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2014年11月 3日 (月)

二百八十七話 暇で儲けるしくみ

 弊グループ会計事務所の顧問先にも、かつては印刷会社が沢山ありました。とにかく印刷の機械を置けば儲かるという時代だったようです。それが、タイプライヤーがワープロになり、次にパソコンなり、やがてネットの時代になるにつれ、次第に減少していきました。今残っているところは、印刷にしかできない分野で特化し、品質とサービスを高め、良い得意先を確保できているところがほとんどです。印刷が完全になくなることはないので、我慢と努力で残った会社は強いのですが、スマフォやタブレットを含めたパソコンの浸食スピードは速く、まだまだ厳しいようです。
 そのような業界ですから、どこでも機械の空き時間が増えています。ところが、その空き時間を使って、儲けている印刷会社が東京港区にあります。ラクスルという会社で、全国の稼動していない印刷機械をまとめて一つの印刷工場のように使っているのです。ラクスルによると印刷機はだいたい50%は動いていないらしいので、それを使うと、安価なうえに少量生産にも対応できるというわけです。名刺印刷が両面カラー100枚で市況の1/3程度の500円ですから破格です。しかも、ラクスルだけが儲けているのではなく、全国の機械の空いている印刷会社が助かるのです。
 まさに発想力と実現力のたまものですが、ネットと宅配社会の典型のビジネスモデルといえます。浸食する敵を逆に利用するのも、成功しているビジネスモデルの一つのパターンの気がします。

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