二百八十六話 中小企業の企業年金
厚生労働省は日本版401Kについて、掛け金を個人でも出せるようにしたり、上限を年収比例にして上げる案を出すなど、使い勝手を良くする方向でようやく動きはじめました。でも、これらは当たり前なのであって、もっと早くしないとならなかったのです。
現在、100名未満の中小企業の退職金給付は、退職金制度がある会社が72%、企業年金のある会社が18.6%です。これが2008年当時では、退職金制度がある会社が82%、企業年金のある会社が30.2%だったのです。このわずか6年で、中小企業の退職金は明らかに後退してしまいました。政策の失敗です。なぜなら、益々公的年金は減っていくわけですから、老後への備えに退職金の役割は高まるばかりなのです。
2008年にこの二つの導入率が今より高かったのは、適格年金のおかげです。中小企業にとって、適格年金は非常によくできた制度だったのです。それが、当初の高い保証利回りのために多額の積立不足が生じているとして、適年は廃止となりました。かわりに401Kが出てきたわけですが、退職債務を心配しなければならない上場企業とちがって、中小企業にとって積立不足など実際にはほとんど関係ないのです。適格年金は、社員の退職金を個別に積み立てるのではなく、プール型だったのですから。アバウトといえばアバウトなのですが、それよりも企業年金がない、退職給付がないというよりも余程マシなはずです。
でも。いまさら愚痴を言っても始まりません。もう元へは戻れません。401Kをもっと使いやすくし、少人数の中小企業でも導入してみようかと思える制度にして欲しいものです。
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