給はかなり引っ張られることになりそうで、要注意です。
 とんでもないといえば、ほっかほっか亭を運営するハースクレイが初任給を75000円アップします。連結で500人くらいの会社ですが、こちらも思い切った賃上げです。これで大卒初任給281190円で、これだけ高いと他社との差別化が図れます。これは人材の確保が厳しくなるととの想定でしょう。
 これからサービス業は思い切った賃上げをするところがまだまだ出てくることでしょう。雇用と賃金の状況は大きく変わりつつあります。

 

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2014年3月 8日 (土)

二百六十三話 部長と課長の賃金

 米国の大手人事コンサル会社ヘイの調査で、日本の課長級の年収を1にすると日本の部長級が1.36なのが、中国の部長級だと1.6となるという記事が出ていました(日経)。中国も伸びてきたものだと思っていたら、タイでも1.35と日本に匹敵するというから、どうも日本の部長級が低いといえそうです。これは、一つには円安のせいもあって、1ドル102円で換算した数字で、、1ドル83円くらいだと日本の部長級が中国を上回ることになります。そう考えると、人件費によるコスト競争力の点でも円安の効果はやはり大きいことがわかります。
 もう一つの要因は、そもそも日本は課長級の賃金が高いことがあげられます。課長級の年収は欧米同等であり、中国やタイの倍以上あります。これは、日本の課長級が役割、能力ともオールマイティという、日本の人事の特徴によるものです。欧米や中国の部長級はマネジメントに徹した役割で、全てを把握し質問にも答えられることを求められますが、日本では現場の詳細や高度な技術的な内容は課長でないとわからないことが普通です。日本の課長は経営の立場に立って現場がわかるという特異な存在によるところが大きいのです。つまり課長は実質的に仕事の要であり、よって賃金も高いのです。日本の賃金カーブは確かに特異なのですが、 日本の仕事の在り方に対して日本の賃金カーブは理に適っているわけです。
 マネジメントのプロはそれなりにいて、お金を出したら雇えそうですが、「わが社の課長」の代わりは何処にもいないかもしれません。

落語の大ネタに「口入屋」というのがあります。
男ばかりのある大店に絶世の美人女中がやって来て、ある晩、寝静まった頃合に二番番頭が夜這いに暗闇のなか、台所の二階になる女中の部屋に忍び込もうとする。女将さんも心得ていて、二階への梯子を外してあPhoto る。そこで、二番番頭は一階から二階に貫いてある「膳棚」を梯子替りに掛けようとしたら、棚が外れて片方を担ぐはめになる。するとそこへ同じように番頭がやってきて、「膳棚」を梯子替りにしようとして、今度はもう片方を担いでしまう。物音を聞いて、女将さんが起きてしまい、明かりを持ってやってくる。「お前たち、そこで何をしてんだい。」と訊くと、番頭がすかさず苦し紛れに答える。「へえ。二人で引越しの夢を見ておりました。」
長い間、この「膳棚」というのがどういうものか、よくわかりませんでしたが、少し前に行った石見銀山の古い商家にあり、ようやく判明しました。写真、右奥の棚がそうです。現代に無い物が段々増えてきて、古典落語も難しくなるようですが、名人がやると解ったような気になるから不思議です。

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2014年3月 2日 (日)

二百六十二話 値ごろ感

 Jミルクによる全国1万人の消費者動向調査で、牛乳1パック(1ℓ)の小売価格が「高いと感じる」水準を10円単位で尋ねたところ、190円では41%と半数以下でしたが、200円になると67%に急増したということがわかりました。このことから、商品には、それぞれに値ごろ感があり、それは結構微妙でシビアなものだといえそうです。わずかな値上げで、極端に売れなくなることがありうることを示しています。
 インドの自動車大手タタが低価格戦略車「ナノ」を2009年に発売しました。低所得者にも手が届く国民車構想という鳴り物入りで、約17万円という驚異的な安さで発売されました。インドで高いシェアをほこるスズキのアルトの1/3という値段ですから、各クルマメーカーは戦々恐々とし、低価格車競争に一層の拍車がかかりました。世界の関係者が固唾を飲んで見守るなか、結果は販売目標値の1/5以下とまったくの不振で、明らかに失敗に終わりました。その要因は様々なようですが、その一番は市場ニーズの読み違いと言われています。インドの低所得者層にとっては、17万円(約10万ルピー)といっても、平均月収7500円(約5000ルピー)のインドでは、どう考えても一生に数度あるか無いかの高い買い物です。したがってインドの人にとって、クルマはまさにステータスシンボルですから、少々無理をしてでも、普通のクルマを買うというわけです。大事な一台に最安車を買う動機づけはきわめて薄いことになります。
 消費税増税転嫁の価格改定で各社おおわらわですが、安易な価格設定は墓穴を掘らないとも限りません。自社の商品特性を知ったうえでの価格戦略はやはり重要ということですね。

福岡の地下鉄で使われている、戸袋に手を引き込まれる注意の案内表示です。初めてだと必ず目が行くのと思Photo わず自分の手を見てしまい、効果抜群である。大阪のストレートな「指づめ注意!」も強烈だが、こちらは洒落ている。ちなみに、反対側は「恋愛線」でした。

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