二百七十八話 人手不足の影響が深刻
人手不足による事業への支障について、大阪商工会議所の緊急調査によると、約2割が「既に支障が生じている」、約7割が「今後生じる懸念がある」としています。また、対策として、賃上げなど労働条件の改善を実施した企業が5割弱、実施検討中が3割弱、パートの正社員化については、2割強がすでに実施、検討中が約2割となっています。
思いのほか、影響は深刻で、急激です。景気が上向いてきたからですが、人手不足による景気の頭打ちの懸念が現実になってきています。
このことは、もっとも需要と供給の影響が端的に表れる派遣市場を見ると、さらにわかります。
リクルートジョブズによる、関西圏の派遣の採用時の平均時給を見ると、昨年5月で1,319円、この5月が1,374円とこの1年で急速に上がりました。しかも、この3年間では、最も高い水準です。職種別では、オフィスワーク系が昨年5月で1,255円、この5月が1,280円の伸びですが、IT・技術系では昨年5月で1,603円、この5月が1,673円とより高い上昇を示していて、上昇の中に職種による差が大きいことがわかります。
外食業界で人不足から店を閉めたり休店したり、また出店抑制などが起こっていますが、一般の中小企業も他人事ではなくなって来ました。人が採れるチャンスがあれば、人選しつつ機会を逃さず、また意外に手を打たないところが多いのですが、人材の流出を防がないとなりません。仕事に慣れた人材を失うことは、新人をそこまで習熟させることを考えれば、いかに大きな損失であるかを管理・監督職等にもあらためて理解させる必要がありそうです。
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