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2014年3月 2日 (日)

二百六十二話 値ごろ感

 Jミルクによる全国1万人の消費者動向調査で、牛乳1パック(1ℓ)の小売価格が「高いと感じる」水準を10円単位で尋ねたところ、190円では41%と半数以下でしたが、200円になると67%に急増したということがわかりました。このことから、商品には、それぞれに値ごろ感があり、それは結構微妙でシビアなものだといえそうです。わずかな値上げで、極端に売れなくなることがありうることを示しています。
 インドの自動車大手タタが低価格戦略車「ナノ」を2009年に発売しました。低所得者にも手が届く国民車構想という鳴り物入りで、約17万円という驚異的な安さで発売されました。インドで高いシェアをほこるスズキのアルトの1/3という値段ですから、各クルマメーカーは戦々恐々とし、低価格車競争に一層の拍車がかかりました。世界の関係者が固唾を飲んで見守るなか、結果は販売目標値の1/5以下とまったくの不振で、明らかに失敗に終わりました。その要因は様々なようですが、その一番は市場ニーズの読み違いと言われています。インドの低所得者層にとっては、17万円(約10万ルピー)といっても、平均月収7500円(約5000ルピー)のインドでは、どう考えても一生に数度あるか無いかの高い買い物です。したがってインドの人にとって、クルマはまさにステータスシンボルですから、少々無理をしてでも、普通のクルマを買うというわけです。大事な一台に最安車を買う動機づけはきわめて薄いことになります。
 消費税増税転嫁の価格改定で各社おおわらわですが、安易な価格設定は墓穴を掘らないとも限りません。自社の商品特性を知ったうえでの価格戦略はやはり重要ということですね。

福岡の地下鉄で使われている、戸袋に手を引き込まれる注意の案内表示です。初めてだと必ず目が行くのと思Photo わず自分の手を見てしまい、効果抜群である。大阪のストレートな「指づめ注意!」も強烈だが、こちらは洒落ている。ちなみに、反対側は「恋愛線」でした。

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