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2014年3月 8日 (土)

二百六十三話 部長と課長の賃金

 米国の大手人事コンサル会社ヘイの調査で、日本の課長級の年収を1にすると日本の部長級が1.36なのが、中国の部長級だと1.6となるという記事が出ていました(日経)。中国も伸びてきたものだと思っていたら、タイでも1.35と日本に匹敵するというから、どうも日本の部長級が低いといえそうです。これは、一つには円安のせいもあって、1ドル102円で換算した数字で、、1ドル83円くらいだと日本の部長級が中国を上回ることになります。そう考えると、人件費によるコスト競争力の点でも円安の効果はやはり大きいことがわかります。
 もう一つの要因は、そもそも日本は課長級の賃金が高いことがあげられます。課長級の年収は欧米同等であり、中国やタイの倍以上あります。これは、日本の課長級が役割、能力ともオールマイティという、日本の人事の特徴によるものです。欧米や中国の部長級はマネジメントに徹した役割で、全てを把握し質問にも答えられることを求められますが、日本では現場の詳細や高度な技術的な内容は課長でないとわからないことが普通です。日本の課長は経営の立場に立って現場がわかるという特異な存在によるところが大きいのです。つまり課長は実質的に仕事の要であり、よって賃金も高いのです。日本の賃金カーブは確かに特異なのですが、 日本の仕事の在り方に対して日本の賃金カーブは理に適っているわけです。
 マネジメントのプロはそれなりにいて、お金を出したら雇えそうですが、「わが社の課長」の代わりは何処にもいないかもしれません。

落語の大ネタに「口入屋」というのがあります。
男ばかりのある大店に絶世の美人女中がやって来て、ある晩、寝静まった頃合に二番番頭が夜這いに暗闇のなか、台所の二階になる女中の部屋に忍び込もうとする。女将さんも心得ていて、二階への梯子を外してあPhoto る。そこで、二番番頭は一階から二階に貫いてある「膳棚」を梯子替りに掛けようとしたら、棚が外れて片方を担ぐはめになる。するとそこへ同じように番頭がやってきて、「膳棚」を梯子替りにしようとして、今度はもう片方を担いでしまう。物音を聞いて、女将さんが起きてしまい、明かりを持ってやってくる。「お前たち、そこで何をしてんだい。」と訊くと、番頭がすかさず苦し紛れに答える。「へえ。二人で引越しの夢を見ておりました。」
長い間、この「膳棚」というのがどういうものか、よくわかりませんでしたが、少し前に行った石見銀山の古い商家にあり、ようやく判明しました。写真、右奥の棚がそうです。現代に無い物が段々増えてきて、古典落語も難しくなるようですが、名人がやると解ったような気になるから不思議です。

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