二百七十話 こんなこともあろうかと
最近の若いリーダーやリーダー候補の人を見ていますと、どうも「計画性」が弱いような気がします。携帯やスマフォは初めからあたりまえだった世代は、計画を立てず、準備、段取りを飛ばして、いきなり動き出します。それはそれで良い面はあるのですが、リーダークラスの仕事は「計画性」が必須で重要なのです。
かつて多くの困難を乗り越えて、みごとにミッションを果たして帰還した「はやぶさ」は世界中から賞賛を受けて、リーマンショック後の日本に久々に明るい話題を提供してくれました。
宇宙空間を数年間飛行する計画で、途中でなにかあってもそこで直接手を下すことはほとんどできません。「はやぶさ」のプロジェクトにとって、計画なかでも準備、段取がすべてだったわけです。実際、帰還の途中で4つあったイオンエンジンがすべて止まり、これでお手上げかと思われました。そのときに、生き残っていて作動可能な一つのエンジンの部品とやはり作動可能だった別のエンジンの部品とをつなぐバイパス回路を起動させて、エンジン1基を復活させ、奇跡的に無事帰還することができました。
そのイオンエンジンを設計した国中均教授が次のように語っています。「こんなこともあろうかと思って、誰も知らない余計な回路をこっそり組み込んでおいたのです。」、この「こんなこともあろうか」と想定外の事態を頭に描くことがまさに「計画」の真骨頂といえます。国中教授によると、アニメの「宇宙戦艦ヤマト」で波動砲が動かず窮地に陥ったヤマトが波動砲を甦らせるシーンに「こんなこともあろうかと思って」という好きなセルフがあって、そのセルフをいつか使ってやるぞと思っていたそうです。
これからのリーダーは、スピードを要求され、慎重さよりも動きながら計画を立てるようなスキルを求められることでしょう。でも、いざというときには、「こんなこともあろうかと」段取れる想像力のある人が、組織を救い、勝ち残るような気がします。
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